2019.05.22

真摯な実力派「セイコー」のプロ仕様ウォッチは、まさにプロが絶賛!【国産時計が面白い】

ヘリウムエスケープバルブ無しでも1000m防水ダイバーズなど本職御用達のプロ仕様ウォッチが揃う

セイコーには、職業潜水士に絶大な支持を得る伝統のモデルがある。個性的な外胴プロテクター構造が物語るように、さまざまな独自発想で鉄壁の防水性と屈強性を実現したプロ仕様時計を揃える。

 

伝統の意匠を継承しつつSEIKOスペックはUP!

セイコー プロスペックス
マリーンマスター プロフェッショナル
SBDX014

強靭さを高める外胴プロテクターや裏蓋のないチタン製ワンピースケースをはじめ、初代モデルの技術的な特徴とデザインを継承しつつ、防水性能は1000mまで大幅にアップしている。搭載するのは、雫石高級時計工房製のダイバーズ専用ムーブ「8L35」。自動巻き。径52.4㎜。チタン+セラミックケース。シリコンストラップ。35万円。お問い合わせ先:セイコーウオッチお客様相談室

こちらが1975年登場の"初代ツナ缶"、「プロフェッショナルダイバーズ600m」。チタン製ケースに自動巻きムーブを搭載していた。

 

デザインも機能もセイコーにしかないもの

1975年の初代外胴プロテクターモデルには外装だけで23件もの独自技術(特許、実用新案、意匠登録)が盛り込まれていた。左/衝撃を吸収する外胴プロテクター。当初チタン製だったが、現在はセラミックス製。中/飽和潜水時に最も重要な気密性・水密性を高めるため、L字型ガラスパッキンを封入している。右/手首の動きを邪魔しない4時位置にあるリューズ。

 

昔はウレタンベルト→今はシリコン
一部を蛇腹式として伸縮性を持たせたストラップは当初ウレタン製だったが、現行はシリコン製に。耐久性に優れるだけでなく、しなやかに手首に馴染み、肌触りも上質。

 

超気密性を誇るケース構造でヘリウムガスを根底から遮断

数多くのブランドをもつセイコーの中でも特徴的な“プロスペックス”。個性的な外装から“ツナ缶”の愛称で呼ばれる、外胴プロテクター構造のダイバーズにセイコーらしさがある。同モデル開発のきっかけは1968年に広島の職業潜水士から届いた手紙だ。そこには「現在の市販ダイバーズには、ヘリウムガスを用いる飽和潜水に耐えるモデルがない」と書かれていた。セイコーはこれに完璧な答えを出すため開発チームを結成。’75年、初代の外胴プロテクターモデルを発表した。素晴らしいのが、飽和潜水への対応法だ。現在主流の大深度ダイバーズは、飽和潜水時に内部に溜まるヘリウムガスをバルブから排出して破損を防ぐ。しかしセイコーはこれとは逆の発想。強靭なケースにL字型パッキンなどを封入して気密性・水密性を飛躍的に上げ、ガスの侵入経路そのものを遮断したのだ。

こうした唯我独尊的技術を継承、大幅ポテンシャルアップを果たしたのが紹介するモデル。プロが支持する頂点に立つ1本だ。

 

ジュネーブ時計グランプリ受賞の復刻モデルも!

こちらは昨年、世界限定1500本で発表された「1968 メカニカルダイバーズ 復刻デザイン」。ムーブを当時と同じ10振動としつつ、随所に現代のプロダイバーズに相応しいスペックを付加した点が評価され、’18年度ジュネーブ時計グランプリの「スポーツ」部門賞を受賞。現在は製造終了。

[時計Begin 2019 SPRINGの記事を再構成]
文/吉田 巌