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2022.10.25
オメガ スピードマスター シリーズの歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.6
ついに65周年を迎えた
時計業界の“至宝”
OMEGA
オメガ
【スピードマスター】
今年65周年という節目の年を迎えたオメガの「スピードマスター」。“ムーンウォッチ”の愛称で親しまれる人気モデルの60年を超える歩みを辿る。
First Model ファーストモデル
1957年
人気クロノの歴史的1号
"ブロードアロー"
"ブロードアロー"とも呼ばれるファーストモデル。その名は幅の広い矢印形という特殊な形状の短針に由来する。タキメーターを文字盤ではなく、ベゼルに配した世界初のクロノであり、空軍パイロット用やレーシング用など、多方面で活躍した。搭載するのはコラムホイール式の手巻きムーブメントCal.321。
基本スタイルは当時のまま
機能や細部が多彩に進化
スピードマスターの人気をここで今さら強調する必要はないだろう。それほどまでに、時計界で確固たる地位を築いてきたアイコンモデルだ。その初代が誕生したのは1957年。「レイルマスター」「シーマスター300」とともに、プロフェッショナルウォッチ3部作のひとつとして登場し、当初からブラック文字盤、ベゼルのタキメーター表示といった強烈な個性が際立つ存在であった。また搭載の手巻きキャリバー321は、その後10年以上、本作の高機能を支えた完成度であった。
スピードマスターを語るうえで、やはり外せないのがNASAとの相関である。 ’59年のセカンドが飛行士の私物として宇宙で初めて使われ、 ’63年のサードが厳格なテストをクリアし、同機関の公式装備品に採用される。そして ’69年、かの有名なアポロ11号の月面着陸携行によって“ムーンウォッチ”伝説の幕開けとなる。その間、外装は着々と進化を続け、 ’65年には、プロフェッショナル表記のブラック文字盤、タキメーター付きのブラックベゼル、左右非対称のケースなど、今に至るスタイルを確立。一方、搭載キャリバーは ’60年代末以降、321から861、1861と順調にアップデートを重ね、 ’70年代に入ると自動巻きやクォーツも投入して機能を一気に増やす。さらに2011年には自社製コーアクシャル キャリバー、’16年にはマスタークロノメーターモデルも登場。新たな局面に突入した。
機能やディテールを進化させつつも、ベーススタイルが変わらないのが魅力のスピードマスター。65周年の今年も、新世代のファンを魅了している。
【1959年】アルミ製のブラックタキメーターベゼルを採用したセカンドモデル。アルファ型の時分針に変更された。’62年、宇宙飛行士のウォルター・シラーが私物として初めて宇宙で使用したことでも知られる。生産終了。
【1963年】時分針が白色のバータイプになったサードモデル。リューズガードを除き、現行シリーズの特徴をほぼ備えたことになる。NASAの公式装備品として採用され、ジェミニおよびアポロ計画で大いに活用された。生産終了。
【1965年】文字盤に「PROFESSIONAL」の表記、リューズガードの役割を果たす非対称ケースを初採用。またケース径が42㎜に拡大した。 ’69年、アポロ11号の月面着陸の際に、搭乗員が着用していたことはあまりにも有名。生産終了。
【1968年】’71年放送の人気TV番組「帰ってきたウルトラマン」に登場した、通称ウルトラマンモデル。最大の特徴はオレンジのクロノ秒針を備えること。きわめて貴重な仕様であり、正規品が何本現存しているかは不明。生産終了。
【1969年】NASA極秘計画用のプロトタイプ「アラスカプロジェクトⅠ」。取り外し可能な陽極酸化処理のアルミ製アウターケースと、チタン製インナーケースを備え、太陽熱を反射させるため白文字盤を採用。Cal.861搭載。生産終了。
【1991年】スイス建国700周年を記念し、日本限定で発売されたパーペチュアルカレンダー。クロノグラフに加え、ムーンフェイズおよび永久カレンダー機能を搭載。18KYGケース、自動巻きのCal.1160を採用した。生産終了。
【1992年】わずか50本のみ生産されたスケルトンモデル。文字盤側から、見事なスケルトン加工が施された、ゴールドカラーの手巻きCal. 867が見渡せる。ケース素材は18KYGのほか、18KWGやプラチナも存在。生産終了。
