2021.03.01

時計のトレンドワード「ラグスポ」ってなに?いつごろから?

Q8 「ラグスポ」ってなに?いつごろから?

A8
高級老舗のスポーツ系’19年より種類が激増!

アクティブな気品に世界が夢中!

時計シーンのトレンドワード、”ラグスポ”は”ラグジュアリー・スポーツ・ウォッチ(あるいはモデル)”の略称で、いわゆる高級ブランドが手がけるスポーツモデルのこと。貴金属ケースのドレスウォッチで伝統を築いてきた老舗が、技術力のベクトルを大胆に転換、SS素材を駆使して本気で作ったこれらは、アクティブな趣のなかにブランド本来の気品が宿る。フォーマルな装いにも馴染み、ハイレベルな汎用性が魅力の核心なのだ。

ラグスポの嚆矢は1972年に鬼才、ジェラルド・ジェンタがデザインしたオーデマピゲのロイヤルオークといわれ、その後、彼が1976年にパテックフィリップで手がけたノーチラスも高品位なSSケースをはじめとする同様の概念が受け継がれ、ラグスポは一大カテゴリーに。2019年頃から、その系譜に連なる新作の増加が顕著に。ラグスポは新たな局面を迎え、時計ファンをさらに増やしている。

 

オーデマ ピゲ
AUDEMARS PIGUET
ロイヤル オーク
高級時計の概念を変えた、高貴なるSS機種

1972年の初代ロイヤル オークのデザイン画。ラグジュアリーウォッチといえば貴金属素材をあしらったドレスモデル、と相場が決まっていた1970年代、まさかの逆行でブレイクスルーを果たした。その衝撃は今なお時計シーンに深く刻まれている。

 

ラグスポの先駆けとなった名作

197 2年製 ORIGINAL

ロイヤル オーク
画期的な2ピース構造で薄型化を果たした

1972年にデビューしたRef.5402STはベゼルと、ミドルケースの間にラバー製のパッキン(インナーケース)を挟み、ベゼル側からネジで固定する特殊構造。ケース径は39㎜。

手の込んだSSの造形と仕
上げで革新的立体感を得たロイヤル オークは、時計デザイナーのジェラルド・ジェンタが初めて時計全体デザインを手がけた。

 

現行モデル

ロイヤル オーク オートマティック
2020年の最新作 シルバーダイヤル

2019年に一新した新生ロイヤル オークに加わったカラーバリエーション。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレスレット。50m防水。215万円。問い合わせ:オーデマ ピゲ ジャパン

自社製Cal.4302を搭載。振動数が毎時2万8800となり、パワーリザーブも先代Cal.3120の約60時間から約70時間に増えた。

 

ラグスポ伝説加速させた立役者

現行モデル

パテック フィリップ
PATEK PHILIPPE
ノーチラス5712/ 1A
入手困難な人気モデル

ムーンフェイズを搭載。自動巻き。径40㎜(10-4時方向)。SSケース&ブレスレット。6気圧防水。470万円。問い合わせ:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター

搭載キャリバーは22金の偏心マイクロローターを採用したCal.240 PS IRM C LU。パワーリザーブ表示やデイト機能も搭載する。

 

1976年製 ORIGINAL

ノーチラス
独創メソッドが生きるラグスポの代名詞

ジェラルド・ジェンタが手がけた初代Ref.3700/1Aは2 ピース構造のケースで120m防水&7.6㎜ 厚を実現。現行モデルはサファイヤクリスタル・バックの3ピース構造になっている。

 

往時から続くロングセラーと、新たなコンセプトの注目株がしのぎを削る

良作が続出で〝熱い〞ラグスポシーン。老舗の本気が炸裂する、ハイエンドムーブ搭載機が勢揃い。

A.ランゲ&ゾーネ
A.LANGE & SÖHNE
オデュッセウス
ブランド初となるフル・スレンレスモデル

Cal.L155.1 DATOMATICを用い、曜日表示とアウトサイズデイトを左右対称に配置。自動巻き。径40.5㎜。ステンレススチールケース&ブレスレット。120m防水。310万円。問い合わせ:A.ランゲ&ゾーネ

防水ケースはスリーピース構造で、リューズはねじ込み式。厚さは11.1㎜だ。リューズ側の側面には、曜日表示とアウトサイズデイトの調整用プッシャーが配される。ケースバックはシースルー。

ブルガリ
BVLGARI
オクト フィニッシモ オートマティック サテンポリッシュ
〝薄さ〞で世界を制した新世代のラグジュアリーモデル

様々な様式で6度の世界最薄記録を樹立したコレクションの3針モデル。最新版はサテンポリッシュ。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。100m圧防水。130万円。問い合わせ:ブルガリ ジャパン

プラチナ製のマイクロローターを用いたムーブメントCal.BVL138は厚さわずか2.23㎜。贅沢に施されたコート・ド・ジュネーブ装飾が美しい。多面体の立体構造のケース厚は、6.4㎜だ。

 

ヴァシュロン・コンスタンタン
VACHERON CONSTANTIN
オーヴァーシーズ・オートマティック
2016年にリニューアルしたフラッグシップモデル

1977年に発表されたラグスポ、「222」の個性を今に伝えるフルステンレスモデル。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレスレット。150m防水。220万円。問い合わせ:ヴァシュロン・ コンスタンタン

5年をかけて開発した自社製ムーブメントCal.5100を2016年に搭載。高品質の証、ジュネーブ・シールを取得し、パワーリザーブは約60時間。シースルーバックからその雄姿を眺めることができる。


H.モーザー
H.MOSER & CIE.
ストリームライナー・センターセコンド
人間工学を取り入れた流麗なフォルム

2020年に発表されたフライバック・クロノに次いで発表された3針は、お家芸のフュメダイヤルが麗しい。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレスレット。12気圧防水。215万円。問い合わせ:エグゼス

搭載するのは、ひげゼンマイまで完全に自社で製造したマニュファクチュールムーブメントCal.HMC200。毎時2万1600振動で、パワーリザーブは約72時間。シースルーケースバック。


[時計
Begin 2021 WINTERの記事を再構成]