2023.05.31

ロングセラー変遷記:イタリアのダイビングの歴史に貢献した傑作モデル

60年以上の歴史を持つ伝説のダイバーズウォッチ

今回はエベラール初のダイバーズとして登場した「スカフォグラフ」について。登場時から高防水にして回転ベゼルを備えた“隠れた名作”について追う。

1959
Original model:斬新な文字盤デザインを擁した初のダイバーズ

 

オリジナルモデル

1959年に登場した同社初のダイバーズ「スカフォグラフ100」。インデックスは12・3・6・9 時位置が大型三角形で他は丸型。針も短針に三角、秒針に丸をあしらった印象的な文字盤意匠となる。100m防水では回転式ではなくプレーンなベゼルを採用した。

時とともに存在感を増した進化系ハイスペックモデル

スイスブランドながらイタリアで人気に火がついたエベラール。同社もまた1950年代、時代の要請に応じていち早くダイバーズの開発に着手する。そして’59年に完成したのがスカフォグラフだ。同年、100m防水の「スカフォグラフ100」と200m防水の「スカフォグラフ200」が相次いで発売され、とくに回転ベゼル付きの後者は現行ダイバーズの源流の1本ともなるが、どちらも200本限定生産だったため〝隠れた名作〞の印象が強い。

しかし、その後の進化によって同シリーズはしだいに存在感を増していく。’64年に自動巻きを搭載した300m防水の「スカフォグラフ300」、’69年に400m防水の「スカフォグラフ400」と750m防水の「スカフォグラフスーパー」を発表。世界的フリーダイバーが愛用したことでも名声を高める。また’83年発表の「スカフォグラフ1000」では、ついに超プロ仕様の1000m防水を達成するのである。

時を経て2016年、エベラールは1964年の第2世代「スカフォグラフ300」のデザインを復刻し、現代解釈を加えた限定モデルを発売。その完成度の高さから、同年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)で並いる競合を抑え、スポーツ部門で見事優勝を果たす。これは“隠れた名作”だった同シリーズが、半世紀以上を経て掴んだ栄光ともいえる。さらに今年は’59年の「スカフォグラフ200」を当時の意匠のまま、オールブラックに仕上げて発売するなど、その存在感は今後ますます高まるだろう。

1959年:200m防水の回転ベゼル/「スカフォグラフ100」と同年の1959年に発売された「スカフォグラフ200」。防水性がより高い200mで、ダイバーが潜水時間を計測するための60分計付きの回転式ベゼルを備える。今日のダイバーズ時計スタイルにおける源流のひとつとなった。

<変更点>ダイバーズらしいスタイルを確立/よりハイスペックな200m防水に加え、回転式のダイビングベゼルを備えたダイバーズウォッチらしいデザインを採用。時間が読み取りやすい大型三角形のインデックスと針を配した文字盤デザインなどは変わっていない。

1964年:300m防水の自動巻き/1964年に登場した300m防水の「スカフォグラフ300」。シリーズで初めて自動巻きムーブメントを搭載し、ケースサイズも拡大した。この1960年代、伝説のフリーダイバー、レイモンド・ブッチャーとルチアナ・シビコが愛用したことでも有名に。

<変更点>リューズガード付きの大型ケース/搭載ムーブが手巻きから自動巻きに変更され、日付表示を導入。ケースは直径36mmから42mmへと格段にアップし、デザインも流麗なカーブを描くリューズガード付きに。一方、文字盤はインデックス・針ともシンプルになった。

1969年:400m防水の大胆デザイン/1969年登場の400m防水を備えた「スカフォグラフ400」。ケース・文字盤とも1960~’70年代特有のダイナミックデザインを採用した。この同じ年、やはりダイナミック型で防水性を750mに向上させた「スカフォグラフ スーパー」も発売されている。

<変更点>’60年代レトロが際立つ個性的外観/1960~70年代的なクッション型大型ケースを取り入れ、薄型の回転式ベゼルを装備。再びリューズガードのないスタイルへと戻った。また文字盤のインデックスは太く短いボックス型で、長針もボックスを擁した太めの仕様に。

1983年:1000m防水のクォーツ/1983年登場の「スカフォグラフ1000」。当時、一握りのブランドしか作りえなかった1000m防水のプロフェッショナルダイバーズへと進化した。時代を反映してクォーツムーブメントを搭載し、飽和潜水対応のヘリウムエスケープバルブも備える。

