2022.09.28

ブランパン フィフティ ファゾムス シリーズの歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.2

ダイバーズウォッチの礎を築いた時計業界の至宝モデル

BLANCPAIN ブランパン

【フィフティ ファゾムス】

ブランパンのスポーティモデルを代表する「フィフティ ファゾムス」。精悍なブラックベゼルを擁した元祖ダイバーズはどのようにして生まれたのか? その誕生から近年の復活までを追う!

Original Model オリジナルモデル

1953年

仏海軍特殊部隊用に開発された初代モデル

1950年代初頭に開発計画が始動し、’53年に完成したオリジナル「フィフティ ファゾムス」。潜水時間を計測するための回転ベゼル、深海で視認性を確保する夜光塗料付きの針、インデックスを装備した自動巻きモデルだった。しかも当時としては異例といえる91.45mの防水性能を有していた。

 

高い技術力が成し遂げた斬新かつ高次元な時計開発

フィフティ ファゾムス誕生のきっかけは、フランス軍特殊部隊の要請によるものであった。1950年代初頭、特殊部隊「フロッグマン」を率いて、“フランスの007”の異名をとったロベール・マルビエ氏が、当時のブランパンCEOのもとを訪れた。マルビエ氏が求めたのは、高度な防水性と視認性に加え、潜水時間の経過を正確に計測する機能をもち、水中での過酷なミッションに活用できる腕時計。当時の技術では、それらすべてを網羅した製品を生み出すのは困難と思われたが、ブランパンは見事にその要求に応えてみせた。完成したモデルは、独自のダブルケースバック構造によって、その名が示す水深91.45メートル(1ファゾム≒1.82m)の防水性を実現。さらに、文字盤上に夜光塗料を施したインデックスと針を配して高い視認性を確保し、数字入りの回転式ベゼルを搭載することで潜水中の時間計測も可能に。現在も通用する全要素を兼ね備えたダイバーズの元祖がここに誕生した。

 

こちらは1956年のオリジナル

バチスカーフ

1950年代後半、当時CEOであったジャン-ジャック・フィスター氏の発案により、水中のみならず日常使いもできる時計として開発。初代よりも小ぶりで、ファッション性の高いデザインが人気を呼んだ。また、日付表示を備えたシリーズ初のモデルでもある。

 

その高性能ぶりはすぐに世界中に知れ渡ることとなり、’70年代にかけて、アメリカのネイビーシールズを筆頭に、名だたる軍や特殊部隊に採用されていく。’80年代のクォーツショック時にいったん製造は休止されるものの、’90年代に入ってから復活。そして2003年の限定復刻を経て、’07年には本格的なレギュラー製造を再開する。新生モデルは、初代の意匠をふまえつつ、象徴的な回転ベゼルにサファイアクリスタルを使い、5日間巻きの自社製ムーブを搭載するなど、軍用の概念を覆す贅沢な仕上がり。いまや高級ダイバーズの代表格として君臨する。

【1970年代】西ドイツ海軍によって制式採用された’70年代モデル。「バチスカーフ」で初採用された日付表示を3時位置に配し、長針はオレンジで強調した太目のタイプを装備。4時位置にリューズをセットする。【変更点】1960年代~70年代にかけて、フィフティ ファゾムスは米海軍(ネイビーシールズ)、西独海軍、イスラエル軍などにつぎつぎに採用され、それぞれデザインやサイズ、仕様が異なるモデルを供給していた。そのなかにはデイト付きと無し、デイデイト表示付き、回転ベゼルが赤色のもの、そして最大の特徴である回転ベゼルを搭載しないものなど、さまざまなタイプが存在した。だが、ダイバーズらしい視認性の高いスタイルだけは全モデルに共通していた。【基本スペック】ケース径42㎜。自動巻き。2万1600振動/時。200m防水。生産終了。

【1990年代】約20年の時を経て復活したフィフティ ファゾムスの’90年代版「トリロジーモデル」。上の3針のほか、GMT機能付き、クロノグラフの全3タイプが同時リリースされた。現在はすべて廃番となっている。【変更点】1990年代後半、装いも新たに復活を果たした新生フィフティ ファゾムス。そのデザインにおける最大の変更点は回転ベゼルであろう。精悍なブラックを基調としていた回転部分がスティール製となり、インデックスは立体のアラビア数字で、5分刻みで配されている。これにより初代とはずいぶん印象の異なるスタイルとなった。また、スペックはかなり向上して、防水性は300m、パワーリザーブは100時間にアップ。ケースサイズは約40㎜へと変化を遂げている。【基本スペック】ケース径40.3㎜。自動巻き。2万1600振動/時。300m防水。生産終了。

