2023.02.07

モーリス・ラクロア「マスターピース カレンダー レトログラード」の歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.13

MAURICE LACROIX

モーリス・ラクロア

【マスターピース カレンダー レトログラード】

レトログラード人気を先駆けた
W扇表示の多針ダイヤル

ドイツを筆頭に、ヨーロッパ各国で絶大な人気を誇るモーリス・ラクロア。そのフラッグシップモデルとなる、レトログラード表示付き大型ウォッチの変遷を紐解く。

 

Original model

オリジナルモデル

【2000年

扇形表示を左右に配した

手ごろな大型プチコン

「マスターピース カランドリエ レトログラード」の名で登場した初代モデル。左にレトログラード日付表示、右にパワーリザーブ表示と、扇形スケールを対称に配した文字盤は現在も不変。直径43㎜は当時としては異例の大型であり、また準複雑系で39万円の価格も画期的だった。

 

上質デザインと高機能で

良心価格のシリーズ

扇形のスケール上を針がゆっくりと移動して、終点に達したとたんスタート地点に戻る。フランス語で“逆行”を意味するこの伝統的なレトログラード機能は、庶民にはなかなか手の届かない複雑機構の一種であった。ところが2000年にモーリス・ラクロアが発表したモデルは、それまでの常識を覆すアンダー40万円。そればかりか、同じ盤面に扇形でパワーリザーブ表示をも備え、計5本の針を擁す個性的な多針文字盤とした。またクラシカルなデザインながら、ケース径43㎜の斬新な大型スタイルで抜群の存在感を発揮し、瞬く間にブランドを代表する人気機種に成長している。

本作が当初より大型だった一因として、ユニタス製ムーブの搭載が挙げられる。この手巻きの名機はデビューから8年にわたり採用されたが、 ’08年、自社製に切り替わる。3/4プレートの表面をブラックゴールド仕上げにした高級仕様の手巻きキャリバーである。さらに ’11年には自動巻きに変更。自社開発のCal.ML190を取り入れたことで、パワーリザーブが長くなるなど、機能性がいっそう高まった。

一方デザイン面では、 ’08年以降、そのクラシカルな装いがしだいにモダン化されていく。 ’09年発表のムーンフェイズ付きモデルは、直径46㎜の迫力あるハーフスケルトンに。だが’17年以降は、再びシンプルで上品な意匠となっている。扇形スケールの上をいくつもの針が動く。高機能・高品質な製品を良心的価格で提供するこのシリーズの姿勢は今も変わらない。

 

【2002年】

初登場から2年後にラインナップに加わったブラック文字盤モデル。レトログラード、パワーリザーブ、スモールセコンドをはじめ、各装備のデザインやバランスは変わらず、文字盤カラーが精悍で艶のある黒となった。価格は39万円のままで据え置きに。【変更点】文字盤の外周、W扇およびスモールセコンドのスケールなどはシルバーのまま、ベース部分を艶やかなブラックに染め上げた。針はブルーからシルバーに変更。

初代にも搭載したユニタス製の手巻きキャリバーを継承。1960年代から作られ続ける伝統的な大型ムーブメントで、その安定した精度とたしかな性能、そして仕上げの美しさに定評のある一品だ。

初登場から2年後にラインナップに加わったブラック文字盤モデル。レトログラード、パワーリザーブ、スモールセコンドをはじめ、各装備のデザインやバランスは変わらず、文字盤カラーが精悍で艶のある黒となった。価格は39万円のままで据え置きに。【変更点】文字盤の外周、W扇およびスモールセコンドのスケールなどはシルバーのまま、ベース部分を艶やかなブラックに染め上げた。針はブルーからシルバーに変更。
初代にも搭載したユニタス製の手巻きキャリバーを継承。1960年代から作られ続ける伝統的な大型ムーブメントで、その安定した精度とたしかな性能、そして仕上げの美しさに定評のある一品だ。

 

【2005年】

「マスターピース・ムーンフェイズ・レトログラード」。マスターピースシリーズの誕生15周年を記念し、2005年に発表。新たに曜日表示一体型のムーンフェイズを装備して、さらなる複雑機構に。同時にトゥールビヨンタイプもエントリー。ともに30本の限定発売。【変更点】ケースはベゼルに波形装飾を刻んだ18KYG製に。インデックスはローマンタイプで、6時位置の秒針が曜日表示付きムーンフェイズとなり、3時位置にはシリアルNo.も。

より機能性を高めた手巻きのCal.ML104を搭載。スワンネック緩急針やゴールドシャトンを擁するその精緻な造りと優美な姿は、シースルーバックを通して鑑賞することが可能だった。