<変更点>機能性重視のデザインに一新/防水性が1000mに向上した一方、搭載ムーブは自動巻きからクォーツに変更。回転ベゼルは波打つ形状のSS製にして操作性を高め、ブレスレットも滑らかな1 連に。文字盤12・6・9 時位置の矢印型インデックスも個性的だ。

2022年:オールブラックの最新作/「スカフォグラフ200 DLC リミテッド・エディション」。初代のデザインを踏襲しつつ、硬質なDLC加工でオールブラックスタイルに仕上げた。自動巻き。径43mm。SSケース&ブレスレット。200m防水。限定135本。102万6300円。

<変更点>初代デザインを最新技術で再現/1959年モデルの大型三角形インデックス&針を忠実に再現し、ヴィンテージカラーの夜光をセット。ケース&ブレスにDLC加工を施して耐傷性を高めるとともに精悍な外観に。セラミックベゼル、ドーム型サファイアガラスを採用。

<b>1959年:200m防水の回転ベゼル</b>/「スカフォグラフ100」と同年の1959年に発売された「スカフォグラフ200」。防水性がより高い200mで、ダイバーが潜水時間を計測するための60分計付きの回転式ベゼルを備える。今日のダイバーズ時計スタイルにおける源流のひとつとなった。<br/><br/><b><変更点>ダイバーズらしいスタイルを確立</b>/よりハイスペックな200m防水に加え、回転式のダイビングベゼルを備えたダイバーズウォッチらしいデザインを採用。時間が読み取りやすい大型三角形のインデックスと針を配した文字盤デザインなどは変わっていない。
<b>1964年:300m防水の自動巻き</b>/1964年に登場した300m防水の「スカフォグラフ300」。シリーズで初めて自動巻きムーブメントを搭載し、ケースサイズも拡大した。この1960年代、伝説のフリーダイバー、レイモンド・ブッチャーとルチアナ・シビコが愛用したことでも有名に。<br/><br/><b><変更点>リューズガード付きの大型ケース</b>/搭載ムーブが手巻きから自動巻きに変更され、日付表示を導入。ケースは直径36mmから42mmへと格段にアップし、デザインも流麗なカーブを描くリューズガード付きに。一方、文字盤はインデックス・針ともシンプルになった。
<b>1969年:400m防水の大胆デザイン</b>/1969年登場の400m防水を備えた「スカフォグラフ400」。ケース・文字盤とも1960~’70年代特有のダイナミックデザインを採用した。この同じ年、やはりダイナミック型で防水性を750mに向上させた「スカフォグラフ スーパー」も発売されている。<br/><br/><b><変更点>’60年代レトロが際立つ個性的外観</b>/1960~70年代的なクッション型大型ケースを取り入れ、薄型の回転式ベゼルを装備。再びリューズガードのないスタイルへと戻った。また文字盤のインデックスは太く短いボックス型で、長針もボックスを擁した太めの仕様に。
<b>1983年:1000m防水のクォーツ</b>/1983年登場の「スカフォグラフ1000」。当時、一握りのブランドしか作りえなかった1000m防水のプロフェッショナルダイバーズへと進化した。時代を反映してクォーツムーブメントを搭載し、飽和潜水対応のヘリウムエスケープバルブも備える。<br/><br/><b><変更点>機能性重視のデザインに一新</b>/防水性が1000mに向上した一方、搭載ムーブは自動巻きからクォーツに変更。回転ベゼルは波打つ形状のSS製にして操作性を高め、ブレスレットも滑らかな1 連に。文字盤12・6・9 時位置の矢印型インデックスも個性的だ。
<b>2022年:オールブラックの最新作</b>/「スカフォグラフ200 DLC リミテッド・エディション」。初代のデザインを踏襲しつつ、硬質なDLC加工でオールブラックスタイルに仕上げた。自動巻き。径43mm。SSケース&ブレスレット。200m防水。限定135本。102万6300円。<br/><br/><b><変更点>初代デザインを最新技術で再現</b>/1959年モデルの大型三角形インデックス&針を忠実に再現し、ヴィンテージカラーの夜光をセット。ケース&ブレスにDLC加工を施して耐傷性を高めるとともに精悍な外観に。セラミックベゼル、ドーム型サファイアガラスを採用。

お問い合わせ:エベラール公式サイト

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