2023.02.14

ノモス グラスヒュッテ「タンジェント」の歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.14

NOMOS GLASHÜTTE
ノモス グラスヒュッテ
【タンジェント】

 

バウハウスデザインの影響を受けた究極デザイン

シンプルな文字盤は変えずに

搭載ムーブメントが常に進化

 

ノモスのファーストにしてフラッグシップモデルとなる「タンジェント」。バウハウスの影響が色濃いシンプル仕様のまま、内部機構を進化させてきた。

 

Original model

オリジナルモデル

1992年

再興後の第1号となる

小ぶりで上品なデザイン

1990年のブランド再興後、ファーストコレクションのひとつとして発表された初代「タンジェント」。正円とフラットな面および直線で構成されたシンプルかつ繊細なデザインを採用し、老若男女を問わず幅広い層から人気を得る。6時位置にスモールセコンド。手巻き。径35㎜。SSケース。

 

シンプルな外観に秘めた

自社製の高性能スタイル

1990年の東西ドイツ統一によって、それまで国営企業に統合されていた東ドイツ側の時計メーカーは一斉に民営化を果たした。グラスヒュッテに本拠を置くノモスもそのひとつで、2年後の’92年に復興第1作目の「タンジェント」を発表する。敏腕デザイナーのローランド・シュベルトナー氏が手がけたこのモデルは、ベゼル、ラグとも薄い丸型のケース、繊細な針とインデックスを擁した文字盤など、シンプルで機能的な美しさを追求したバウハウスの理念に則ったデザインを採用。直径35㎜のユニセックスサイズにより、男女や年齢によらず人気を博した。

タンジェントはその後30年近く、このデザインを維持して現在に至る一方、搭載のムーブメントは変化している。本作は当初、ETA社からプゾー7001をパーツ単位で仕入れ、自社でブラッシュアップした手巻きキャリバーを搭載していた。だが2005年、ブランド初の自動巻き「ε(イプシロン)」を開発し、初代と同じデザインで発表。翌年には自社製の手巻き「γ(ガンマ)」が続き、これらはノモスが自社一貫製造のマニュファクチュールとなったことを世に知らしめた。

さらに’14年、ひげゼンマイまで自社製の脱進機“ノモス スイング システム”を開発。翌年に、厚さ3.2㎜の薄型自動巻き「DUW3001」を発表する。そして’19年に登場した初ブレス仕様のスポーツタイプでは、より機能を向上させつつも、やはり3.6㎜の薄型「DUW6101」を搭載。このようにタンジェントは、高い技術力に支えられ常に内部機構を進化させているのだ。

 

【2003年】

「タンジェント デイト パワーリザーブ」。細いバトン針、アラビア数字とバーが交互に並ぶ繊細な意匠はそのままに、1時位置にパワーリザーブ表示、6時位置に日付表示を装備。ロゴマークは9時位置に移動した。手巻き。径35㎜。SSケース。

【搭載ムーブメント】グラスヒュッテの伝統ともいえるゴールドカラーの3/4プレートを備えた手巻きキャリバーを搭載。パワーリザーブ&デイト表示機能を追加しつつも、独自機構の開発により薄型仕様をキープした。

「タンジェント デイト パワーリザーブ」。細いバトン針、アラビア数字とバーが交互に並ぶ繊細な意匠はそのままに、1時位置にパワーリザーブ表示、6時位置に日付表示を装備。ロゴマークは9時位置に移動した。手巻き。径35㎜。SSケース。
【搭載ムーブメント】グラスヒュッテの伝統ともいえるゴールドカラーの3/4プレートを備えた手巻きキャリバーを搭載。パワーリザーブ&デイト表示機能を追加しつつも、独自機構の開発により薄型仕様をキープした。

 

【2005年】

「タンゴマット(タンジェント オートマティック)」。オリジナルデザインのまま、ブランド初のオートマティック仕様に。自社製の自動巻きムーブメントの開発でこれが可能となった。デイト付きのタイプも同時にリリース。径38.3㎜。SSケース。

【搭載ムーブメント】ブランド初の自動巻きキャリバー「NOMOSε(イプシロン)」。開発からパーツ製造、組み立てまで、同社工場内で行われた完全自社製ムーブメントである。スケルトン仕様のローターを備える。

「タンゴマット(タンジェント オートマティック)」。オリジナルデザインのまま、ブランド初のオートマティック仕様に。自社製の自動巻きムーブメントの開発でこれが可能となった。デイト付きのタイプも同時にリリース。径38.3㎜。SSケース。
【搭載ムーブメント】ブランド初の自動巻きキャリバー「NOMOSε(イプシロン)」。開発からパーツ製造、組み立てまで、同社工場内で行われた完全自社製ムーブメントである。スケルトン仕様のローターを備える。

