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2019.07.17
【ヴァシュロン・コンスタンタンの工房へ行ってきた!!】美観にこだわるジュネーブブランドの矜持とは?
どんなパーツも美観にこだわるジュネーブブランドの矜持
技術だけではなく美的センスも超一流
創業は1755年。ジュネーブを代表する老舗メゾンの時計には、美と技術力の高さとが融和する。その最終的な製作を担う本社工場では、美観を整え、複雑さを極める手業が受け継がれてた。
行ってきたのはココ!
ジュネーブ(プラン・レ・ワット)本社工場
コンプリ系パーツは微調整できるよう気持ち大きめに作るのが鉄則だった!!
精巧さと美しさとを複雑機構に与える職人技術
1790年から複雑機構を手掛け、今も世界一複雑な時計の製作者といわれるヴァシュロン・コンスタンタン──ジュネーブ伝統の美しさに加え、精巧さを極める高い技術力を有しているのが、名門と呼ばれるゆえんだ。
本社工房内のアトリエでは、メゾンが誇るコンプリケーションやグランドコンプリケーションの組み立てに、真摯に向き合う時計師たちの姿があった。一人が一つを最後まで責任を持ち、精度調整やダイヤル付け、ケーシングまで行っているという。モデルによっては600個を超えるパーツ類は、ジュウ渓谷にある第2の工房「ヴァシュロン・コンスタンタン・バレ・ド・ジュウ」で精密に製造され、プラン・レ・ワットの工房に届けられる。
それらのパーツは、組み立てながら正確かつ滑らかに動くよう、噛み合わせ具合などがその都度確かめられ、不具合を解消するために時計師の手で度々手直しされる。そして完璧な動きが確認された後、すべてバラされ、それぞれに手仕上げを施してから再度組み立て、再現性が確かめられている。こうした微調整や手仕上げで削り取られる分を考慮して、ジュウ渓谷の工場でパーツを製造する際は、ほんのわずかに大きく作られている。むろん大きすぎては、不具合が増えてしまう。その微妙な匙加減に、複雑機構を長く手掛けてきた名門ならではのノウハウが潜む。
また別のアトリエでは、クロノグラフのムーブメントが組み立てられていた。一人の時計師が担うのは、脱進機の組み込みまで。最終工程であり、かつ精度への影響が最も大きいテンプの組み込みは専門の技術者が行い、完璧な歩度へと調整されていた。クロノグラフやベーシックなムーブメントのパーツ製造部門は、ジュネーブの本社工場内にある。もちろん、これらのパーツも丁寧な仕上げが施され、老舗メゾンならではの優れた美観が育まれる。
ドレッシィな複雑時計
複雑機構も薄型を実現
[時計Begin 2019 SUMMERの記事を再構成]
文/高木教雄 写真/岸田克法 構成/市塚忠義