【2007年】ついにフィフティ ファゾムスが本格的に復活。オリジナルデザインを踏襲しつつ、サファイアクリスタル製の回転ベゼル、高性能な自社製ムーブメントの搭載といった現代的アレンジを施した。またストラップには、耐水性・装着性ともに抜群のセイルキャンバス素材を採用。発表後はたちまち人気高級ダイバーズの仲間入りをし、派生モデルを数多く送り出しながら、今日まで現行品としてラインナップされている。【変更点】注目すべきは何といっても、フィフティ ファゾムス初となる自社製ムーブメント。搭載するCal.1315は、2006年発表の手巻きCal.13R0を自動巻きに発展させたもので、シンプルな設計と高いパフォーマンスが特徴。巻き上げ効率の高い自動巻きローターを備え、3重香箱の採用で5日間の超ロングパワーリザーブを実現する。また、2003年の50周年記念モデルで初採用したサファイアベゼルを引き続き取り入れ、個性的なセイルキャンバスストラップを装備。【基本スペック】ケース径45㎜。SSケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。191万4000円。

【2013年】フィフティ ファゾムス誕生60周年の2013年に発表した「バチスカーフ」の復刻モデル。シャープなフォルム、薄型の回転ベゼルなどでオリジナルを彷彿とさせる一方で、アンスラサイトのボンベ型文字盤には、より洗練されたドットデザインを取り入れた。また、トリプルループのNATOストラップが、ミリタリー人気のファッショントレンドにぴったり合致した。限定リリースではなく、レギュラーモデルとしてラインナップされた。【バチスカーフの特徴】特徴はセラミックインサートを使ったサテン仕上げのSS製逆回転防止ベゼル。スケールにリキッドメタルの目盛りをセットし、耐傷性を高めるとともに、独特の風合いを醸し出すことに成功。本来はダイバー向けの装備だが、薄型とすることでタウンユースにも最適なスタイルに。また、ムーブメント内にはシリコン製ヒゲゼンマイを搭載して耐磁性を格段にアップさせている。フィフティ ファゾムス同様、5日間のロングパワーリザーブを備える。【基本スペック】ケース径43㎜。SSケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。138万6000円。

【2016年】フィフティ ファゾムス バチスカーフに グレーのプラズマセラミック モデルが登場。海の深さを想起させるディープ ブルーのダイヤルを備えた、フィフティ ファゾムス バチスカーフの3針モデル。【変更点】ブルーセラミックインサートを使ったグレーのプラズマセラミック製ベゼルには、変形しない合金、リキッドメタルの目盛表示が配されている。このケースはグレーのプラズマセラミックを作り出す技術を存分に駆使した成果で、この製法によって、メタリックカラーに絶妙なグラデーションをかけることに成功している。グレーのプラズマセラミック は、2014年に発売されたオーシャン コミットメント バチスカーフ フライバック クロノグラフに使用されていたものだった。【基本スペック】ケース径43.6㎜。セラミック製ケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。169万4000円。

【2020年】「バチスカーフ フライバック クロノグラフ」にグリーンが登場。【変更点】完璧なカラーと仕上げを実現するにはかなりの研究開発期間が必要だった。ダイヤルは複数のナノ層でコーティングされ、表面に反射して変化する光が期待通りの色合いを出すまで、試行錯誤の連続だったとか。フィフティ ファゾムス バチスカーフ フライバック クロノグラフのダイヤルは、光 の加減によってグリーンに見えたり、メタリックに見えたり、"複雑で楽しい"モデルとなっている。【基本スペック】ケース径43.6㎜。セラミック製ケース。フライバック機能付きクロノグラフ。自動巻き。3万6000振動/時。300m防水。225万5000円。

【2021年】チタン製ケースのブレスタイプのバチスカーフが初登場。【変更点】チタンは信頼のおけるダイバーズウォッチの味方であり、高い耐衝撃性や耐圧性、 耐食性など、多くの利点がある素材。30気圧(水深およそ 300m)の防水性能を誇る新しい「バチスカーフ」のシャープな輪郭のケースは直径43mmで、サテン仕上げ のグレード 23 チタン製となる。この最高級チタンは、加工難易度が非常に高く、多くの機械を必要とするため、時計産業ではほとんど使用されていない。アンスラサイトカラーの文字盤に手作業で施された垂直方向のサテン仕上げが、非常にモダンでマットな印象を与えている。【基本スペック】ケース径43㎜。チタン製ケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。185万9000円。