「マスターピース・ムーンフェイズ・レトログラード」。マスターピースシリーズの誕生15周年を記念し、2005年に発表。新たに曜日表示一体型のムーンフェイズを装備して、さらなる複雑機構に。同時にトゥールビヨンタイプもエントリー。ともに30本の限定発売。【変更点】ケースはベゼルに波形装飾を刻んだ18KYG製に。インデックスはローマンタイプで、6時位置の秒針が曜日表示付きムーンフェイズとなり、3時位置にはシリアルNo.も。
より機能性を高めた手巻きのCal.ML104を搭載。スワンネック緩急針やゴールドシャトンを擁するその精緻な造りと優美な姿は、シースルーバックを通して鑑賞することが可能だった。

 

【2008年】

「マスターピース カランドリエ レトログラード」。自社製ムーブメント搭載のモデルが登場。表示機能はそのままに、文字盤デザインをマイナーチェンジし、ケース径をサイズアップ。全体的によりモダンでスタイリッシュな雰囲気を醸し出すようになった。【変更点】ケースはベゼルがシンプルになり、直径46㎜に拡大。リューズもカボション型から通常のタイプに。文字盤はブラックで、外周の一部にローマンインデックスを配した。

搭載するのは自社製の手巻きCal.ML150。ムーブメントの3/4を覆うブリッジにブラックゴールドでトップコーティングを施した高級感あふれる仕様が特徴に。42時間パワーリザーブ。

「マスターピース カランドリエ レトログラード」。自社製ムーブメント搭載のモデルが登場。表示機能はそのままに、文字盤デザインをマイナーチェンジし、ケース径をサイズアップ。全体的によりモダンでスタイリッシュな雰囲気を醸し出すようになった。【変更点】ケースはベゼルがシンプルになり、直径46㎜に拡大。リューズもカボション型から通常のタイプに。文字盤はブラックで、外周の一部にローマンインデックスを配した。
搭載するのは自社製の手巻きCal.ML150。ムーブメントの3/4を覆うブリッジにブラックゴールドでトップコーティングを施した高級感あふれる仕様が特徴に。42時間パワーリザーブ。

 

【2009年】

「マスターピース・ムーンフェイズ・レトログラード」。自社製ムーブメント搭載モデルが発表された翌年に追加されたモデル。多層文字盤の扇形表示に穴をあけ、その下を針が通過する特殊スタイル。2005年の限定モデルとは、味わいが違う究極のモダンデザインに。6時位置に曜日表示とムーンフェイズ。【変更点】多層構造のハーフスケルトン文字盤を導入。表示部分を残してプレートをくり抜き、ブラック加工した地板を見渡せるようにした。W扇形表示は穴あき仕様に。

日付レトログラードに加え、ムーンフェイズとアナログ式曜日表示機能をもつ手巻きの自社製Cal.ML152を搭載。3/4プレートは同じく高級なブラックゴールド仕上げ。42時間パワーリザーブ。

「マスターピース・ムーンフェイズ・レトログラード」。自社製ムーブメント搭載モデルが発表された翌年に追加されたモデル。多層文字盤の扇形表示に穴をあけ、その下を針が通過する特殊スタイル。2005年の限定モデルとは、味わいが違う究極のモダンデザインに。6時位置に曜日表示とムーンフェイズ。【変更点】多層構造のハーフスケルトン文字盤を導入。表示部分を残してプレートをくり抜き、ブラック加工した地板を見渡せるようにした。W扇形表示は穴あき仕様に。
日付レトログラードに加え、ムーンフェイズとアナログ式曜日表示機能をもつ手巻きの自社製Cal.ML152を搭載。3/4プレートは同じく高級なブラックゴールド仕上げ。42時間パワーリザーブ。

 

【2011年】

「マスターピース カレンダー レトログラード」に名称を変更して発表された。シリーズ初の自動巻き。シンプルかつエレガントなデザインとした。径43㎜。SSケース。クロコダイルストラップ。5気圧防水。60万円。【変更点】文字盤が繊細なエレガントスタイルに。ケース径はオリジナルの43㎜に戻った。また左上のデイト表示の扇形とクロスするように、スモールセコンドをセット。

自社で設計・開発を手がけた自動巻きCal.ML190を搭載。装飾性を排したロジウム製のローターを備え、自動巻きながら1万8000振動のロービート仕様が特徴だ。パワーリザーブは52時間に。

「マスターピース カレンダー レトログラード」に名称を変更して発表された。シリーズ初の自動巻き。シンプルかつエレガントなデザインとした。径43㎜。SSケース。クロコダイルストラップ。5気圧防水。60万円。【変更点】文字盤が繊細なエレガントスタイルに。ケース径はオリジナルの43㎜に戻った。また左上のデイト表示の扇形とクロスするように、スモールセコンドをセット。
自社で設計・開発を手がけた自動巻きCal.ML190を搭載。装飾性を排したロジウム製のローターを備え、自動巻きながら1万8000振動のロービート仕様が特徴だ。パワーリザーブは52時間に。

 

