2023.02.28

オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」の歴史とは?【ロングセラー変遷記】vol.16

ORIS
オリス
【ビッグクラウン ポインターデイト】

 

グローブのまま操作できる

“デカリューズ”のパイロット時計

1938年の登場以来、90年近くにわたってオリスの象徴であり続ける「ビッグクラウン ポインターデイト」。2つのエポックメイキングな技術を兼備した、そのロングセラーモデルの変遷を辿る。

Original model

オリジナルモデル

1938年

画期的装備を融合した

空軍パイロット愛用品

1938年に発表された初代モデル。文字盤外周の日付表示をセンター針で指し示すポインターデイト機能に加え、グローブを着けた状態でも操作可能な大型リューズを装備。秒は6時位置のスモールセコンドで表示。第2次世界大戦時、多くの米空軍パイロットが愛用したことで知られる。

 

機能の洗練から生まれた

完成度の高いデザイン

第2次大戦前夜の1938年、気鋭の時計メーカーだったオリスにより、かつてないパイロットウォッチが開発される。ひとつめの特徴はケースサイドで存在感を示す「ビッグクラウン」。上空3万フィートの極寒の機内で、飛行士が革手袋を着用したままで時刻合わせができるよう開発された大型リューズだ。そしてもうひとつが「ポインターデイト」。文字盤中央に配した専用針が、外周を取り囲む数字を指し示すこの日付表示は、当時の一般的なものと比べ、よりシンプルで正確であった。これらがデザイン上の個性ともなり、本作はたちまちアメリカ空軍パイロットたちの必携品となるのである。

オリスの技術力を世界中に知らしめた2つの画期的装備は、後継機に脈々と継承されてゆく。 ’80年代には、搭載キャリバーが手巻きから自動巻きに移行し、日付表示用の針を含めたセンター4針スタイルとなる。また、コインエッジ仕様の刻み入りベゼル、先端が三日月形で読みとりやすい日付針、コブラ形の時分針など、現行につながる大半の要素がここで揃う。その後、オリジナルを受け継ぐミリタリー系ブラック、ゴールドカラーを取り入れたドレス系ホワイトの2本柱で展開。2000年代以降は、時代の要請に応じて、大型化や風防のクリスタル化を果たしながらも、マイナーチェンジのみで大幅な変更はない。当初から本作がいかに確立されたデザインであったかがわかる。2018年に誕生80周年を迎えた「ビッグクラウン ポインターデイト」。いまだ斬新なその姿は、今後ますます存在感を発揮していくことだろう。

【1981年】1980年代、初の自動巻きキャリバーを搭載したモデルが登場。これにしたがい、それまでのスモールセコンドをセンター秒針に変更。時分針、ポインターデイトとあわせ、センター4針となる。また、ベゼルや文字盤などのスタイルもより現代的なものに。生産終了。【変更点】自動巻き、センター4針以外の変更点は、特徴の「ビッグクラウン」がより操作性の高い大型サイズになったこと。ベゼルがコインエッジ仕様となり、ポインターデイトの先端が三日月形、さらには時分針もコブラ形に。

【1998年】文字盤上の表示をすべてアラビア数字で統一したブラックタイプを追加。オリジナルがもつミリタリーパイロットの威厳をキープしつつ、より洗練された雰囲気を醸し出すようになった。以降、この精悍な黒とエレガントな白の文字盤が共存していくことになる。生産終了。【変更点】オールアラビア数字のブラック文字盤を採用。数字はそれまでのゴールドカラーのアプライド型ではなく、夜光塗料による直塗りタイプに。また、時表示と日付表示の中間の分表示用の目盛りをレイルウェイとした。

【2003年】この年、時代のトレンドにあわせて、シリーズ初となる直径40㎜サイズのモデルが登場。ヴィンテージミリタリー風のデザインはそのままに、ケース径を拡大させることで、腕もとでの存在感が高まった。自動巻き。SSケース。カーフストラップ。5気圧防水。生産終了。【変更点】ケース径の拡大にともない、「ビッグクラウン」もより見映えのする大型サイズに。また、ストラップも付け幅20㎜の大振りなものへと変更された。一方、文字盤デザインや針、ベゼルの仕様などは前モデルを継承。

【2009年】「ビッグクラウン」シリーズでは初のサファイアクリスタル風防を採用。従来の白文字盤タイプを継承しながら、各ディテールに磨きをかけることで、いっそうエレガントな表情に仕上げている。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフストラップ。10気圧防水。生産終了。【変更点】風防をドーム型サファイアクリスタルに変更。文字盤は仕上げの異なる段付きのリングを施したシルバーカラーで、数字とバーが交互に並ぶスタイルとなる。また、針もより上品な形状に。防水性は10気圧に向上した。

【2017年】オリジナルを踏襲した黒文字盤タイプでは、当時と同じプレキシガラス風防を採用。細めのベゼルやコブラ針、丸みのあるスッキリとした数字とともに、ヴィンテージ風な味わい。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフストラップ。5気圧防水。13万2000円。【変更点】ベゼルがスタイリッシュな薄型に。インデックスがやや細いフォントとなった。アンダー30㎜のレディスから40㎜まで幅広いサイズが揃う。

【2017年】内面無反射加工のドーム型サファイアクリスタル風防装備のシルバータイプ。細部のつくりを微妙に変化させつつも、その上品なたたずまいに変わりはない。自動巻き。径40㎜。SSケース。レザーストラップ。10気圧防水。17万円。【変更点】ベゼルがスタイリッシュな薄型に。文字盤は数字を載せたリングにギョーシェを施した。アンダー30㎜のレディスから40㎜まで幅広いサイズが揃う。

