AUDEMARS PIGUETの複雑時計

1875年に生まれたジュール・オーデマのアトリエは、雑機構専門であった。以来、現在にいたるまで、コンプリケーション ウォッチは、メゾンの伝統。独自の教育制度によって優れた技術を育成・継承し、複雑機構を発展させてきた。

①スケルトン技術も、オーデマ ピゲは得意としてきた。腕時計用グランド コンプリカシオンのキャリバー2885も、手作業でスケルトナイズされる。繊細なラインだけを残したブリッジと地板は、複雑に入り組む648ものパーツを完璧に保持している。綿密な計算の上、残す部分と肉抜きする部分とを決めているのだ。
②キャリバー2885の組み立てには、700時間以上を要する。
③グランド コンプリカシオンは2013年「ロイヤル オーク オフショア」にも初搭載。

1世紀以上グランドコンプリを作り続ける唯一のブランド

複雑機構を組み合わせ小型化すらも可能に

ジュール・オーデマとエドワール・ピゲは、ジュウ渓谷における複雑機構の担い手だった。製作が困難とされるクロノグラフや永久カレンダー、リピーターを得意とするだけでなく、それらを組み合わせることも、彼らの技術は可能にしていた。
オーデマ ピゲ博物館には、ブランド創設の1882年に製作された懐中時計が所蔵されている。日付・曜日・月表示を備えた永久カレンダーとムーンフェイズ、クォーターリピーター、そして1秒刻みで針がジャンプするデッドビートセコンドにより、複雑機構組み合わせ小型化すらも可能にするクロ ノグラフ機構を同時搭載したメゾン初の「グランド コンプリカシオン」である。
以降、グランド コンプリカシオンは、オーデマ ピゲの伝統になった。また前述のミニッツリピーター搭載の腕時計に代表されるように、複雑機構の小型化・薄型化もまた、メゾンの伝統だ。1921年には、直径15・8ミリという世界最小の5分リピーターも製作している。その技術は、グランド コンプリカシオンすらも小さくすることを可能とし、1995年には、腕時計にも搭載してみせた。
現在、オーデマ ピゲは2つのグランド コンプリカシオンのキャリバーを製作する。ひとつは懐中時計用の手巻きキャリバー2860、もうひとつは腕時計用のキャリバー2885で、こちらは自動巻き。共に永久カレンダーとムーンフェイズ、ミニッツリピーター、そしてスプリットセコンドクロノグラフとを同時搭載する傑作である。
同様の機構を備えるモデルは他社にもあるが、130年以上にわたって、グランド コンプリカシオンを製作し続けてきたメゾンは、オーデマ ピゲだけ。
また複雑機構と、その小型化へのチャレンジ精神は、グランド コンプリカシオン以外でも発揮された。例えば1986年、それまで腕時計にはなかったトゥールビヨンを、しかも自動巻きにして搭載してみせたのも、オーデマ ピゲだった。2000年には、均時差表示を腕時計に初搭載し、さらには永久カレンダーとムーンフェイズ、日の出日の入り表示も同時に備える超複雑時計を発表してもいる。
偉大なる創業者のDNAは、今の技術者にも受け継がれる。

超複雑機構がスポーティに装った
「ロイヤル オーク オフショア・グランド コンプリカシオン」は、伝統と革新が融合した、オーデマ ピゲを代表する傑作。限定3本。自動巻き。径44㎜。チタンケース+セラミックベゼル。ラバーストラップ。20m防水。6709万5000円。

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