2026.11.04

ハイビートは本当に偉い? 機械式時計の「振動数」の基礎知識

【ホンモノの価値はココを見ろ! 時計選びの“審美眼”養成講座】
振動数

デザインの好みや直感、予算とのバランス、歴史への共感など、時計の魅力は十人十色。ただ、見どころを知ることで、時計が持つ真の凄みや価格の理由がより深く理解できる。本特集では、時計を構成する各要素の注目すべきポイントを、初心者にも分かりやすく解説。自分だけの確かな審美眼をしっかりと養い、運命の愛機を最高の手応えで選ぶ参考にしていただきたい。時計は、決して適当に選んではならないのだ。

振動数

毎時2万8800振動がハイとローの分かれ目

機械式時計のムーブメントは、設計の段階でテンプが何回振れたら1秒となるか定める。このテンプが単位時間あたりに振れる回数が、振動数である。1秒間で5回なら毎秒5振動。これを1時間で換算すると×3600で、1万8000振動となる。現行モデルで多用されるのは毎秒5~10(毎時1万8000~3万6000)振動。2万8800振動以上をハイビート、未満をロービートとするのが通例だ。

ハイビートは、テンプの振動が安定して高精度が得やすく、また衝撃にも強い。しかしパーツの摩耗が速く進み、駆動時間が短くなるのが欠点。一方のロービートは、高精度にするには入念な調整や優れた設計が不可欠。しかし負荷が少ないので、100年以上使うことを前提とした高級機で好まれる。

近年は加工精度や潤滑油の性能の向上で、ハイビートでも低摩耗化が可能になった。また量産型のエントリークラスにも毎秒6振動のロービート機が登場している。ムーブメントの性能は、振動数だけでなく総合的に判断すべし。

CHECK POINT ハイビートか、ロービートか?
ゼニスはハイとローの名手

ロービート 1万8000振動

精度的に不利な毎秒5振動のロービートで、1950~60年代の精度コンクールを総なめした伝説のCal.135が、72時間駆動に進化して復活。大口径テンプの大きな慣性モーメントで、日差±2秒以内の超高精度を実現した。

ZENITH(ゼニス) G.F.J.

G.F.J.

銀白色の光沢を持つ硬いレアメタル、タンタルのケースに昨年復活した伝説のCal.135を搭載。ダイアルはオニキス製でインダイアルはMOP製。外周には工房のレンガ壁を模したブリック・ギョーシェ彫りを施した。限定20本。手巻き。径39mm。タンタルケース。アリゲーターストラップ(他2本付属)。1122万円。

ハイビート 3万6000振動

1969年に誕生したゼニスのアイコン「エル・プリメロ」は、世界初の一体型自動巻きクロノグラフにして毎時3万6000振動のハイビートを先駆けた。今もその伝統を受け継ぎ、毎秒10振動による1/10秒計測を可能にしている。

ZENITH(ゼニス) クロノマスター スポーツ スケルトン

クロノマスター スポーツ スケルトン

中央の積算計針が10秒周期で高速運針し、1/10秒単位の計時が正確に読み取れるエル・プリメロ 3600SKを、スケルトナイズ。グラデのスモーキー加工した透明なダイアルに、高速振動するテンプの動きが確認できる。自動巻き。径41mm。SSケース&ブレスレット(ラバーストラップ付属)。214万7200円。

問い合わせ:ゼニス ブティック銀座
ゼニス公式サイト

VC(ヴァシュロン・コンスタンタン)は振動数が変えられる!

1つの香箱から2系列の輪列を構築。一方は毎秒10振動、他方は2.4振動で8時位置のボタンで切り替えられる。装着時には精度と耐衝撃性に優れるアクティブモードとし、保管時にはスタンバイモードでゼンマイ消費を抑える。

VACHERON CONSTANTIN(ヴァシュロン・コンスタンタン) トラディショナル ツインビートパーペチュアルカレンダー

トラディショナル ツインビートパーペチュアルカレンダー

毎秒2.4振動(1.2Hz)のスタンバイモードでは70日間駆動となる。これは時計を長時間使用しない間に、永久カレンダーがずれることを防ぐための工夫だ。ボタン操作で2つのテンプの間のV字型の板バネが左右に首を振り、一方を停止させる仕組み。手巻き。径42mm。Ptケース。カーフストラップ。5324万円。

問い合わせ:ヴァシュロン・ コンスタンタン
ヴァシュロン・コンスタンタン公式サイト

[時計Begin 2026 AUTUMNの記事を再構成]

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