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2018.09.26
高精度ムーブメントが語る「マルタ十字の向上心」ヴァシュロン・コンスタンタン フィフティーシックス
複雑モデルも2型同時発表
高い信頼性をもたらす上質なムーブとモジュール
新コレクションのフィフティーシックスには、前出の“オートマティック”に加え、カレンダー機構に凝った2つのシリーズも用意されている。日・曜日・月の各表示とムーンフェイズとを備えるコンプリートカレンダーと、インダイヤル式のデイ/デイトである。これらの機構は、ダイヤルの下に置くモジュールで追加されている。そのベースとなった自動巻きは、ヴァシュロン・コンスタンタンによる完全自社設計・製造のキャリバー2460。他のコレクションにも使われ、ワールドタイムのベースにも用いられている。
多様なモジュールが追加できるのは、同キャリバーが時刻表示以外にも余力を残す高性能機だから。フィフティーシックスが展開するカレンダー機構の駆動は、日単位や週・月単位とゆっくりで、大きなパワーを必要としない。結果、余力の多くの部分はトルクの安定化へと繋がって、高精度となる。SSモデルも含め、4モデルすべてがジュネーブ・シールを取得。優れた審美性も、これら上位モデルの魅力だ。
その美意識はむろん、ダイヤルにも向けられている。コンプリートカレンダーは、ポインターデイト、ダブルギッシュ(窓)と、伝統的な表示方式を採り、クラシカルな設えとした。
対してデイ/デイトは、日と曜日の両方をインダイヤル式に。2つの表示を左右シンメトリーに並べ、モダンな印象に仕立てている。さらにコレクション中このモデルだけが備えるパワーリザーブ計は、6時半位置とややズラして設置。遊び心も加味した。
左にある各モデルの文字盤側の写真に、それぞれのモジュールが見えている。コンプリートカレンダーは各表示の調整用のアームやバネが太く屈強で、耐久性の高さが窺える。下のデイ/デイトの歯車も大きく、やはり屈強。高性能で高精度なベース・キャリバーに加え、モジュールの高い信頼性も、老舗メゾンの伝統であり、誇り。その強い想いは、オートマティックも含めて全モデルの自動巻きローターに掲げるマルタ十字で表されている。
老舗の尊厳をローターに刻む
マルタ十字の向上心
4つのV字型ラグでマルタ十字を象る象徴的なフォルムには、コンプリートカレンダーとデイ/デイトの各搭載機も展開。むろんどちらも格調高き自動巻きムーブメントを搭載する。さらにこれら上位モデルにも用意されるSSモデルではジュネーブ・シールを取得。美観と精度はより優れる。
コンプリートカレンダーモデル
ヴァシュロン・コンスタンタンの時計に古くからあり、長く得意としてきたカレンダー機構の一つ。ポインターデイト+ダブルギッシュの組み合わせもメゾン伝統のスタイルで、クラシカル感を増す。6時位置のムーンフェイズは、122年で1 日の誤差しか生じない高精度。高い技術力の証だ。
ムーブメント文字盤側
搭載モデル
デイ/デイトモデル
ダブルインダイヤル式のデイ/デイトは、シンメトリーなレイアウトでモダンな印象に仕立てた。各表示の調整は、コレクター式を採用。そのモジュールは大きなブリッジで支えられている。パワーリザーブ計も備わり、自動巻き機構が高効率であることが、針の動きで実感できる。
ムーブメント文字盤側
搭載モデル
[時計Begin 2018 AUTUMNの記事を再構成]
文/髙木教雄 構成/市塚忠義
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