【2018年】ビッグクラウン ポインターデイト誕生80周年を記念して登場。ブロンズケースにグリーン文字盤と当時の人気配色となっている。自動巻き。径40㎜。ブロンズケース。レザーストラップ。5気圧防水。22万円。【変更点】経年変化も楽しめるブロンズケースを採用。深いグリーンの文字盤は創立以来本社が置かれる美しいヴァンデンブルク渓谷をイメージしたものだとか。

【2023年】2000年代に入って自社ムーブメントの開発が再開。その最新作である手巻きキャリバー473を搭載したモデルがこちら。このキャリバーは自動巻きキャリバー403をベースに設計され、なんと4年をかけて完成したもの。手巻き。径38㎜。SSケース。レザーストラップ。5気圧防水。63万8000円。【変更点】裏蓋はシースルーバックとなり、新キャリバーが堪能できる。キャリバーには120時間パワーリザーブゲージも表示。

【1981年】1980年代、初の自動巻きキャリバーを搭載したモデルが登場。これにしたがい、それまでのスモールセコンドをセンター秒針に変更。時分針、ポインターデイトとあわせ、センター4針となる。また、ベゼルや文字盤などのスタイルもより現代的なものに。生産終了。【変更点】自動巻き、センター4針以外の変更点は、特徴の「ビッグクラウン」がより操作性の高い大型サイズになったこと。ベゼルがコインエッジ仕様となり、ポインターデイトの先端が三日月形、さらには時分針もコブラ形に。
【1998年】文字盤上の表示をすべてアラビア数字で統一したブラックタイプを追加。オリジナルがもつミリタリーパイロットの威厳をキープしつつ、より洗練された雰囲気を醸し出すようになった。以降、この精悍な黒とエレガントな白の文字盤が共存していくことになる。生産終了。【変更点】オールアラビア数字のブラック文字盤を採用。数字はそれまでのゴールドカラーのアプライド型ではなく、夜光塗料による直塗りタイプに。また、時表示と日付表示の中間の分表示用の目盛りをレイルウェイとした。
【2003年】この年、時代のトレンドにあわせて、シリーズ初となる直径40㎜サイズのモデルが登場。ヴィンテージミリタリー風のデザインはそのままに、ケース径を拡大させることで、腕もとでの存在感が高まった。自動巻き。SSケース。カーフストラップ。5気圧防水。生産終了。【変更点】ケース径の拡大にともない、「ビッグクラウン」もより見映えのする大型サイズに。また、ストラップも付け幅20㎜の大振りなものへと変更された。一方、文字盤デザインや針、ベゼルの仕様などは前モデルを継承。
【2009年】「ビッグクラウン」シリーズでは初のサファイアクリスタル風防を採用。従来の白文字盤タイプを継承しながら、各ディテールに磨きをかけることで、いっそうエレガントな表情に仕上げている。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフストラップ。10気圧防水。生産終了。【変更点】風防をドーム型サファイアクリスタルに変更。文字盤は仕上げの異なる段付きのリングを施したシルバーカラーで、数字とバーが交互に並ぶスタイルとなる。また、針もより上品な形状に。防水性は10気圧に向上した。
【2017年】オリジナルを踏襲した黒文字盤タイプでは、当時と同じプレキシガラス風防を採用。細めのベゼルやコブラ針、丸みのあるスッキリとした数字とともに、ヴィンテージ風な味わい。自動巻き。径40㎜。SSケース。カーフストラップ。5気圧防水。13万2000円。【変更点】ベゼルがスタイリッシュな薄型に。インデックスがやや細いフォントとなった。アンダー30㎜のレディスから40㎜まで幅広いサイズが揃う。
【2017年】内面無反射加工のドーム型サファイアクリスタル風防装備のシルバータイプ。細部のつくりを微妙に変化させつつも、その上品なたたずまいに変わりはない。自動巻き。径40㎜。SSケース。レザーストラップ。10気圧防水。17万円。【変更点】ベゼルがスタイリッシュな薄型に。文字盤は数字を載せたリングにギョーシェを施した。アンダー30㎜のレディスから40㎜まで幅広いサイズが揃う。
【2018年】ビッグクラウン ポインターデイト誕生80周年を記念して登場。ブロンズケースにグリーン文字盤と当時の人気配色となっている。自動巻き。径40㎜。ブロンズケース。レザーストラップ。5気圧防水。22万円。【変更点】経年変化も楽しめるブロンズケースを採用。深いグリーンの文字盤は創立以来本社が置かれる美しいヴァンデンブルク渓谷をイメージしたものだとか。
【2023年】2000年代に入って自社ムーブメントの開発が再開。その最新作である手巻きキャリバー473を搭載したモデルがこちら。このキャリバーは自動巻きキャリバー403をベースに設計され、なんと4年をかけて完成したもの。手巻き。径38㎜。SSケース。レザーストラップ。5気圧防水。63万8000円。【変更点】裏蓋はシースルーバックとなり、新キャリバーが堪能できる。キャリバーには120時間パワーリザーブゲージも表示。

 

 

お問い合わせ:オリス公式サイト

[時計Begin 2017 SUMMERの記事を再構成]
文/岡崎隆奈 構成/市塚忠義