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2022.12.13
ハミルトン「ベンチュラ」の歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.10
HAMILTON ハミルトン
【ベンチュラ】
誕生と同時に大ヒットを記録
唯一無二の左右非対称ケース
名作ロングセラー時計の誕生と歴史、そして変遷を辿るこのシリーズ。ロックンロールの王様も愛した世界初のエレクトリック時計の歴史を紹介しよう。
Original model
オリジナルモデル
1957年
斬新な機構とデザインで
たちまち人気モデルに
世界初のエレクトリックウォッチとして登場した「ベンチュラ」。小型電池を動力とするCal.ハミルトン500を搭載し、リチャード・アービブによる左右非対称デザインを採用。この画期的な機構とデザインが大いに話題を呼び、発売と同時に1万2000本以上という驚異的なセールスを記録した。
65年を経ていまだ斬新な
奇跡のトライアングル
1960〜’70年代、自動巻きクロノグラフ・ムーブメント「キャリバー11」、LEDデジタル時計「ハミルトン パルサー」をはじめ、画期的な機構やモデルを次々に生み出していったハミルトン。その嚆矢となったのが「ベンチュラ」である。1957年に誕生した本作は、従来のゼンマイの代わりに小型電気モーターでテンプを動かす、クォーツに先駆けたエレクトリック機構を備えていた。また、キャデラックなどを手がけたインダストリアルデザインの鬼才、リチャード・アービブによる左右非対称のトライアングルケースも多くの人々を魅了し、記録的な大ヒット商品に。その中には、かのエルヴィス・プレスリーも含まれ、のちに“エルヴィスウォッチ”の名でも親しまれた。
その後ハミルトンは米国からスイスに拠点を移し、スウォッチ グループ傘下となった新体制のもと、「ベンチュラ」は1988年にクォーツを搭載して復活する。2000年代に入ると映画『メン・イン・ブラック 2』でも使われたクロノグラフ、そして話題を呼んだ自動巻きモデルが登場。デザインも時代の趨勢に合わせたオーバーサイズモデルやスケルトンなどが加わった。
一方で、初代を忠実に踏襲したタイプは定番モデルとして人気を誇り、クォーツと自動巻き、レトロとハイテクデザイン、サイズもレディスからビッグサイズまで、幅広いラインナップから好みの機種が選べるのが、このコレクションの特徴。しかも価格はアンダー10万円から揃う。あの類まれな歴史的デザインが今も身近に楽しめるのは、時計界の財産といえる。
2022年最新モデルは初期モデルと同仕様の14金製で登場!
【2022年最新モデル】創業130周年を迎えた今年、初期モデルと同仕様の14金製で製作されたケースの「ベンチュラ」が、世界130本限定で登場。繊細なブラックダイヤルに、目を引くイエローゴールドPVD加工の時針・分針とインデックス、そしてイエローゴールドPVD加工のバタフライクラスプを採用している。クォーツ。縦33.11×横51.63mm。14Kイエローゴールドケース。ブラックレザーストラップ。165万円。
クラシックなブラックレザーストラップが組み合わされる。
オリジナルモデルへのオマージュとしてオールレッドカラーの秒針が採用されている。
裏蓋にはハミルトンの創業時のブランドロゴがエングレービングされ、シリアルナンバーも入る。
続いてハミルトン「ベンチュラ」の歴史を彩ってきた名作モデルはこちら!!
