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2026.01.09
レイモンド ウェイル「トッカータ」にユーモアたっぷりの新作!
ドレスウォッチの常識って、誰のもの?

「トッカータ ヘリテージ セコンドセコンド リミテッド エディション」。手巻き。2280-STC-SEC01。ケースサイズ縦38✖️横33㎜。ケース厚6.95㎜。SSケース。カーフレザーストラップ。3気圧防水。世界限定50本。オンラインストア限定発売。38万5000円。
2026年、創業50周年を迎えたスイス・ジュネーブの独立系時計ブランド「レイモンド ウェイル」。2023年のGPHGでは、代表作の「ミレジム」がチャレンジウォッチ賞を受賞するなど、いま注目の時計ブランドである。

ミレジムが証明したように、3代目エリー・ベルンハイム氏が提案するシンプルウォッチのセンスは抜群。昨年発表した手巻きの2針モデル「トッカータ」は、その独特な樽型のケースで話題になった。

その「トッカータ」に、早速新たな試みが。それが写真の「トッカータ ヘリテージ セコンドセコンド リミテッド エディション」である。世界限定50本の特別なトッカータは、ウィットに飛んだユーモアたっぷりの内容に仕上がっている。
レイモンド ウェイルが今回コラボレーションしたのは、パリ発の時計クリエイティブ・レーベルである「セコンドセコンド(seconde/seconde/)」。これまで40程のコラボレーションを時計メゾンと実現している、新鋭の時計デザイン集団だ。

代表をつとめるのは、フランス人デザイナーのロマリック・アンドレ氏。彼が生み出す腕時計には、伝統のクラシックスタイルを尊重しつつも、そこに誰も考えつかないようなユーモアを加えることで、腕時計の魅力を再認識できる不思議な力が宿っている。
まず注目して欲しいのは、ダイアル。都会的なグレートーンが採用されているのだが、縦半分で真っ二つに仕上げが異なる。右半分は艶と光沢のあるサンレイ仕上げで、左半分は落ち着いたマット仕上げ。
ダイアルのベース部分と、中のインダイアルで仕上げを変えている時計はよく目にするが、縦半分で仕様を変えるなど、誰が思いつくだろう。しかしこの「ダイアル半分」に、この時計最大のメーセージが隠されている。

イエローの文字で書かれたメッセージの内容は……
“Dress shirt cuff should cover at least half of the watch”(ダイアルに転写)
「ドレスシャツの袖口は腕時計の半分以上を覆うべき」
“Cuff sweet-spots”(サファイアクリスタル風防に転写)
「シャツの袖口の見せどころ」
“Biz casual” / “Semi-formal” / “Formal”(サファイアクリスタル風防に転写)
「服装カテゴリに応じた目安(カジュアル/セミフォーマル/フォーマル」

ドレスウォッチコードあるあるの「時計はシャツにどこまで隠すべき」を、ミリ単位でユーモアたっぷりに描いているのだ。ロマリック・アンドレ氏は、「時計の落ち着いた佇まいを尊重しつつ、同時にそれを破る衝動を抑えられない」と語っているが、これはそんな彼の哲学を体現したダイアルなのである。

このコラボモデルの見所は、ダイアル側だけではない。時計を裏返すと、そこにも手巻きムーブメントに対する強烈なメッセージが。シースルーバックはムーブメント全体が見渡せるものではなく、リューズ巻き上げの要パーツである角穴車だけが見える仕様に。
右側に添えられたメッセージは
“Never wind your watch while wearing it. Take it off first, then wind it in a dramatic fashion (ideally in the middle of a conversation).
「腕時計を着けたまま巻くのではなく、外して、会話を楽しみながらドラマチックに巻きなさい」
というもの。なんとも皮肉で、時計ファンのツボを的確に押しまくっているではないか! こうした「愛のあるムチ」は、時計が好きで、時計を知り尽くしているからこと考えつく発想。創業何百年という歴史の重みだで語られがちなスイスの時計業界に、こうした「遊び心」が加われば、時計を好きになるひとは、もっと増えるのではないだろうか。

問い合わせ/レイモンド ウェイル公式サイト
文/市塚忠義