2022.05.26

進化し続けるオメガ「スピードマスター」

オメガ スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター/Cal.3861搭載の新プロフェッショナルは、前作と同じく割れても飛び散らないヘサライト風防と頑強なソリッドバックを採用。新設計のブレスはソリッドな印象が強く装着感もより高めた。手巻き。径42mm。SSケース&ブレスレット。81万4000円。

2015年にオメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)とが制定した腕時計の新たな公的規マスター クロノメーターを取得するためには、1万5000ガウスの高磁場下での精度の安定が求められる。それをかなえるのが、オメガの自社製ムーブメントが採用する非磁性の金属で作られたマスター コーアクシャル脱進機とテンワ、そしてシリコン製ひげゼンマイである。

対してムーンウォッチの伝説を継ぐスピードマスター プロフェッショナルが搭載するキャリバー1861は、脱進機は一般的なスイスレバー式で、ひげゼンマイはニヴァロックス製。オメガの中で、マスター クロノメーター取得がかなわない唯一のモデルだと考えられていた。

ところが2019年、オメガの技術陣はキャリバー1861をベースにシリコン製ひげゼンマイとマスター コーアクシャル脱進機を採用したキャリバー3861を開発し、まずアポロ11号 50周年記念モデルに搭載。そして昨年、スピードマスター プロフェッショナルにも採用され、ついにマスター クロノメーター取得をかなえた。

キャリバー3861の基本設計は、1861と同じ。しかしマスター クロノメーターは、COSC取得が前提なので、ノンCOSCだった1861より高精度ということになる。外観は、1861モデルと双子のように酷似。そしてNASAと同じ試験をオメガとMETASとで行い、それをクリアしたことで、宇宙空間で使える性能を持つことを実証している。超高耐磁に進化したスピードマスター プロフェッショナルは、ムーンウォッチの伝説を再び現代へとつなぐ。

パーツを変更してマスター コーアクシャル化

Cal.3861は1861の基本設計を流用しているので、直径や厚み、振動数は同じ。フリースプラング化したテンプにはシリコン製ひげゼンマイが載る。スイスレバー式脱進機をコーアクシャル脱進機に変更するために地板とブリッジは再設計され、石数も8個増えた。パワーリザーブは50時間。

METASとは?

スイスの公的機関で、マスター クロノメーター取得に課せられる8つの試験と合格基準を定め、認定も行う。左は、その試験の様子。1万5000ガウの強磁場の中に時計を設置し、精度などを確かめる。

 

バリエーション

"プロフェッショナル"のサファイアクリスタル風防仕様。裏蓋もトランスペアレント化され、Cal.3861の雄姿が見られる。前作よりリューズが大きくなり、操作がしやすい。手巻き。径42mm。SSケース。カーフストラップ。88万円。

スピードマスター キャリバー321 カノープスゴールド/2019年に復活させたCal.321を、初代スピマスの姿を独自の18金素材で再現した外装に搭載。手巻き。径38.6mm。カノープスゴールドケース&ブレスレット。957万円。

スピードマスター キャリバー321 カノープスゴールド/2019年に復活させたCal.321を、初代スピマスの姿を独自の18金素材で再現した外装に搭載。手巻き。径38.6mm。カノープスゴールドケース&ブレスレット。957万円。

 

お問い合わせオメガ公式サイト

[時計Begin 2022 SPRINGの記事を再構成]