【2022年】フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダーのチタン製バージョンと、レッドゴールド製バージョンの2つの新モデルが登場 。スポーティな機能と曜日・月・日付表示を組み合わせた「バチスカーフ コンプリートカレンダー」は、最初のバチスカーフを生み出した普段使いの実用性重視の原則をより強固なものにしたモデルとなる。ダイヤル上の表情を引き立てるのが、6 時位置の大きな窓に表示されるムーンフェイズ。このバチスカーフの自動巻きムーブメント 6654.P も、セキュリティシステムが搭載された日付機構によって保護され、通常のカレンダーウォッチと異なり、ムーブメ ント損傷のリスクを冒すことなく、いつでもそれぞれの表示機能を設定できる。【変更点】チタン製モデルは、微妙なグレーの濃淡が特徴。サンバースト仕上げのアンスラサイトダイヤルには、ゴールドのアワーマーカー、ロジウムメッキを施した針とムーンフェイズ表示が配され、その美しさを際立たせている。同じくアンスラサイトのベゼルは、サテン仕上げがモダンなマット効果を生み出すセラミック製で、リキッドメタルを使った目盛りが付く。【基本スペック】ケース径43㎜。チタン製ケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。242万円。

【1970年代】西ドイツ海軍によって制式採用された’70年代モデル。「バチスカーフ」で初採用された日付表示を3時位置に配し、長針はオレンジで強調した太目のタイプを装備。4時位置にリューズをセットする。【変更点】1960年代~70年代にかけて、フィフティ ファゾムスは米海軍(ネイビーシールズ)、西独海軍、イスラエル軍などにつぎつぎに採用され、それぞれデザインやサイズ、仕様が異なるモデルを供給していた。そのなかにはデイト付きと無し、デイデイト表示付き、回転ベゼルが赤色のもの、そして最大の特徴である回転ベゼルを搭載しないものなど、さまざまなタイプが存在した。だが、ダイバーズらしい視認性の高いスタイルだけは全モデルに共通していた。【基本スペック】ケース径42㎜。自動巻き。2万1600振動/時。200m防水。生産終了。
【1990年代】約20年の時を経て復活したフィフティ ファゾムスの’90年代版「トリロジーモデル」。上の3針のほか、GMT機能付き、クロノグラフの全3タイプが同時リリースされた。現在はすべて廃番となっている。【変更点】1990年代後半、装いも新たに復活を果たした新生フィフティ ファゾムス。そのデザインにおける最大の変更点は回転ベゼルであろう。精悍なブラックを基調としていた回転部分がスティール製となり、インデックスは立体のアラビア数字で、5分刻みで配されている。これにより初代とはずいぶん印象の異なるスタイルとなった。また、スペックはかなり向上して、防水性は300m、パワーリザーブは100時間にアップ。ケースサイズは約40㎜へと変化を遂げている。【基本スペック】ケース径40.3㎜。自動巻き。2万1600振動/時。300m防水。生産終了。
【2007年】ついにフィフティ ファゾムスが本格的に復活。オリジナルデザインを踏襲しつつ、サファイアクリスタル製の回転ベゼル、高性能な自社製ムーブメントの搭載といった現代的アレンジを施した。またストラップには、耐水性・装着性ともに抜群のセイルキャンバス素材を採用。発表後はたちまち人気高級ダイバーズの仲間入りをし、派生モデルを数多く送り出しながら、今日まで現行品としてラインナップされている。【変更点】注目すべきは何といっても、フィフティ ファゾムス初となる自社製ムーブメント。搭載するCal.1315は、2006年発表の手巻きCal.13R0を自動巻きに発展させたもので、シンプルな設計と高いパフォーマンスが特徴。巻き上げ効率の高い自動巻きローターを備え、3重香箱の採用で5日間の超ロングパワーリザーブを実現する。また、2003年の50周年記念モデルで初採用したサファイアベゼルを引き続き取り入れ、個性的なセイルキャンバスストラップを装備。【基本スペック】ケース径45㎜。SSケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。191万4000円。
