2023.02.21

ジラール・ペルゴ「ロレアート」の歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.15

GIRARD-PERREGAUX
ジラール・ペルゴ
【ロレアート】

 

起死回生を狙って放たれた

革新クォーツ搭載モデル

1970年代半ばのクォーツ旋風の最中、ジラール・ペルゴが世に送り出した「ロレアート」。高級スポーツ時計発展の一翼を担い、進化を続けてきた同モデルの変遷を追う。

 

Original model

オリジナルモデル

1975年

高級スポーツを体現した

高精度クォーツモデル

ロレアートのオリジナルモデル。イエローゴールドの8角形ベゼルと、ブレス一体型のSSケースを絶妙に融合し、高級スポーツウォッチを代表する1本に。内部にはスイス初となる3万2768Hzのクォーツムーブメントを搭載。その確かな精度はクロノメーター証明書によって保証された。

 

時代に沿う変化を加えつつ

革新的なスタイルを維持

高級スポーツウォッチの典型である8角形ベゼルとケース&ブレスの一体型スタイルを取り入れ、1975年に登場したロレアート。本作が他と一線を画すのは、ベゼルが丸みを帯びた鏡面の金無垢製だったことに加え、高性能なクォーツムーブを搭載している点だ。クォーツが時計界を席巻する前より、ジラール・ペルゴはいち早く開発に着手し、’70年にスイス初のクォーツ時計を発表した。この際に採用した周波数3万2768Hzが現在に至る世界基準となり、のちにヌシャテル天文台の精度証明も得る。つまり本作は、当時最新の技術を駆使した1本だったのだ。

同社が第1世代と位置づける ’84年発表モデルでは、クォーツ技術の革新にともない、天文系の複雑機構へと進化する。また、シリーズの特徴のひとつであるH型ブレスもこのとき初めて装備された。 ’95年には高級時計の潮流に乗って自動巻きムーブを搭載。ケースサイズを拡大した一方で、薄型に仕上げてエレガントさをキープする。その翌年に登場した「オリンピコ」には、初のクロノのほか、スリー・ゴールド・ブリッジ トゥールビヨンが加わり、以降は搭載機構を重視する傾向に。デカ厚の流行を反映した2003年の「Evo³」でも、やはりコンプリケーションモデルを中心に展開していった。

初登場から40年以上を経た2016年、オリジナルの3針ロレアートが限定で復活する。そして2017年、レギュラー化を果たした。時代の変遷とともに、機構と多少のデザインを変えながらも、8角形ベゼル、一体型ケースの貫禄ある姿は、不変である。

【1984年】ロレアートの第1世代モデル。横長のSSコマをYG製の中ゴマでつなぐ特徴的なH型ブレスを初採用。均時差を表示するイクエーション・オブ・タイムに加え、星座表示まで備えたクォーツムーブ搭載の複雑系天文時計もラインナップした。【変更点】ブレス中央の平面的なストライプ模様を、本作ではベゼル同様、ポリッシュ仕上げとした立体的なイエローゴールドのコマに変更。シリーズの特徴であるH型ブレスの原形が完成した。繊細な針とインデックスの仕様は継承。

【1995年】自社製キャリバーGP3100を搭載した自動巻きモデルが登場。ケース径が拡大し、ベゼルも大型となった一方、上品な薄型スタイルにして、H型ブレスのデザインも一新。YG×SSのコンビ仕様も継続したが、この第2世代あたりからオールSSケースが主流となる。【変更点】薄型自動巻きムーブの採用で、ケースの厚さがダウン。ベゼルは8角形とラウンドを融合した形状となる。H型ブレスは中ゴマが横長となって現行品に近いスタイルに。文字盤にはクル・ド・パリ状の装飾を施した。

【1996年】「ロレアート オリンピコ」はコレクション初のクロノグラフ。30分積算計、12時間積算計、スモールセコンドを擁した横並びの3カウンター仕様で、外周にはタキメーターを装備。この2年後には、複雑系のスリー・ゴールド・ブリッジ トゥールビヨンも登場した。【変更点】クロノグラフの特性に合わせ、全体のスタイルがスポーティかつマッシブに。8角形ベゼルの幅が増し、ケースサイドにはリューズガードを設置。針は太めのペンシル型で、インダイヤルの外枠も丸みを帯びた立体型に。

【2003年】2003年に第3世代の「ロレアート Evo³」が登場。8角形ベゼルやブレス一体型ケースの特徴はそのままに、ケースがより大ぶりとなった。上の写真は’06年に発表されたムーンフェイズ、パワーリザーブ、ビッグデイト表示機能付きのコンプリケーションモデル。【変更点】それまで鏡面だった8角形ベゼルの前面をサテン仕上げにするなど、ケースをポリッシュ&サテンを使い分けたコンビネーション仕様に。またH型ブレスの中ゴマも大型化し、全体をソフトなラインに作り変えた。

