2025.04.30

時計業界の重鎮・ビバー氏が手がける 新作ウォッチ3本が凄すぎた!

【ジャン-クロード・ビバー氏】1949年ルクセンブルク生まれ。ローザンヌ大学卒業後に時計業界へと入り、ブランパンの復興やウブロを人気ブランドに成長させるなど、大物プロデューサーとして活躍する。2018年、LVMHグループ時計部門のトップを退任し引退を表明していたが、2023年に「ビバー」ブランドを新たに立ち上げた。

2023年に自らの名を冠した時計ブランド「ビバー」を立ち上げ、劇的なカムバックを果たして業界に衝撃を与えたジャン-クロード・ビバー氏。ビバー氏といえばブランパンやウブロを一躍人気ブランドに押し上げた業界きっての大物プロデューサーだ。そんな重鎮が“最後に”手がけるブランドおよび理想とするモデルとはいかなるものなのか? 今回、3月に来日したビバー氏に、国内正規取扱店となるアワーグラス銀座店にて直撃取材した!

1本目

キャリオン・トゥールビヨン・マザーオブパール

「50年以上のキャリアで初となる複雑系最高峰のキャリオン」(ビバー氏)

3つのゴングとハンマーを備えたキャリオンとトゥールビヨンを融合したグランドコンプリケーション。文字盤センターに地球をイメージしたデザインのMOP(マザーオブパール)をセット。マイクロローターを備えた自社製Cal.JCB.001搭載。自動巻き。径42mm。チタンケース。アリゲーターストラップ。5気圧防水。限定1本。9969万円。

 

まず1本目は「キャリオン・トゥールビヨン・マザーオブパール」。2023年に発表したプロトタイプモデルの進化バージョンである。「私の50年を超えるキャリアで初のキャリオン」とビバー氏が語るように、ミニッツリピーターのワンランク上のキャリオン機構とトゥールビヨンを融合したグランドコンプリケーションだ。通常、ミニッツリピーターは2本のゴングとハンマーで時を知らせるが、キャリオンはそれらを3本ずつ備え、より多彩な音の使い分けが可能となる。搭載するキャリバーJCB.001はすべてのブリッジに18Kゴールドを使用しており、裏側から眺めるその美しさはため息が出るほど。「マイクロローターを採用したのもこだわりだね」と言う通り、巻き上げ効率のよい小型ローターの装備で薄型化を実現。こちらには22Kゴールドを使用している。

非常に情熱的かつパワフルなことで知られるビバー氏。75歳を超えた今もそれは健在であり、自らの時計哲学や手がけた新作について熱く語る情熱ぶりは圧倒的だった。

2/3本目

オートマティック アワーグラス 日本限定モデル

「自分がこれまで見た中でいちばん美しいブラックエナメル文字盤」(ビバー氏)

アワーグラス限定の3針モデル。ブラックエナメル文字盤と18KRGケースの組み合わせ。マイクロローターを備えた自社製Cal.JCB.003搭載。自動巻き。径35mm。アリゲーターストラップ。8気圧防水。限定3本。1743万5000円。

アワーグラス限定の3針モデル。ブラックエナメル文字盤と18KRGケースの組み合わせ。マイクロローターを備えた自社製Cal.JCB.003搭載。自動巻き。径35mm。アリゲーターストラップ。8気圧防水。限定3本。1743万5000円。
アワーグラス限定の3針モデル。ホワイトエナメル文字盤とプラチナ950ケースの組み合わせ。マイクロローターを備えた自社製Cal.JCB.003搭載。自動巻き。径39mm。アリゲーターストラップ。8気圧防水。限定2本。1801万8000円。

 

2・3本目はアワーグラス限定となるエナメル文字盤の3針自動巻きモデル。エナメルは釉薬を塗り高温焼成する陶磁器などに用いられる技法、高度な技術力と手間ひまを要す文字盤装飾の最高峰である。とくにビバー氏はブラックエナメルの仕上がりがお気に入りのようで、「わずかな気泡や歪みもない完璧な仕上がり。自分がこれまで見た中でもいちばん美しいブラックだよ」とご満悦だった。また今回、このエナメル文字盤を手がけたのが友人である“時計界の新星”レジェップ・レジェピ氏であると明かしてくれた。エナメルは長い年月を経ても色褪せないことで知られており、外周のレイルウェイも耐久性を考慮してゴールドで設えた。ビバーがシンプルなラウンド型にこだわることについてビバー氏は、「小さい子はまず丸い形を描くだろう? 丸はスタートでありエターナル(永遠)なんだよ。私は何代にもわたって受け継がれる一生モノの時計をこれからも作り続けたいんだ」と熱く語った。

〈ブランド解説〉

LVMHグループ退任後の2023年、ジャン-クロード・ビバー氏が満を持して創設した時計ブランド。キャリア50周年となる23年、「Invisible visibility」(不可視の可視性)をコンセプトとしたカリヨン・トゥールビヨンのプロトタイプを発表し、翌年正式リリースした。

ビバー公式サイト

文/岡崎隆奈