2021.11.30

チューダーはなぜブレスレットまでブロンズにしたのか?


直接肌に触れる部分だけど大丈夫なのか
なぜブレスレットまでブロンズにしたのか?

ブロンズウォッチ人気の火付け役チューダーが、ついにブレスまでブロンズ製に。ケースと調和して、時計全体が同じパティーナを浮かべながら自分色に育っていく。

経験則が長いブロンズに絶大なる自信を持つ

ブラックベイに初のブロンズケースが投入されたのは、日本上陸前の2016年のことだった。それまで他社では高額な限定モデルにしかなかったブロンズウォッチをレギュラーに据えたのは、チューダーが初。しかも3800スイスフランという価格設定で、一気に身近な存在にもしてみせた。

マスタークロノメーター取得の話題の熱がまだ冷めぬわずか1ヵ月後、チューダーは再びホットな新作を発表した。この「ブラックベイフィフティ-エイトブロンズ」である。まず、お気づきであろうか?これがフィフティ-エイト初のブロンズモデルであることに。過去2作のブロンズは、いずれも43㎜ケースのブラックベイだった。それが39㎜のフィフティ‐エイトで登場したのだ。小振りなケースは、ブロンズがもたらすレトロ感をより高めてくれる。さらに異彩を放つのは、ブロンズ製ブレスレットとの組み合わせ。時計界初ではないが、レギュラーモデルでブロンズブレスレットを展開する例は、極めてレアである。

黄金色に輝くブロンズは、使ううちに表面が酸化・硫化して色変わりしてゆく。この経年変化こそが、ブロンズの魅力だ。チューダーが用いるのは、古来からある錫×銅のブロンズと比べゆるやかに変化が進むアルミニウム・ブロンズ。とはいえ、使ってしばらくすれば黒ずむし、使用環境によっては緑青も発生する。だからこれまでのブロンズケースは、直接肌に触れる裏蓋は、色移りしないようSSにブロンズカラーPVDだった。一方、新作のブレスレットはブロンズの無垢。しかしチューダーは「アルミニウム・ブロンズを5年ほど使用し、その安定性は実証されている」と、自信を覗かせる。

「もちろんコーティングなどは施していないので、色移りを完全に避けることはできません。しかし万が一手首に色移りが発生しても、石鹸で軽く洗えば簡単に落とすことができます」

ブラッシュ仕上げされたケースとブレスレットは、全体が均一に色変わりしていく。時計全体を育てる楽しみは、他に代え難いブロンズブレスレットならではの価値である。その姿はSSブレスと同じく、1950年代にあったリベット留めスタイルを踏襲。サイドにそのヘッドが連なる少し荒々しい様子は、重厚なブロンズによく似合う。またクラスプ(バックル)は新デザインとなり、8㎜幅を5段階で調整できるエクステンション機構が備わる。最新機能で進化したリベットブレスで、チューダーはブロンズ人気を加速する。


ひと回り小さくても重厚感を増す新ブロンズ

ブラックベイフィフティ-エイトブロンズ

ダイヤルは3・6・9をアラビア数字としたブロンズモデル専用デザインを採用。そのダイヤルと逆回転防止ベゼルは、経年変化したブロンズブラウン色に。これらと同色で中央に金のストライプを配したファブリックストラップとのセットで、ブティック限定。自動巻き。径39㎜。ブロンズケース&ブレスレット(ファブリックストラップ付属)。51万4800円。

 

[時計Begin 2021 autumnの記事を再構成]