【1997年】スピードマスター40周年を記念して、日本市場向けに製作された”ゴールデン パンダ”。ホワイト文字盤上に、反転色であるブラックの3カウンターを配し、18KYGケースやゴールド針で豪華に仕上げた。生産終了。
【1998年】NASAの次世代スペースシャトルと同じ名をもつデジアナ表示の「X-33」。1/100秒クロノなどの多機能を実現するクォーツCal. 1666を搭載。チタン製ケースは、飛行士が手袋を着けたまま操作しやすいよう設計。生産終了。
【2003年】火星への有人ミッションを想定して製作。それぞれ月、地球、火星をイメージした3色インダイヤルを文字盤に装備。搭載する手巻きCal.1861は、従来のCal.861にロジウム加工を施すなどして改良したもの。生産終了。
【2014年】宇宙の神秘と魅力を想起させる「ダークサイド オブ ザ ムーン」。ケース&文字盤の素材に初めてセラミックを取り入れ、18KWG製のバトン針を配した。革新的なコーアクシャル機構の自動巻きCal.9300を搭載。生産終了。
【2015】アポロ13号計画の45周年と、NASAから贈られた”スヌーピー アワード”にオマージュを捧げた1本。ホワイト文字盤にスヌーピーのイラスト、ケースバックにスターリングシルバー製のスヌーピーメダル。生産終了。
【2017年】「スピードマスター レーシング マスター クロノメーター」。特徴的な分表示とオレンジの差し色が際立つ。自動巻き。径44.25㎜。SSケース。レザー+ラバーストラップ。115万5000円。
【2018年】「スピードマスター CK2998 パルスメーター」。オリジナルの「スピードマスター CK2998」が発売されたのは1959年。宇宙で着用された最初のオメガウォッチとしても特に名高いモデルであり1962年、宇宙飛行士ウォルター・”ウォリー”・シラーがマーキュリー計画の「シグマ 7」ミッションでその名を歴史に刻んだ時、彼が身に着けていたのがその時計である。手巻き。径39.7mm。SSケース。生産終了。
【2019年】「スピードマスター アポロ11号 50 周年記念 リミテッドエディション」。1969 年に1014 本限定で作られた18Kイエローゴールド製の“スピードマスター BA145.022”のデザインを踏襲。同年11月に開催された月面着陸を達成した英雄たちを讃える晩餐会で、宇宙飛行士たちに贈呈されたことで有名だ。復刻されたこのリミテッドエディションは、第4世代のスピードマスターの非対称のケースデザインを受け継いだポリッシュ&ブラッシュ仕上げの42mmのケースに1列が5つのアーチ形リンクからなる1969年当時のデザインのブレスレットを採用している。手巻き。径42㎜。18K ムーンシャイン TM ゴールドケース。生産終了。
【2020年】「スピードマスター ムーンウォッチ 321 ステンレススティール」。1969年 7 月、アポロ11号の宇宙飛行士たちが、人類史上初の一歩を月面に刻んだ際、彼らが身につけていたスピードマスターに搭載されていたのが、キャリバー321だ。そのキャリバー321 の第2世代として再構築し、搭載したのがこのモデルとなる。手巻き。径39.7㎜。SSケース。193万6000円。
【2021年】「スピードマスター クロノスコープ」。1940 年代から続くオメガのクロノグラフ リストウォッチの歴史からインスピレーションを得て誕生したモデルである。距離をもとに速度を計測するタキメーター、音速をもとに距離を計測するテレメーター、心拍数を計測するパルスメーターがのメモリが絶妙に刻まれている。手巻き。径43㎜。SSケース。114万4000円。
【新定番 2021年】「スピードマスター ムーンウォッチ マスター クロノメーター」。ムーブメントにコーアクシャル マスター クロノメーター キャリバー3861を採用。この新定番のムーンウォッチは1万5000ガウスという超強力な磁場に耐える特性を手に入れ、スイスの時計産業における精度と性能、そして耐磁性の業界最高峰を証明するマスター クロノメーター認定を取得した。手巻き。径42㎜。SSケース。99万円。
【2022年】「スピードマスター キャリ バー321 カノープスゴールド TM」。初代スピードマスターからインスピレーションを受けて開発された誕生65 周年の記念モデル。 38.6mm のケースはユニークな18Kカノープスゴールド™製で、この素材は高い輝度と白さ、そして耐久性という特性を持つオメガ独自のホワイトゴールド合金だ。ムーブメントには2019年に生産を再開した伝説のキャリバー321を搭載している。手巻き。径38.6㎜。 18KカノープスゴールドTM ケース。957万円。