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2024.11.20
140年目のエドックス! ブランドを変えた代表作とは?
エドックス取締役兼セールス&マーケティング ディレクター
クリスチャン・オッツ氏にインタビュー
美しく高性能なダイバーズウォッチの作り手としてますます評価を高めているエドックスが、140周年を迎えた。来日中の同社キーパーソン、クリスチャン・オッツ氏に、近年のブランド人気を支える「クロノオフショア1 」コレクションについての熱い思い、そしてその肝いりの新作である「クロノオフショア1 ベゼルロック クロノグラフ オートマティック」のストロングポイントなどについてうかがった。
「クロノオフショア1で今のエドックスのイメージは決定づけられました」
(クリスチャン・オッツ氏)
スイス・ビール/ビエンヌで1884年に創業するや高性能な懐中時計で名を成し、腕時計の時代に入ってからは過酷な状況下でも正確な時を刻むモデルを多く輩出してきたエドックス。1961年には“ダブル・Oリング”搭載の画期的なリューズ機構により、世界で初めてリューズのねじ込みなしで200m防水を実現した「デルフィン」、’65年にはそのダブル・Oリングをさらに進化させて500m防水を実現した「ハイドロサブ」を発表するなど、とくにダイバーズウォッチ分野で大きな功績を残しているが、近年ブランドが大きく飛躍できたのは、2006年に「クロノオフショア1」を発表したからだとクリスチャン・オッツ氏は語る。
「ご存知のようにこのコレクションは、海のF1と呼ばれるパワーボートレースのダイナミックかつラグジュアリーな世界観を投影して誕生しました。そのためスペック面だけでなく、素材や仕上げを含めた審美性もとことん追求しています。すでにエドックスは高性能なダイバーズの作り手として愛好家に知られた存在でしたが、高度な技術力と、広くマーケットに訴えかけるストーリー性とが初めて揃った時計といえるかもしれません。実際このコレクションの登場によって、ファンの裾野は大きく広がりました。クロノオフショア 1の開発は、エドックス=ラグジュアリーダイバーズというイメージを抱いていただけるようになった、まさにターニングポイントとなる出来事だったと考えています」
エドックスの新作モデル①
【クロノオフショア1 ベゼルロック クロノグラフ オートマティック】
ブランド初のベゼルロック機構を備えた最新のクロノオフショア1。9時位置ケースサイドのレバーを6時側にスライドした状態だと通常の逆回転防止ベゼルだが、12時側にスライドするとロックがかかり、ベゼルは完全に固定される。ベゼルをシャープに仕立て直したほか、ケースラグがよりソリッドな造形となるなど、デザインも細やかに進化している。自動巻き。径45㎜。SSケース(セラミック製ベゼル)。ラバーストラップ。シースルーバック。500m防水。63万8000円。
ブラック文字盤の場合、ベゼルロックは赤に。ぐっとクールな雰囲気だ。径45㎜。SSケース(セラミック製ベゼル)。ラバーストラップ。シースルーバック。500m防水。63万8000円。
グレーとオレンジの新鮮なコントラストのモデルも。 径45㎜。グレーPVD加工SSケース(セラミック製ベゼル)。ラバーストラップ。シースルーバック。500m防水。66万円。
精悍なデザインにゴールドの差し色が映える!このセンスがさすが。径45㎜。グレーPVD加工SSケース(セラミック製ベゼル)。ラバーストラップ。シースルーバック。500m防水。66万円。
オッツ氏の熱い思いは動画で!!
「ブランド初のベゼルロック機能で安全性をさらに強固にしました」
(クリスチャン・オッツ氏)
今回オッツ氏は、そのクロノオフショア1の新作となる「クロノオフショア1 ベゼルロック クロノグラフ オートマティック」を伴って来日していた。ポイントを語っていただこう。
「一番の特徴はベゼルのロック機構です。もともとこのモデルは逆回転防止ベゼルを装備していますが、9時位置側に備えたレバーを上方(12字位置側)にスライドすれば完全にロックがかかり、どちらの方向にもベゼルは動きません。もちろんこのダブルセーフティ機構は、水中で強い衝撃を受けたときの安全性をより強固にするために開発したものですが、たまにマリンスポーツをする程度のアーバンダイバーの方にも、こうしたユニークなギミックを好まれる方は多いのではないかと期待しています。もちろんデザインやディテール、カラーリングに関しても徹底的にこだわって開発していますから、とくに審美眼に優れる日本の時計ファンには評価していただけるのではないでしょうか」
新機構を搭載、そして相変わらずの高級感あふれる仕上がりにかかわらず、価格は60万円台前半と極めて良心的だ。そもそも、今どき高精度な自動巻きクロノグラフを搭載した500m防水ダイバーズでこの価格はありえないのではないか。なぜエドックスはこんな値付けをできるのだろうか。
「各サプライヤーさんと長年良好な関係を築き上げてきたことに加え、やはり家族経営の独立系ブランドであることが関係していると思います。マージンを低く設定できますからね。我々としても、こうした価格優位性は大きな武器と捉えています。ブランドのさらなるラグジュアリー化を推進するため、もう少し上の価格帯で時計作りを行うこともできますが、それでは一部の富裕層のための時計作りとなってしまい、我々の目指すところではありません。将来的にはパーツやムーブメント価格の高騰などから、価格を上げなくてはならない状況になるかもしれませんが、企業努力でなるべくそれを抑え、今後も費用対効果の高いモデルを作り続けたいですね」
なんとも嬉しい言葉だ。最後にエドックスの今後の方向性についてうかがってみた。
「技術開発を続け、これからもウォータープルーフ分野の第一線を走り続けたい。そしてスタイリッシュでハイクオリティなダイバーズの購入を考えたとき、誰もが真っ先に思い浮かべるブランドでありたいと願っています。また140周年記念の限定モデルとして発表した『クロノラリー スポーツマン クロノグラフ オートマティック』のベースとなったモデルのように、エドックスは長い歴史の中で様々な傑作を生み出しています。これらアーカイブの掘り起こしにも注力していく所存です。これからもエドックスにどうぞご期待ください」
エドックスの新作モデル②
【クロノラリー スポーツマン クロノグラフ オートマティック】
創業140周年を記念し、スポンサードする「BMW M モータスポーツ」と共同開発した限定作。1972年発売「スポーツマン クロノグラフ」の近未来的デザインを踏襲しつつ、サイズやディテールを細やかにモダナイズ。約62時間パワーリザーブの新型ムーブメントを搭載するなど性能面も大幅進化している。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレス(レザーストラップ付属)。シースルーバック。300m防水。世界限定600本。71万5000円。
鮮やかなレーシングブルーの文字盤も用意。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレス(レザーストラップ付属)。シースルーバック。300m防水。世界限定600本。71万5000円。