2026.03.09

「APソーシャルクラブ」で発表されたオーデマ ピゲの2026最新作

注目の3本は、ズバリこのモデル!

オーデマ ピゲの2026年新作が、2月3日に早くも発表された。この日、恒例となった独自の新作発表会「APソーシャルクラブ」が開催されたのだ。スイスの高原渓谷アンデルマットで初披露された、全22モデルの新作の中から注目の3モデルを厳選した。

4つの峠に囲まれたアンデルマットはスキーリゾート地として名高い。会場にはスキーにまつわるSNS用の撮影スポットも用意された。

「ネオ フレーム ジャンピングアワー」

ブラック×PGの重厚な外観を、両サイドのゴドロン装飾がエレガントな印象を加味する。ブラックPVD加工を施した風防は、特殊な接合により上下のベゼルを不要とし、全面ブラックをかなえた。自動巻き。ケース47.1×34mm。18KPGケース。カーフストラップ。979万円。

オーデマ ピゲは今年、「CRAFTING TIME(時を紡ぐ)」をブランドテーマとして掲げた。2023年に対面形式になって以来、各国のメディアとVIP客を日程を変えて招待する「APソーシャルクラブ」のプログラムも、そのテーマに沿ったものであった。

会場のあちこちに作業台やギョーシェマシンなどを本社から持ち込み、メゾンが持つさまざまな時計製作技術の実演とともにそれらに関連した新作がプレゼンテーションされたのだ。また貴重なアーカーイブピースも、展示。その中の1つ、1929年製のジャンピングアワーの機構と外観が、現代に蘇った。

19世紀に懐中時計に搭載されたジャンピングアワー+ディスク式分表示を、オーデマ ピゲは1924年に腕時計で初めて実現してみせ、いくつもバリエーションを世に送り出していた。

「ネオ フレーム ジャンピングアワー」のモチーフとなった、1929年製モデル。ゴドロン層装飾が滑らかにラグにつながる流麗な造形美や、前面の2つの表示窓の形状などは、そまま新作に受け継がれている。

新作「ネオ フレーム ジャンピングアワー」が範を採った1929年製モデルは、角形ケースの両サイドをアール・デコ様式を象徴するゴドロン装飾が彩る流麗なフォルムが実に美しかった。その造形美をPGで再現。サファイアクリスタル風防をPVD加工することで、鉄仮面と称された前面をブラックに仕立て、重厚で精悍な印象に仕立て上げている。

ジャンピングアワーのモジュールは、新設計。アワーディスクの内側に人工ルビー製のローラーを7つ配置することで、滑らかなジャンピングと耐衝撃性の向上を両立した設計が、見事である。単なる復刻に留まることとなく、外装もメカニズムも、現代の技術で大幅なアップデートが図られた。

「ネオ フレーム ジャンピングアワー」が搭載するCal.7122は、「ロイヤル オーク “ジャンボ”」に使われる極薄自動巻きCal.7121がベース。ケース厚は、8.8mmの薄さに抑えられている。

 

「“150周年アニバーサリー” 懐中時計」

ユニバーサルカレンダーが備わる裏蓋は、180度大きく開く。両面のダイアルは、伝統的なエナメル技術が駆使され、工芸的な価値も高い。限定2本。手巻き。径50mm。Ptケース。価格要問い合わせ。

APソーシャルクラブ」のプログラムは、3つのテーマに分けられていた。うち「CRAFTING OUR TIME」のエリアでは、特別な限定モデルが単独でプレゼンテーションされた。「“150周年アニバーサリー” 懐中時計」である。

その名の通り、昨年迎えたメゾン創業150周年に有終の美を飾るタイムピースであり、2399年まで調整不要なセミグレゴリアン パーペチュアルカレンダー、スプリットセコンド フライバック クロノグラフ、チャイミング機構、フライングトゥールビヨンなど40の機能と22の複雑機構を統合した超大作。

開いた状態の裏側。ユニバーサルカレンダーを操作する、ディスク状の巨大なリューズがまるで太陽のように美しく造作されている。懐中時計側のサファイアクリスタルは、スーパーソヌリ機構の音響盤を兼ねる。

しかしケース径は50mmに抑えられており、デニムの前ポケットにも、無理なく収められる。これら複雑機構をかなえるCal.1150は、2023年にリリースされた「RD#4」用に開発されたCal.1000の派生形であり、多くの設計を転用しながら懐中時計向けに手巻きにモデファイされている。

さらに開閉式となったケースバックに、ムーブメントの駆動から切り離されたユニバーサルカレンダーを装備する。開けると背面に現れるディスク上の大型リューズを回すと、中央の西暦表示が素早く切り替わり、その年の暦と月齢が表示される仕組み。西暦は1900~2099年までプログラムされ、正確な月齢表示よって太陽・太陰暦に則る各年のラマダンや春節も調べられる。

ウルトラコンプリケーションに加え、極めて高度なユニバーサルカレンダーをが備わる懐中時計は、オーデマ ピゲの次なる150周年の第1歩にふさわしい傑作である。

両面ともにダイヤルの下には、極めて複雑なメカニズムが潜んでいる。懐中時計側の各暦表示は、リューズ機能と各プッシュボタンを統合したリューズで個別に前後に調整が可能。ケースサイドには、精緻なハンドエングレービングが施されている。

 

「ロイヤル オーク クロノグラフ」

SSモデルのダイアルは、初代のカラーリングを再現した“ナイトブルー、クラウド50”。配置バランスが整え直された各インダイアルは、より視認性が高まるようデザインは変更されている。自動巻き。径38mm。SSケース&ブレスレット。594万円。

ジャンピングアワーと超ド級の懐中時計は、間違いなく今年の「APソーシャルクラブ」の主役であった。これら2つと同じくらいの熱量で招待客から歓迎されたのが、「ロイヤル オーク クロノグラフ」だった。ケース径は、昨今の時計トレンドの流れの乗る小ぶりな38mm。同サイズのクロノグラフは既存にもあり、外観も酷似するが、ついに完全自社製ムーブメント搭載となったからだ。

1998年から38mに使われてきたCal.2385は、フレデリック・ピゲ社のCal.1185がベースだった。一体型で垂直クラッチを先駆けた、薄型クロノグラフ・キャリバーの名機であるが設計が古く、パワーリザーブや振動数が現代にマッチしていなかった。完全自社製となった38mm用のCal.6401は、垂直クラッチ+コラムホイールという構造はそのままに、毎秒8振動のハイビート化で精度と耐衝撃性とを向上し、パワーリザーブも約40時間から55時間へと大幅に延長されている。

自社製の新型Cal.6401。両サイドからガッチリと支え耐衝撃性を高めたテンプは、歩度調整用のマスロットを表面に埋め込む構造とし、空気抵抗を軽減。高精度化が図られている。

これによりムーブメントの厚みはわずかに増し、ケース厚は0.1mm厚い11.1mmとなったが、センターローター式の自動巻きクロノグラフとしては、十分に薄型の部類で、装着感は良好である。

自社製搭載となったことに伴い、ケースバックはトランスパレント化された。サファイアクリスタルから姿を見せるCal.6401の自動巻きローターは、ゴールド製。各パーツの仕上げも、手抜かりはない。またダイアル両サイドの積算計の針位置も、ピッタリと中央に合い、全体のバランスが向上している。旧作との価格差は、約+22万円。それをはるかに超える価値を、新たな38mmクロノグラフは有する。

 

商品の問い合わせ/オーデマ ピゲ公式サイト

取材・文/髙木教雄