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2018.10.08
【シチズンの工房へ行ってきた!!】機械式キャリバーの製造現場に密着取材
機械式キャリバーの製造現場に密着!!人の知恵で進化を続ける「自動組み立て」の可能性
創業100周年を迎えたシチズンは、先進技術で時計を革新すると同時に機械式の伝統も継承。
さらに機械式ムーブメントの製造方法までも革新し、高度なオートメーション化を実現した。
行ってきたのはココ!
長大な製造ラインを構築し機械式を自動組み立て
クォーツとは違い、機械式ムーブメントの組み立てには多くの手作業が不可欠で、量産には向かない──そんな既成概念を、ここ「シチズン時計マニュファクチャリング飯田殿岡工場」は覆す。案内された工場内では、何度も折り返しては続く機械式ムーブメントの長い製造ラインが構築されていて、人の手に代わってマシンが自動で次々と組み立てていたからだ。
このラインが導入されたのは、飯田殿岡工場が、現体制になる以前の平和時計製作所時代だ。ライン導入前も、同工場は機械式ムーブメントの組み立てを担っていた。その頃はむろん、手組み。そして機械式時計の需要が高まる中、ムーブメント量産の要望に応えるべく、自動化を進めてきたという。現在、この工場には、製品に合わせて3つのムーブメントの組み立て方式がある。高級時計向けの手組みライン、一部を自動化したライン、ほぼ自動化したラインの3つだ。取材陣が案内された上の写真は、ほぼ自動化されたライン。シチズンの機械式ムーブメントの中で、最も量産されるキャリバー82系の組み立てを担う。
専用のトレーにセットされた地板がベルトコンベアーを流れる間に、2番車、香箱と順に各専用マシンが部品を組み付けていく。その工程は、手組みと同じ。途中途中で、センサーや画像で組み付け、不具合も自動チェックしている。導入当初は、自動化できない工程も多く、手作業の介在が必要だったが、改良を重ねることでほぼ人の手を不要とした。ラインのあちこちに、後付けされた装置や改良した痕跡が見られた。そして今も進化を続けているという。機械式ムーブメントの自動組み立ての道は、なお険しい。
まさかここまで自動で!?組み立てラインの意外な〝手作り感〞
メタリックな質感にブルーの深みがより増す
シチズンコレクション
メカニカルロイヤルブルー
NY4050-03L
緻密なサンレイ仕上げのブルーダイヤルが、華やか。デイデイトを備える自動巻きが、この価格で手に入れられるのは、自動製造化の恩恵だろう。Cal.8200搭載。曜日表示は、和英が好みで切り換えられる。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフ革ストラップ。2万9000円。
機械式ならではの鼓動をダイヤルに見て取る
シチズンコレクション
NH9110-81E
搭載するCal.8229は、カレンダー機能を持たない。代わりにクル・ド・パリ装飾のダイヤルには、テンプの動きを見せる窓が設けられている。スリムなコマが3列のラインを成すブレスレットも、エレガント。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。3万8000円。
[時計Begin 2018 AUTUMNの記事を再構成]
写真/岸田克法 文/髙木教雄 構成/市塚忠義