【2013年】フィフティ ファゾムス誕生60周年の2013年に発表した「バチスカーフ」の復刻モデル。シャープなフォルム、薄型の回転ベゼルなどでオリジナルを彷彿とさせる一方で、アンスラサイトのボンベ型文字盤には、より洗練されたドットデザインを取り入れた。また、トリプルループのNATOストラップが、ミリタリー人気のファッショントレンドにぴったり合致した。限定リリースではなく、レギュラーモデルとしてラインナップされた。【バチスカーフの特徴】特徴はセラミックインサートを使ったサテン仕上げのSS製逆回転防止ベゼル。スケールにリキッドメタルの目盛りをセットし、耐傷性を高めるとともに、独特の風合いを醸し出すことに成功。本来はダイバー向けの装備だが、薄型とすることでタウンユースにも最適なスタイルに。また、ムーブメント内にはシリコン製ヒゲゼンマイを搭載して耐磁性を格段にアップさせている。フィフティ ファゾムス同様、5日間のロングパワーリザーブを備える。【基本スペック】ケース径43㎜。SSケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。138万6000円。
【2016年】フィフティ ファゾムス バチスカーフに グレーのプラズマセラミック モデルが登場。海の深さを想起させるディープ ブルーのダイヤルを備えた、フィフティ ファゾムス バチスカーフの3針モデル。【変更点】ブルーセラミックインサートを使ったグレーのプラズマセラミック製ベゼルには、変形しない合金、リキッドメタルの目盛表示が配されている。このケースはグレーのプラズマセラミックを作り出す技術を存分に駆使した成果で、この製法によって、メタリックカラーに絶妙なグラデーションをかけることに成功している。グレーのプラズマセラミック は、2014年に発売されたオーシャン コミットメント バチスカーフ フライバック クロノグラフに使用されていたものだった。【基本スペック】ケース径43.6㎜。セラミック製ケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。169万4000円。
【2020年】「バチスカーフ フライバック クロノグラフ」にグリーンが登場。【変更点】完璧なカラーと仕上げを実現するにはかなりの研究開発期間が必要だった。ダイヤルは複数のナノ層でコーティングされ、表面に反射して変化する光が期待通りの色合いを出すまで、試行錯誤の連続だったとか。フィフティ ファゾムス バチスカーフ フライバック クロノグラフのダイヤルは、光 の加減によってグリーンに見えたり、メタリックに見えたり、
【2021年】チタン製ケースのブレスタイプのバチスカーフが初登場。【変更点】チタンは信頼のおけるダイバーズウォッチの味方であり、高い耐衝撃性や耐圧性、 耐食性など、多くの利点がある素材。30気圧(水深およそ 300m)の防水性能を誇る新しい「バチスカーフ」のシャープな輪郭のケースは直径43mmで、サテン仕上げ のグレード 23 チタン製となる。この最高級チタンは、加工難易度が非常に高く、多くの機械を必要とするため、時計産業ではほとんど使用されていない。アンスラサイトカラーの文字盤に手作業で施された垂直方向のサテン仕上げが、非常にモダンでマットな印象を与えている。【基本スペック】ケース径43㎜。チタン製ケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。185万9000円。
【2022年】フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダーのチタン製バージョンと、レッドゴールド製バージョンの2つの新モデルが登場 。スポーティな機能と曜日・月・日付表示を組み合わせた「バチスカーフ コンプリートカレンダー」は、最初のバチスカーフを生み出した普段使いの実用性重視の原則をより強固なものにしたモデルとなる。ダイヤル上の表情を引き立てるのが、6 時位置の大きな窓に表示されるムーンフェイズ。このバチスカーフの自動巻きムーブメント 6654.P も、セキュリティシステムが搭載された日付機構によって保護され、通常のカレンダーウォッチと異なり、ムーブメ ント損傷のリスクを冒すことなく、いつでもそれぞれの表示機能を設定できる。【変更点】チタン製モデルは、微妙なグレーの濃淡が特徴。サンバースト仕上げのアンスラサイトダイヤルには、ゴールドのアワーマーカー、ロジウムメッキを施した針とムーンフェイズ表示が配され、その美しさを際立たせている。同じくアンスラサイトのベゼルは、サテン仕上げがモダンなマット効果を生み出すセラミック製で、リキッドメタルを使った目盛りが付く。【基本スペック】ケース径43㎜。チタン製ケース。自動巻き。2万8800振動/時。300m防水。242万円。

 

 

お問い合わせ:ブランパン公式サイト

[時計Begin 2015 SUMMERの記事を再構成]