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2022.10.11
IWC マーク シリーズの歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.4
〝原型〟は決して崩さない
パイロット・ウォッチの原点
IWC
アイ・ダブリュー・シー
【マーク・シリーズ】
IWCのパイロット・ウォッチ・ラインのなかでも特別な存在感を放つマーク・シリーズ。今年発表の新作にいたるまで、あえてシンプルに徹してきたこの名作の変遷を追う。
Original Model オリジナルモデル
1948年
かつてない耐磁性能を
備えたマークの第1号
1948年に誕生した「マークⅪ」。’49年に英国空軍に初納入され、同軍が採用を終える’81年まで8000本以上を生産。また民間用も’84年までに約1500本が製造されている。軟鉄インナーケースによる耐磁性能のほか、実用重視のシンプルな装備が特徴。ハック機能付きの手巻きCal.89を搭載。
初代から受け継がれる
質実剛健な実用スタイル
1930年代より航空時計を手がけてきたIWC。なかでも「マーク」は、70年近い歴史をもつ不動の人気シリーズだ。その初号機が英国空軍の装備品を意味する“マーク”の名のもとに開発されたのは’48年。ちなみに、それ以前の製品がマークの名で呼ばれることもあるが、それらは正式なオリジナルではない。初代から航空機内の磁気および温度変化に対応するよう、軟鉄インナーケース内蔵の2重ケース構造とねじ込み式ガラスを採用。また、航空計器の発達にもかかわらず、回転ベゼルやクロノといった追加機能を排し、時間を読み取るという本来の目的に徹した。こうして誕生した「マークⅪ」は、高性能かつメンテナンスに手のかからない名機として、英国以外の空軍にも重用され、 ’80年代まで続くパイロットモデルのお手本となったのである。
’90年代に入ると、マークは高耐磁な2重ケース構造のまま、自動巻きとなり復活を遂げる。文字盤の意匠を踏襲する一方、防水性の向上、日付表示の追加、ケース径拡大など、現代仕様を取り入れたそれらは欧米や日本で大人気に。機械式復興の一翼を担うとともに、“質実剛健のIWC”の印象を決定づけた。さらに2000年代以降は、デザインの洗練度が増し、時計の大型化も加速。ワイドデイトの導入なども試みる。そして’16年「マークⅩⅤⅢ」が発表され、そして今年、最新作「マークⅩⅩ」が登場した。多少のマイナー変更を経つつも、正確な時刻表示と視認性を最重視するスタイルは、初代から本作まで一貫している。IWCの企業姿勢をもっとも体現させたシリーズといえるのだ。
【1994年・マークⅫ】マークⅪの生産終了から10年後に登場した後継機。基本デザインを踏襲しながら、新たに自動巻き機構と日付表示を採用した。同モデルは’90年代後半、日本や欧州各国でブレイクし、機械式時計がいちやくブームとなるきっかけを作った1本として知られる。生産終了。【変更点】搭載ムーブが手巻きから自動巻きに変更。ジャガー・ルクルト製のハイビートCal.884/2を採用。また、文字盤3時位置に日付表示を追加して、リューズはねじ込み式に。ケース径は34㎜から36㎜に拡大している。
【1999年・マークⅩⅤ】IWCらしい武骨かつ質実剛健な姿から、コレクターの間では名作の誉高い「15」。ケース径をさらに拡大し、内部機構も充実。また、2006年公開の映画『ファイヤーウォール』で、主演のハリソン・フォードが着用したことでも話題に。自動巻き。径38㎜。SSケース。生産終了。【変更点】新たにETA2892A2ベースのCal.30110を採用。同機はIWC基準のもと開発されたハイレベルな一品で、パワーリザーブが42時間にのびたほか、よりメンテナンスが容易となった。直径は2㎜拡大して38㎜に。
【2006年・マークⅩⅥ】針の形状、インデックスのフォントなど、現行機につながるデザインを確立した「16」。ミリタリーならではの精悍な外観を獲得しつつ、文字盤面積が広がったことで視認性も向上。一方、耐磁仕様や防水性などのスペックは変わらず。自動巻き。径39㎜。SSケース。生産終了。【変更点】時分針の形状がバトン型から、ブラックで縁取りされた菱形に。そしてインデックスは以前よりも丸みを帯び、スタイリッシュなものとなった。またレザーストラップの素材にはアリゲーターが採用されている。
【2012年・マークⅩⅦ】前作で一新された文字盤デザインはそのままに、新たに大型の日付表示を採用した「17」。航空計器らしいスタイルにくわえ、ケースサイズもよりアップし、いっそう見た目の存在感を高めている。自動巻き。径41㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。生産終了。【変更点】最大の変更点は、文字盤3時位置に新たに設置したワイドデイト。縦長の日付窓に3日分の数字を表示し、赤色のマーカーによって指し示す仕様となる。さらに、ケースサイズは過去最大の直径41㎜へと拡大した。
【2016年・マークⅩⅧ】'16年発表されたマーク・シリーズは、文字盤がかつてを思わせる意匠となったうえ、ケース径もわずかに縮小。凝縮された機能美が堪能できる。サントーニ社製カーフストラップを装備。自動巻き。径40㎜。SSケース。49万円。生産終了。【変更点】ワイドデイトを排し、ふたたびプレーンな日付表示に。また「15」以来、12時位置にあった三角形がサークル内に。6と9のアラビア数字が復活。針と数字のスタイルは変わらず。直径は1㎜ながらサイズダウン。
【2022年・マークⅩⅩ】前モデルと同様のケース径40mmを採用しているが、パワーリザーブはなんと42時間から120時間となった。自動巻き。径40㎜。SSケース。68万7500円。【変更点】マークXVIIIの6気圧から10気圧防水に強化。ベルトはワンタッチでストラップを取り外しできる「EasX-CHANGE」システムを採用。
【2022年・マークⅩⅩ】ブラック文字盤にブレスタイプが登場。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレス。10気圧防水。??万????円。
【2022年・マークⅩⅩ】ブルー文字盤もラインナップ。自動巻き。径40㎜。SSケース。68万7500円。
【2022年・マークⅩⅩ】ブルー文字盤にブレスタイプが登場。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレス。10気圧防水。??万????円。
【2022年・マークⅩⅩ】グリーン文字盤もラインナップ。自動巻き。径40㎜。SSケース。68万7500円。
【2022年・マークⅩⅩ】グリーン文字盤にブレスタイプが登場。自動巻き。径40㎜。SSケース&ブレス。10気圧防水。??万????円。
お問い合わせ:IWC公式サイト
[時計Begin 2016 AUTUMNの記事を再構成]