2018.10.08

【シチズンの工房へ行ってきた!!】機械式キャリバーの製造現場に密着取材

機械式キャリバーの製造現場に密着!!人の知恵で進化を続ける「自動組み立て」の可能性

創業100周年を迎えたシチズンは、先進技術で時計を革新すると同時に機械式の伝統も継承。
さらに機械式ムーブメントの製造方法までも革新し、高度なオートメーション化を実現した。

行ってきたのはココ!

シチズン時計マニュファクチャリング飯田殿岡工場
シチズンの腕時計を生むメインファクトリー

1945~48年の間、長野県飯田市に疎開していたシチズンの工場を引き継いだ関連会社「平和時計製作所」が前身。他の関連会社5社とシチズンの製造部門とが合併し、2013年7月1日に今のシチズン時計マニュファクチャリングが誕生した。ここ飯田殿岡工場は、その中核を成し、腕時計はここでケーシングされ、完成形となる。

 

入り口にはショールームも
校外学習や企業研修も受け入れられる態勢に

飯田殿岡工場は、地元の小中学校や各地の時計学校の研修・校外学習も積極的に受け入れている。そのため、エントランスの右手に、シチズンの歴史や時計の製造工程などが分かる展示スペースを設置。ほか主要モデルのラインナップも、見られる。

 

長大な製造ラインを構築し機械式を自動組み立て

クォーツとは違い、機械式ムーブメントの組み立てには多くの手作業が不可欠で、量産には向かない──そんな既成概念を、ここ「シチズン時計マニュファクチャリング飯田殿岡工場」は覆す。案内された工場内では、何度も折り返しては続く機械式ムーブメントの長い製造ラインが構築されていて、人の手に代わってマシンが自動で次々と組み立てていたからだ。

このラインが導入されたのは、飯田殿岡工場が、現体制になる以前の平和時計製作所時代だ。ライン導入前も、同工場は機械式ムーブメントの組み立てを担っていた。その頃はむろん、手組み。そして機械式時計の需要が高まる中、ムーブメント量産の要望に応えるべく、自動化を進めてきたという。現在、この工場には、製品に合わせて3つのムーブメントの組み立て方式がある。高級時計向けの手組みライン、一部を自動化したライン、ほぼ自動化したラインの3つだ。取材陣が案内された上の写真は、ほぼ自動化されたライン。シチズンの機械式ムーブメントの中で、最も量産されるキャリバー82系の組み立てを担う。

専用のトレーにセットされた地板がベルトコンベアーを流れる間に、2番車、香箱と順に各専用マシンが部品を組み付けていく。その工程は、手組みと同じ。途中途中で、センサーや画像で組み付け、不具合も自動チェックしている。導入当初は、自動化できない工程も多く、手作業の介在が必要だったが、改良を重ねることでほぼ人の手を不要とした。ラインのあちこちに、後付けされた装置や改良した痕跡が見られた。そして今も進化を続けているという。機械式ムーブメントの自動組み立ての道は、なお険しい。

まさかここまで自動で!?組み立てラインの意外な〝手作り感〞

小さな専用マシンが並ぶ製造ライン
2つの製造ラインは奥でつながっていて、機械式ムーブメントの自動組み立て工程を流れ作業で次々にできるようになっている。写真で見えているのは、全ラインの半分にも満たない。

 

メタリックな質感にブルーの深みがより増す
シチズンコレクション
メカニカルロイヤルブルー
NY4050-03L

緻密なサンレイ仕上げのブルーダイヤルが、華やか。デイデイトを備える自動巻きが、この価格で手に入れられるのは、自動製造化の恩恵だろう。Cal.8200搭載。曜日表示は、和英が好みで切り換えられる。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフ革ストラップ。2万9000円。

機械式ならではの鼓動をダイヤルに見て取る
シチズンコレクション
NH9110-81E

搭載するCal.8229は、カレンダー機能を持たない。代わりにクル・ド・パリ装飾のダイヤルには、テンプの動きを見せる窓が設けられている。スリムなコマが3列のラインを成すブレスレットも、エレガント。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。3万8000円。

<strong>メタリックな質感にブルーの深みがより増す<br />シチズンコレクション<br />メカニカルロイヤルブルー<br />NY4050-03L</strong><br />緻密なサンレイ仕上げのブルーダイヤルが、華やか。デイデイトを備える自動巻きが、この価格で手に入れられるのは、自動製造化の恩恵だろう。Cal.8200搭載。曜日表示は、和英が好みで切り換えられる。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフ革ストラップ。2万9000円。
<strong>機械式ならではの鼓動をダイヤルに見て取る<br />シチズンコレクション<br />NH9110-81E</strong><br />搭載するCal.8229は、カレンダー機能を持たない。代わりにクル・ド・パリ装飾のダイヤルには、テンプの動きを見せる窓が設けられている。スリムなコマが3列のラインを成すブレスレットも、エレガント。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。3万8000円。

 

[時計Begin 2018 AUTUMNの記事を再構成]
写真/岸田克法 文/髙木教雄 構成/市塚忠義