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2020.12.03
「作り方は?」「軽い?重い?」ブロンズ時計の気になるQ&A
ブロンズ時計どうやって作る?
ブロンズケースの成分はこれ!
銅:92%
錫:8%
※パネライの場合
触れないから作るのは大変!
ケーシングも販売時も直接触れるのはNG!
錫ブロンズは、指が触れただけで変色する。ゆえにケーシングなどの作業には、指サックが不可欠。防水検査も、空気圧によるドライ試験機で行われる。また空気に触れると変化が始まるので、店頭に置く際にも密封状態に。実にデリケートな素材なのだ。
銅と組み合わせる金属で経年変化の速さが変わる
ブロンズとは元来、銅と錫(スズ)の合金。パネライは、その工業規格の中で強度に優れる銅92%+錫8%のCuSn 8 を用いてきた。対して他社が多用するのは、錫を主にアルミニウムに置き換え、銅の比率も抑えたアルミニウム・ブロンズ。銅よりも先にアルミニウムの酸化被膜が生じ、また耐摩耗性が錫ブロンズよりも高いため経年変化が緩やかに進み、店頭などで扱いやすい。
オーバーホールの時ケース磨きはできる?
他の素材同様普通にできます!
ブロンズは柔らかく、研磨加工が容易。経年変化の具合が気に入らず、磨き直しを望むなら、それは叶う。このオリス製に限らず、ブロンズ時計の多くはヘアライン仕上げ。それ専用のバフにかければ、ご覧のようにピカピカになる。ただ作業中に指で触れると、そこからまた変色が進むので、指サックが欠かせない。また研磨剤も、ゴールドやSSより少なめにするとか。
黒いくすみは薬剤でも落ちる!
ピカピカじゃなくてちょっと
キレイに磨き直しとは文字通り表面を磨き取るので、その分外装は痩せる。また適度にエイジングの味を残すのが難しい。前述のように、パティナとはブロンズに含まれる銅の塩基性酸化物。この酸化を化学的に中和する銅酸化皮膜除去剤を用いれば、黒ずみ程度なら取ることが可能だ。実践してもらうと、薬剤に20~30秒ほど浸け、布でふき取るだけで、黒ずみが明らかに薄まった。
エイジング
ここで止めたい!そんな時は?
魔法の液体 クリスタルガード!
証言
時計店「A. M.I 名古屋パルコ」森田大樹
お店のブログ企画で本誌編集長とベル&ロスの魅力について対談した際、森田氏が推していたのがコレ。「クルマ用として非常に優れたコーティング剤を、時計用に改良したものです。ブロンズケースが好みのくすみ具合になったときに使うと、透明な皮膜でコーティングされるので、それ以上は変色しないと言われています」
A.M.Iのネットブティックhttps:/netboutique.e-ami.co.jpでも購入可能。30㎖。3000円。問い合わせ:オールージュ
ブロンズ時計は軽い?重い?
チタンやSSより重くゴールドより軽い
同サイズのヴァンガードで重さを比較してみました!
ケースを自社製造するフランク ミュラーには、様々な素材が揃う。そこで同サイズの4つのヴァンガードのケースだけを、実際に計って重さを比較。その結果、チタンの軽さが際立ち、気になるブロンズはSSとゴールドの中間値だと判明した。SSの比重は7.8g/㎤前後、ブロンズは種類にもよるが概ね8g/㎤前後。SSより重い素材なのだ。
ブロンズケースが限定で登場!!
力強くモダンなトノウ型ケースとオールドマテリアルとの出会いが新鮮。どんな風にエイジングするのか、楽しみ。すべて自動巻き。ケース53.7×44㎜。問い合わせ:フランク ミュラー ウォッチランド東京
ブロンズ
38.7g
クロコダイル+ラバーストラップ。ブロンズケース。限定88本。165万円。
ゴールド
41.7g
クロコダイル+ラバーストラップ。18KPGケース。225万円。
SS
36.5g
クロコダイル+ラバーストラップ。SSケース。100万円。
チタン
20.4g
ファブリック+ラバーストラップ。チタンケース。110万円。
※ケースの重さは胴部のみ(裏蓋、ガラス、リューズは含まず)で測定。合金にする各素材の比率は、他社同様になるとは限りません。
自分でできるメンテナンスは?
重曹でキレイになります
レンジの油汚れに効く重曹は弱アルカリ性で、銀や銅の酸化による黒ずみが中和でき、金属工芸でも使われる。少量の水を混ぜてペースト状にし、布などに付けてブロンズを拭くとパティナが落ちる。ただ粒子が荒く、キズが付くこともあるのでご注意を。
※重曹によるメンテナンスは、メーカーが推奨しているわけではありません。必ず汚れが取れるとも限りませんので、ご自身のご判断でお願いいたします。
[時計Begin 2020 autumnの記事を再構成]