2018.04.27

【Web連載スタート!】編集部員の「欲しい!」時計インプレッション(グランドセイコー SBGJ203)第1回

編集部員の「欲しい!」時計インプレッション

編集部員それぞれが「欲しい!」と思っている時計をなんやかんや理屈つけてお借りし、贅沢にも日常使いさせていただいた上で、その感想を微に入り細に入りリポートしていく不定期にして期間不問のユル~イ連載。
美辞麗句はさておいた、ナマの感想をお届けします。

 

「欲しい!」時計 : GRAND SEIKO(グランドセイコー)「SBGJ203」

GRAND SEIKO グランドセイコー 「SBGJ203」

GRAND SEIKO グランドセイコー「SBGJ203」
グランドセイコーの超人気定番GMTモデル。通常の時分秒針に加えて、24時間で文字盤を一周する赤いGMT針を搭載。ダイヤル外周にある24時間目盛と照らし合わせることで、時間帯の異なる2ヵ所の現在時刻がひと目で判る。キャリバーは「9S86」。自動巻き。径40mm。SSケース&ブレスレット。10気圧防水。67万円。
お問い合わせ先:グランドセイコー専用ダイヤル Tel.0120-302-617

『時計Begin』編集長・中里 靖

リポーター : 『時計Begin』編集長・中里 靖

 

第1回「選定理由」の巻

というわけで初っ端は、優秀な部員のおかげで彼らよりちょっとだけヒマな私、中里が担当させていただきます。“欲しい時計”をインプレッションするということで私見・私情が入り混じったユルユルのリポートになるかと思いますが、皆さまにおかれましても「そんな意見もあるよね」的なユルユルした感じでご一読くださるようお願い申し上げます。

さて、その一発目に相応しいモデルとして私が選んだのは、スイスブランドと真っ向勝負をし続ける世界レベルのニッポンブランド、グランドセイコー(以下GS)の「SBGJ203」。稀有な存在である毎時3万6000振動のハイビートGMTモデルで、セイコーさんによると「常に売れ筋上位にランキングされている超人気定番」なんだそう。

いきなり話がちょっと逸れますが、職業柄海外出張が多い私は漫然と、しかし長年に亘ってず~っと、GMTモデルでいいのないかな?と探していました。現地にて、頭の中で時差の足し算引き算をせずとも視覚的にホーム=日本の時間が判るのは、算数が苦手な私にはとっても便利だからです。

ちなみに本気じゃなくて漫然と探していたのは、他にそれなりの時計をいくつか所有しているゆえ、少なくとも日常生活に於いてはまったく不便を感じなかったから。でも、海外出張へ行く度に「やっぱGMT欲しいわ」となる。ここ数年はそんな堂々巡りを繰り返しています。

さらに話が逸れますが、実は今から20年くらい前、某スイスブランドの超人気GMTモデルを闇雲に所有していたことがあります。当時ちょっと小銭が貯まって突発的に「時計でも買おうかな」と思い、そっち方面に強い先輩に相談したところそのGMTモデルを薦められ、ブランドが著名だしデザインが好みだし先輩が薦めるし、というただそれだけでまったく深く考えずに買った次第です。

私、顔の彫りもだいぶ浅いんですが、購入動機もそのようにすこぶる浅かったので、今よりもっともっと若輩者だった当時はまだその価値も便利さも実感できず、猫に小判どころか豚に真珠とも言える「時間が判るブレスレット」的な使い方、つまり単なるアクセサリー的な使い方を5~6年間続けていました。

で、結局その後、他に欲しい時計を見つけちゃったもんですから、後輩に「買わない?」と申し出て「激安・適正・激高の3択阿弥陀くじでいいよ」と啖呵を切ったら見事に激安を引かれ、確か今の中古相場の1/10くらいで譲ってしまいました。

いま初めて気付いたんですが、私、少しアホなのかもしれません。

そんなこんなを経て、2014年だったでしょうか? まだセイコーのフラッグシップを担っていた時代のGS謹製GMTモデルで限定深緑ダイヤル版の「SBGJ005」を、東京都内で開催されていた展示会で目にする機会がありました。それが陳列されていたブース全体を俯瞰でなんとな~く見ている時に視界の隅っこで捉えていたんですが、無意識に脳が照合したんでしょうね、今でもハッキリ憶えていますがフッと視界ド真ん中に飛び込んできて、私が漫然と「いいの」と思っていた時計はまさにコレだよコレ!と思ったんです。

独特の深いグリーンダイヤルとそれに映えるイエローのGMT針とのコントラストがすっごくスタイリッシュで、とはいえ全体は奇を衒わないごくシンプルにして端整なデザインで、何しろパッと見ただけでモノの良さがビンビン伝わってきて、それら全要素が頗るバランスよくまとまっていたからです。中身が信頼性文句なしの「9S86」であることは既知だったので、そりゃもう「全方位的に◎!」状態でした。

で、買おう!と思って数日後にはセイコーさんへ連絡したんですが、「SBGJ005」は限定モデルということもあって残念ながら速攻で売り切れ。確か白ダイヤル+青GMT針、黒ダイヤル+赤GMT針のレギュラーモデルはまだ購入可能だったものの、その当時は初見で「どっちもコントラストが強すぎるかな?」と思い、食指が動かなかったように記憶しています。

今回インプレッションする「SBGJ203」は、上述した“黒ダイヤル+赤GMT針のレギュラーモデル”の系譜を汲んだモデル。セイコーから独立して新生ロゴを纏った、私がひと目惚れしたGMTモデルの最新版になります。4年前には食指が動かなかったはずなんですが、なんだか急に惚れてしまい、セイコーさんに「是非ともインプレッションさせてほしい」と懇願したという流れです。

美人なのは重々承知しているものの高校生時分はこっちの好みの問題でさほど好きにはならなかったのに、大学生になって再会したら化粧の具合なのかなんなのか判らないけどドンズバ好みになってて、思わず「付き合ってください」と言わしめた元同級生の女の子、的な感じでしょうか。

ウルサイですか?

ともあれ、そうして“漫然と、しかし長年に亘ってず~っと”探していたGMTの理想形が(期間限定の借りモノですが)僕の手元に来ました。次回以降は、普段使いでこそ判り得た「SBGJ203」の魅力をユルユルとリポートしていきますので、引き続きのご愛読を宜しくお願いいたします。

GRAND SEIKO グランドセイコー「SBGJ203」

お借りした直後、なぜか六本木のうどん屋にて撮った1枚。カサカサの我が肌とは対照的なツヤツヤの外観が、実にGS謹製らしさを感じさせます。