【2017年】2016年にロレアートの3針が限定225本で復活。その翌年に上のレギュラーモデルが発表された。随所をモダン化させつつ、よりオリジナルに近いデザインに。自動巻き。径42㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。174万9000円。【変更点】文字盤の装飾はそれまで格子模様だったが、新たにクル・ド・パリのギョーシェ仕上げとした。12時位置にはオリジナルと同じGPロゴをセット。また、ケースサイズに合わせた自社キャリバーGP01800を搭載。

【2022年9月】時代に左右されないエレガンスの象徴的な色であるグリーン文字盤がコレクションに追加された。文字盤にはクル・ド・パリのパターンが施され、光の当たる具合によって陰影が変化し、グリーン文字盤の持つ表情の豊かさが強調されている。自動巻き。径42㎜。SSケース&ブレス。188万1000円。【変更点】グリーン文字盤をロレアート伝統のポリッシュ仕上げとサテン仕上げを交互に施した径42mmSSケースに収めている。

【2022年10月】ユニセックスモデルとして人気の38mmモデルにコッパ―文字盤を追加。光によって表情が明るい褐色のようなブランウンから、ピンクかがったゴールドまでダイナミックに変化するのが特徴だ。自動巻き。径38㎜。SSケース&ブレス。195万8000円。【変更点】上品でありながら、主張の強すぎないコッパ―文字盤に、どんなスタイルにも合わせやすい38mmケースを組み合わせた。

【1984年】ロレアートの第1世代モデル。横長のSSコマをYG製の中ゴマでつなぐ特徴的なH型ブレスを初採用。均時差を表示するイクエーション・オブ・タイムに加え、星座表示まで備えたクォーツムーブ搭載の複雑系天文時計もラインナップした。【変更点】ブレス中央の平面的なストライプ模様を、本作ではベゼル同様、ポリッシュ仕上げとした立体的なイエローゴールドのコマに変更。シリーズの特徴であるH型ブレスの原形が完成した。繊細な針とインデックスの仕様は継承。
【1995年】自社製キャリバーGP3100を搭載した自動巻きモデルが登場。ケース径が拡大し、ベゼルも大型となった一方、上品な薄型スタイルにして、H型ブレスのデザインも一新。YG×SSのコンビ仕様も継続したが、この第2世代あたりからオールSSケースが主流となる。【変更点】薄型自動巻きムーブの採用で、ケースの厚さがダウン。ベゼルは8角形とラウンドを融合した形状となる。H型ブレスは中ゴマが横長となって現行品に近いスタイルに。文字盤にはクル・ド・パリ状の装飾を施した。
【1996年】「ロレアート オリンピコ」はコレクション初のクロノグラフ。30分積算計、12時間積算計、スモールセコンドを擁した横並びの3カウンター仕様で、外周にはタキメーターを装備。この2年後には、複雑系のスリー・ゴールド・ブリッジ トゥールビヨンも登場した。【変更点】クロノグラフの特性に合わせ、全体のスタイルがスポーティかつマッシブに。8角形ベゼルの幅が増し、ケースサイドにはリューズガードを設置。針は太めのペンシル型で、インダイヤルの外枠も丸みを帯びた立体型に。
【2003年】2003年に第3世代の「ロレアート Evo³」が登場。8角形ベゼルやブレス一体型ケースの特徴はそのままに、ケースがより大ぶりとなった。上の写真は’06年に発表されたムーンフェイズ、パワーリザーブ、ビッグデイト表示機能付きのコンプリケーションモデル。【変更点】それまで鏡面だった8角形ベゼルの前面をサテン仕上げにするなど、ケースをポリッシュ&サテンを使い分けたコンビネーション仕様に。またH型ブレスの中ゴマも大型化し、全体をソフトなラインに作り変えた。
【2017年】2016年にロレアートの3針が限定225本で復活。その翌年に上のレギュラーモデルが発表された。随所をモダン化させつつ、よりオリジナルに近いデザインに。自動巻き。径42㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。174万9000円。【変更点】文字盤の装飾はそれまで格子模様だったが、新たにクル・ド・パリのギョーシェ仕上げとした。12時位置にはオリジナルと同じGPロゴをセット。また、ケースサイズに合わせた自社キャリバーGP01800を搭載。
【2022年9月】時代に左右されないエレガンスの象徴的な色であるグリーン文字盤がコレクションに追加された。文字盤にはクル・ド・パリのパターンが施され、光の当たる具合によって陰影が変化し、グリーン文字盤の持つ表情の豊かさが強調されている。自動巻き。径42㎜。SSケース&ブレス。188万1000円。【変更点】グリーン文字盤をロレアート伝統のポリッシュ仕上げとサテン仕上げを交互に施した径42mmSSケースに収めている。
【2022年10月】ユニセックスモデルとして人気の38mmモデルにコッパ―文字盤を追加。光によって表情が明るい褐色のようなブランウンから、ピンクかがったゴールドまでダイナミックに変化するのが特徴だ。自動巻き。径38㎜。SSケース&ブレス。195万8000円。【変更点】上品でありながら、主張の強すぎないコッパ―文字盤に、どんなスタイルにも合わせやすい38mmケースを組み合わせた。

 
 
お問い合わせ:ジラール・ペルゴ公式サイト

[時計Begin 2018 SPRINGの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義