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2021.02.24
押さえておきたい腕時計の選び方・基本の「き」
押さえておきたい時計の基本の「き」
計選びで最初にぶつかり、心を悩ませる選択といえばケースの種類と駆動機構。理想のモデルへ続く道のりの重要な分岐点と心得て、慎重に判断しよう。
まず、デザインと機能性の要所を押さえよう!
ケース形状と駆動機構の種類はそれぞれ時計の”外”と”内”そのもの。時計を構成する重要なエッセンスにほかならず、つまり、両者の選択を誤らなければすでに基礎が固まったようなもの。”丸”か”角”かは、しょせん見た目の問題と侮るなかれ。ブランドや機種によっては搭載可能なムーブメントに制約が生じることもあり、結果、機能性にも関わってくる。
同じく手巻きと自動巻きの差異も単純にオートか否か、ではない。こちらは逆にケースの厚みなど、デザインにも関係し、気に入って長く付き合えるかどうかにも影響する。
いずれも、それぞれの個性やメリットを吟味しつつ、自身のライフスタイルや用途に照らし合わせて総合的な判断をすることが大切だ。
ケースは丸型? それとも角型?
オーソドックスなのは丸型。だが角型も、相対的に少数派とはいえ正四角~長方形まで種類が多彩。トノー(樽)型も含めると選択肢は非常に豊富だ。
機種によっては個性を主張しやすい
◯ スマートな個性化が可能
奇抜な配色や意匠に依存せず、簡素な面立ちながら形状の妙によってさりげなく個性を出す、という絶妙な塩梅が得られやすい。
× フィットしにくい場合も
丸いキャリバーを四角いケースに収めたものが多く、”余剰”の角部分が装着感を妨げたり、着用時のバランスを崩す場合も。
角型
安定感のある王道的フォルム
◯ 汎用性が高い
同じ色やデザインフォーマットであれば、どんな装いにも合わせやすく、用途の幅も広い。最初の1 本としても失敗が少ない。
× 他人と被りがち
あまりにも普遍的ゆえ、フォルム自体に個性を表現する要素、余地がなく、ともすれば面白みに欠ける、という不満の元にも。
丸型
ムーブメントは手巻き? それとも自動巻き?
自動巻きは手巻きの進化型。単純に考えれば前者が勝る、となりそうだが、その限りではないところが時計の魅力。迷うのも、楽しみのうちだ。
手動でゼンマイを巻く、シンプル構造
◯ 部品数が少ないため、耐久性に優れる
自動巻き機構がない分、故障リスクが軽減するという考え方も。また、内部を覆うローターがないため”美観”が楽しめるという面も。
× 巻き上げは意外に大変なことも
定期的に巻き上げを行うのは、状況(や性格)によっては負担となることも。巻き上げの工程を楽しむ余裕をもちたいところ。
ジャガー・ルクルト
JAEGER-LECOULTRE
キャリバー822/2
レベルソの歴史を支えた傑作
1993年に誕生した角型の手巻きムーブメントで、振動数は毎時2 万1600。初期はテンプにチラネジを用いていたが、現在はフリースプラングに進化。
手巻き
着けているだけでゼンマイが巻き上がる
◯ とにかく便利! 性能も日進月歩で進化
ゼンマイを巻く手間がかからないのは明快な利点。また自動巻きは目下、矢継ぎ早に新技術が実用化され、利便性の向上が目覚ましい。
× ケースに厚みが出やすい場合も
自動巻きは裏ブタ側に巻き上げ用のローターを設置しているため、一般的に手巻きモデルよりもスリム化が難しく、重量も増えがち。
オリス
ORIS
キャリバー400
10年間メンテフリーの5 日巻き
2020年秋発表の最新作は、脱進機にシリコンなどの非金属、及び耐磁性素材を投入。120時間パワーリザーブ、10年間のメンテナンスフリーを実現。
自動巻き
知っているようで知らない!?
時計「装飾」用語
用語がわかれば、時計選びはなお楽しくなる。まずは装飾用語の基本から!
ギョーシェ
機械、手作業で文字盤に施す立体装飾。当初は光の反射を抑え、視認性を高める意図もあった。
クル・ド・パリ
ギョーシェ加工の一種で、フランス語で「パリの爪」を意味する。無数のピラミッドが重なったようなパターンで、パリの石畳に想を得たという説も。
ペルラージュ
ムーブメントの地板やブリッジに施される装飾仕上げのひとつ。真珠を思わせる円周状の模様を規則正しく重ねたもの。手作業のものは高級とされる。
コート・ド・ジュネーブ
ムーブメントの装飾仕上げで、スイス•ジュネーブの湖畔のさざなみを思わせる、繊細な縞模様。「グラスヒュッテストライプ」と呼ばれることも。
クロワゾネ
文字盤に施すエナメル装飾のひとつで、金属線の枠に釉薬を流し込み、焼成する技法。熟練技術が必要で、高級時計で用いられる。日本語で「有線七宝」。
[時計Begin 2021 WINTERの記事を再構成]