2019.06.29

【国産時計が面白い】ハイポテンシャルの新鋭「トゥルーム」は何故、全アナログ表示にこだわるのか?

ハイテク技術で全モデル全アナログ表示

新進ブランドに実は歴史あり

エプソンの最先端技術の結晶でありながら、あえて全アナログ表示にこだわったトゥルーム。ハイスペックと時計らしいメカニカルな味わいを両取りしたい人には最適なチョイスだ。

 

バリオメーター(昇降計)はこのモデルだけ

トゥルーム S Collection
TR-MB7007

腕に着ける航空計器を目指し、高度計、気圧計、コンパス、昇降計と、多彩な機能を搭載。側面にはトゥルーム独自のストーンフィニッシュ(バレル研磨)が施され、使い込んだギアのようなイメージを高めている。クォーツ。径46.3㎜。セラミックベゼル+チタンケース。ホーウイーン社製レザーストラップ(チタンブレス付属)。10気圧防水。26万円。お問い合わせ先:TRUME お客様相談室

グライダーなどに採用されるバリオメーター(昇降計)を10時位置に配置。1 秒間の上昇/下降を計測し、飛行感覚を視覚的に表現。

 

全工程自社開発で最先端技術搭載

トゥルームのムーブメントには多くの独自技術が詰まっている。中でもコアとなるのがGPSモジュールとモーターだ。GPSモジュールはかつてない省電力、高精度、高感度を実現すべく開発・設計。一方モーターも、長い針を動かし、かつ素早い動きを実現するため、小さなエネルギーでありながらトルクを最大化できるよう、自社でイチから開発・設計した(写真上はL Collectionのもの)。

 

視認性重視でフォントにまでこだわる
トゥルームのオリジナルフォントに加え、計測結果を示す部分にはコックピットにも使われるメーターフォントを使用。視認性を高めるとともに計器としてのリアル感を追求した。

 

すべての瞬間を針で可視化!独創の高機能アナログ時計

光充電式にして、GPSセンサーのほか、気圧・高度や、方位などを計測するセンサーまで装備。トゥルームには、エプソンが時計作りで培った先進技術がすべて詰まっている。驚くべきはこんなハイテクの塊が、全モデルをアナログ表示としていることだ。デジタルのほうが簡単なはずなのに、あえて針で表示するところに“時計らしさ”を追求する情熱が窺える。

もちろん光充電だけで多彩なファンクションを稼働させ、各種の針を動かすのは相当困難だったはず。そこを叶えることができたのは、エプソンに“省・小・精の技術”が綿々と息づくため。つまり、エネルギーを省く、ものを小さくする、精度を追求するという3つの技術により、いまだかつてない高機能アナログ時計が誕生したのだ。

今回ご紹介した「TR –MB7007」は、飛行に必要な計測機能を集約しており、10時位置には“昇降計”まで搭載! アナログ運針ならではの計器感とダイナミズムを感じたいのなら、最も狙い目のモデルだ。

 

全モデルがGPSソーラー!

トゥルームは全モデルが電池交換不要の光発電式。さらに自社で開発した高感度・低消費電力のGPS受信システム"サテライトリンク" も搭載している。これは国産の準天頂衛星「みちびき」(初号機)に対応し、世界トップクラスの受信感度で、正確な時刻を表示するのだ。

[時計Begin 2019 SPRINGの記事を再構成]

文/吉田 巌