【2017年】

「マスターピース ダブル レトログラード」。ケース径が43mmと大型なので、すべての表示をはっきりと読み取ることができる。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。5気圧防水。【変更点】ダイヤルには時、分のほか、9時位置にスモールセコンド、リューズの隣にパワーリザーブ表示。12時位置にはレトログラード針による第二時間帯表示、6時位置にはレトログラード針の日付表示が配されている。

「マスターピース ダブルレトログラード」。ケース径が43mmと大型なので、すべての表示をはっきりと読み取ることができる。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。5気圧防水。【変更点】ダイアルには時、分、9時位置にスモールセコンド、リューズの隣にパワーリザーブ表示。12時位置にはレトログラード針による第二時間帯の時表示し、6時位置にレトログラード針の日付表示となる。

「マスターピース ダブル レトログラード」。ケース径が43mmと大型なので、すべての表示をはっきりと読み取ることができる。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。5気圧防水。【変更点】ダイヤルには時、分のほか、9時位置にスモールセコンド、リューズの隣にパワーリザーブ表示。12時位置にはレトログラード針による第二時間帯表示、6時位置にはレトログラード針の日付表示が配されている。
「マスターピース ダブルレトログラード」。ケース径が43mmと大型なので、すべての表示をはっきりと読み取ることができる。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。5気圧防水。【変更点】ダイアルには時、分、9時位置にスモールセコンド、リューズの隣にパワーリザーブ表示。12時位置にはレトログラード針による第二時間帯の時表示し、6時位置にレトログラード針の日付表示となる。

 

【2019年】

「マスターピース レトログラード カレンダー」。文字盤はクル・ド・パリ装飾、スネイル仕上げとコート・ド・ジュネーブ装飾があしらわれ、美しさと視認性を兼ね備えたものとなっている。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。

「マスターピース レトログラード カレンダー」。文字盤はクル・ド・パリ装飾、スネイル仕上げとコート・ド・ジュネーブ装飾があしらわれ、美しさと視認性を兼ね備えたものとなっている。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。

「マスターピース レトログラード カレンダー」。文字盤はクル・ド・パリ装飾、スネイル仕上げとコート・ド・ジュネーブ装飾があしらわれ、美しさと視認性を兼ね備えたものとなっている。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。
「マスターピース レトログラード カレンダー」。文字盤はクル・ド・パリ装飾、スネイル仕上げとコート・ド・ジュネーブ装飾があしらわれ、美しさと視認性を兼ね備えたものとなっている。径43mm。SSケース。クロコダイルストラップ。

 

【2020年】

「マスターピース ムーンフェイズ レトログラード」。6時位置のスモールセコンドにムーンフェイズ表示を装備。ブルーの文字盤のバー ジョンでは、ブルーのレトログラードゾーン以外にはコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、シルバーグレーの文字盤にはスモールセコンドと同じくクル・ド・パリ装飾が施されている。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。

「マスターピース ムーンフェイズ レトログラード」。6時位置のスモールセコンドにムーンフェイズ表示を装備。ブルーの文字盤のバー ジョンでは、ブルーのレトログラードゾーン以外にはコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、シルバーグレーの文字盤にはスモールセコンドと同じくクル・ド・パリ装飾が施されている。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。

「マスターピース ムーンフェイズ レトログラード」。6時位置のスモールセコンドにムーンフェイズ表示を装備。ブルーの文字盤のバー ジョンでは、ブルーのレトログラードゾーン以外にはコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、シルバーグレーの文字盤にはスモールセコンドと同じくクル・ド・パリ装飾が施されている。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。
「マスターピース ムーンフェイズ レトログラード」。6時位置のスモールセコンドにムーンフェイズ表示を装備。ブルーの文字盤のバー ジョンでは、ブルーのレトログラードゾーン以外にはコート・ド・ジュネーブ装飾が施され、シルバーグレーの文字盤にはスモールセコンドと同じくクル・ド・パリ装飾が施されている。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。

 

【2021年】

「マスターピース トリプル レトログラード」。トリプルレトログラード表示を備えた初のモデルが誕生。レトログラード表示は、6時位置が日付表示、12時位置が第二時間帯表示、3時位置が曜日の表示となる。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。

「マスターピース トリプル レトログラード」。トリプルレトログラード表示を備えた初のモデルが誕生。レトログラード表示は、6時位置が日付表示、12時位置が第二時間帯表示、3時位置が曜日の表示となる。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。

「マスターピース トリプル レトログラード」。トリプルレトログラード表示を備えた初のモデルが誕生。レトログラード表示は、6時位置が日付表示、12時位置が第二時間帯表示、3時位置が曜日の表示となる。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。
「マスターピース トリプル レトログラード」。トリプルレトログラード表示を備えた初のモデルが誕生。レトログラード表示は、6時位置が日付表示、12時位置が第二時間帯表示、3時位置が曜日の表示となる。径43mm。SSケース。カーフ型押しストラップ。

 
 
お問い合わせ:モーリス・ラクロア公式サイト

[時計Begin 2017 WINTERの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義