【1988年】初登場から約30年後、「ベンチュラ」がオリジナルデザインを踏襲して復活。左右非対称のトライアングルケース、羽を広げたようなラグ部分、ドットインデックスを配した文字盤などをほぼ忠実に再現した。一方、内部には新たにクォーツムーブメントを取り入れた。11万8800円。【変更点】大の変更点はやはり内部システム。電池式の超小型電気モーターによるエレクトリック機構に代わり、一般的なクォーツシステムを採用。これにともない、文字盤6時位置の「ELECTRIC」文字が取り除かれた。
【2002年】「ベンチュラ クロノ」。エレクトリック時代にはなかったシリーズ初のストップウォッチ機構を搭載。文字盤に1/10秒計、30分計、スモールセコンドの3つのインダイヤルを装備。ケースデザインは維持したまま、右側にプッシュボタンを設置した。13万8600円。【変更点】文字盤センターのクロノ秒針を読み取りやすくするため、ドットインデックスから延びるバーを排し、3つのインダイヤルを結ぶレイルウェイサークルをセット。また、4時位置には新たにデイト表示を取り入れた。
【2009年】「ベンチュラ」の愛用者エルヴィス・プレスリーにオマージュを捧げた「ベンチュラ XXL エルヴィス限定モデル」。左右非対称デザインを維持しながら、ガンブラック仕様の特大ケースを採用。内部機構には2007年に初導入された自動巻きキャリバーを搭載する。生産終了。【変更点】縦54×横46mmの特大SSケースに、ガンブラックPVDを施して、迫力あふれるオールブラックスタイルを実現。文字盤は車のフロントグリルを模したメッシュ仕様で、赤と白がアクセントに。自動巻きETA 2824-2搭載。
【2017年】誕生60周年を記念した「ベンチュラ」のフレックスブレスレットモデル。エルヴィスが1965年にプライベートで購入し、蛇腹式のフレックスブレスにアレンジしたホワイトゴールドモデルを再現。クォーツ。縦50.3×横32.3㎜。SSケース&ブレス。11万8800円。【変更点】ケース、文字盤、サイズ感ともオリジナルを踏襲。エルヴィスが標準装備のレザーベルトをフレックスブレスに付け替えたのに倣い、同タイプのSSブレスを採用。クォーツを搭載し、風防はサファイアクリスタル製に。
【2018年】エルヴィス・プレスリーの生誕80周年を記念した「ベンチュラ Elvis 80 オート」。縦44.6×横42.5㎜。SSケース。ラバーストラップ。19万6900円。【変更点】2015年発表の自動巻きモデルはPVD加工のブラックケースだったが、2018年のモデルではポリッシュ仕上げのSSケースに。多面体カットの輝きがより際立つ仕様となった。ムーブメントには約80時間持続のCal.H-10を採用。
【2018年】1957年発売のオリジナルモデルと同じブラックダイヤル×ゴールドPVDケースを搭載したモデルが登場。東京・原宿にオープンしたハミルトンのグローバル旗艦店一号店であるハミルトンブティック 東京 キャットストリートのオープン1周年を記念し、世界に先駆け先行発売された。クォーツ。縦50.3×横32.3㎜。SSケース(イエローゴールドPVD)。カーフストラップ。12万5400円。【変更点】オリジナルモデルを踏襲したブラック文字盤&ゴールド色のケースが「ベンチュラ」好きにはたまらないカラーリングで話題となった。
【2019年】日本のファッション界からの熱烈なリクエストに応え、フルブラックモデルの「ベンチュラ」が誕生。世界に先駆け人気セレクトショップBEAMSから先行発売された。クォーツ。縦50.3×横32.3㎜。SSケース(ブラックPVD)。ブラックレザーストラップ。12万5400円。【変更点】文字盤、インデックス、針、ケース、ストラップまで全てがフルブラックとなる。
【2021年】標準持続時間80時間を誇るパワフルな自動巻きムーブメントを搭載して、モダンなスタイルに進化した「ベンチュラ Elvis 80 スケルトン」が登場。自動巻き。縦44.6×横42.5㎜。SSケース(ローズゴールドPVD)。ブラックラバーストラップ。25万7400円。【変更点】袖口で存在感を放つ、光沢感のあるローズゴールドPVD加工のケース、ローズゴールドのラインのコンビネーションを採用している。
【2022年】幅45.5mmの「ベンチュラ XXL スケルトン オート」のケースは、オリジナルモデルの「ベンチュラ」のアヴァンギャルドな幾何学シェイプを開放的なスタイルで表現している。自動巻き。縦46×横45.5㎜。SSケース。ブラックラバーストラップ。25万1900円。【変更点】ダイヤルの印象的なカットアウトからは、その下にある最新のスケルトンムーブメントが姿を見せ、時計の心臓部を堪能することができる。
【2022年】ブラック PVDコーティングを施した幅47.6mmのステンレススチール製ケースには、特別なクォーツムーブメントが収められ、9時位置のプッシュボタンを押すとダイヤルの一部が赤く輝く。1950年代のスタイルを大胆にアレンジし、ネオンと興奮で彩られた都会の夜を思わせるデザインに仕上げられている。クォーツ。縦52×横47.6㎜。SSケース(ブラックPVD)。ブラックラバーストラップ。20万3500円。【変更点】ブラックのラバーストラップと、両面に反射防止加工を施したサファイアクリスタル風防を採用するなど、文字盤の光らせる遊び心はもちろん、素材とスタイルの両方において力強さを感じさせるモデルだ。