 

【2007年】

「タンジェント モカ」。この年のトレンドカラーだったブラウン文字盤を取り入れ、ゴールドケースと合わせた。また、同年には淡いグレー文字盤の新作もエントリーするなど、文字盤カラーのバリエーションが拡大。手巻き。径35㎜。18KYGケース。

【搭載ムーブメント】手巻きキャリバー「NOMOSα(アルファ)」を搭載。伝統的な3/4プレートを用いるが、以前のようなゴールドカラーではなく、表面にグラスヒュッテ・ストライプを施したシルバーカラーとなる。

「タンジェント モカ」。この年のトレンドカラーだったブラウン文字盤を取り入れ、ゴールドケースと合わせた。また、同年には淡いグレー文字盤の新作もエントリーするなど、文字盤カラーのバリエーションが拡大。手巻き。径35㎜。18KYGケース。
【搭載ムーブメント】手巻きキャリバー「NOMOSα(アルファ)」を搭載。伝統的な3/4プレートを用いるが、以前のようなゴールドカラーではなく、表面にグラスヒュッテ・ストライプを施したシルバーカラーとなる。

 

【2015年】

「タンジェント ネオマティック 1stエディション」。新ムーブメント搭載による自動巻きモデル。ケース径やデザインなどに大きな違いはないが、文字盤のロゴ下に”neomatik”を赤字で記し、スモセコの針も赤色に。径35㎜。SSケース。

【搭載ムーブメント】自動巻きの新キャリバー「DUW3001」搭載。独自エスケープメントのノモス スイング システムを採用した自社製品である。また、トリオビス緩急装置を備えることで高精度な歩度調整が可能に。

「タンジェント ネオマティック 1stエディション」。新ムーブメント搭載による自動巻きモデル。ケース径やデザインなどに大きな違いはないが、文字盤のロゴ下に”neomatik”を赤字で記し、スモセコの針も赤色に。径35㎜。SSケース。
【搭載ムーブメント】自動巻きの新キャリバー「DUW3001」搭載。独自エスケープメントのノモス スイング システムを採用した自社製品である。また、トリオビス緩急装置を備えることで高精度な歩度調整が可能に。

 

【2018年】

 

「タンジェント アップデイト」新ムーブメント「DUW6101」を搭載し、日付表示を赤いドットで挟んで表示するというユニークな文字盤となっている。自動巻き。径40.5㎜。SSケース。52万8000円。

「タンジェント アップデイト」新ムーブメント「DUW6101」を搭載し、日付表示を赤いドットで挟んで表示するというユニークな文字盤となっている。自動巻き。径40.5㎜。SSケース。52万8000円。

 

【2019年】

「タンジェント・スポーツ・ネオマティック デイト マリンブラック」。ブランド初のSSブレス装備モデルであり、厚さ10.9㎜の薄型ながら30気圧防水のハイスペックを実現した。自動巻き。径42㎜。SSケース。66万円。

【搭載ムーブメント】搭載するのは自社製の自動巻き「DUW6101」。初の日付メカニズム付きネオマティック・キャリバーであり、正確で見やすいデイト表示を実現。また直径35.2㎜と、かつてない大型なのも特徴。

「タンジェント・スポーツ・ネオマティック デイト マリンブラック」。ブランド初のSSブレス装備モデルであり、厚さ10.9㎜の薄型ながら30気圧防水のハイスペックを実現した。自動巻き。径42㎜。SSケース。66万円。
【搭載ムーブメント】搭載するのは自社製の自動巻き「DUW6101」。初の日付メカニズム付きネオマティック・キャリバーであり、正確で見やすいデイト表示を実現。また直径35.2㎜と、かつてない大型なのも特徴。

 

【2022年】

「タンジェント ネオマティック プラチナグレー」。文字盤にロジウムメッキを施し、貴金属のプラチナのような印象的なグレーを表現したモデル。タンジェント定番の細い針にもロジウム仕上げとし、文字盤と調和させている。自動巻き。径38.5㎜。SSケース。48万4000円。

こちらは同モデルの径35mmモデル。自動巻き。SSケース。45万6500円。

「タンジェント ネオマティック プラチナグレー」。文字盤にロジウムメッキを施し、貴金属のプラチナのような印象的なグレーを表現したモデル。タンジェント定番の細い針にもロジウム仕上げとし、文字盤と調和させている。自動巻き。径38.5㎜。SSケース。48万4000円。
こちらは同モデルの径35mmモデル。自動巻き。SSケース。45万6500円。

お問い合わせ:ノモス グラスヒュッテ公式サイト

[時計Begin 2020 WINTERの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義