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2026.10.30
見えないところまで美しい! ランゲで検証、高級時計を彩る「ムーブメント装飾」の世界
【ホンモノの価値はココを見ろ! 時計選びの“審美眼”養成講座】
装 飾
デザインの好みや直感、予算とのバランス、歴史への共感など、時計の魅力は十人十色。ただ、見どころを知ることで、時計が持つ真の凄みや価格の理由がより深く理解できる。本特集では、時計を構成する各要素の注目すべきポイントを、初心者にも分かりやすく解説。自分だけの確かな審美眼をしっかりと養い、運命の愛機を最高の手応えで選ぶ参考にしていただきたい。時計は、決して適当に選んではならないのだ。

外から見えない部品も入念に手仕上げする
A. LANGE & SÖHNE(A.ランゲ&ゾーネ)
東西冷戦による休眠から1990年に復活を遂げたA.ランゲ&ゾーネは、その4年後に4つのファーストコレクションを発表した。これら初作の裏蓋は、ソリッドでムーブメントを外に見せていなかった。しかし翌年、トランスパレント化されると、世界中の時計関係者は驚愕した。他社を圧倒するほどの入念な手仕上げと装飾とが、隅々にまで行き渡っていたからだ。
今でもムーブメントの仕上げの美しさは、時計界で屈指。それはこの「1815 ラトラパント」のムーブメント写真からも、明らかだろう。複雑機構ゆえ、部品数は365個にも及ぶ。その多くは重なり、外からは見えないパーツがいくつも存在するが、すべてに鏡面状やヘアライン、そしてさまざまな装飾仕上げが施されている。見えない部分の仕上げも手を抜かないのが、真の高級機。どの技巧も伝統にのっとった手作業を貫き、職人たちは誇りをかけて膨大な時間を仕上げに注ぐ。
1815 ラトラパント

ランゲでは数少ないアラビア数字は、創業者が製作した懐中時計に範を採る。その外側にタキメーターを配したラトラパンテは、縦2つ目のレイアウトが、スタイリッシュ。12.6mmのケース厚は、同機構としては薄く装着感も優れる。限定200本。手巻き。径41.2mm。Ptケース。アリゲーターストラップ。価格要問い合わせ。
CHECK POINT ムーブメントの装飾や仕上げは?
A.ランゲ&ゾーネは11種類もの仕上げと装飾!


キャリバーL101.2
A. ランゲ&ゾーネでは唯一の付加機能がない純然たるラトラパンテキャリバーであり、2020年に誕生した。ダトグラフ用とは異なる専用設計。アイソレーターをあえて外し、7.4mm厚という薄さをかなえた。
①「グラスヒュッテストライプ」

高級機は機械加工の跡を完全に消し去るのが原則。この仕上げはブリッジ表面も、回転する円盤を当て、少しずつずらしながらストライプ模様を施す。コート・ド・ジュネーブより艶感を抑えている。
②「サンバースト仕上げ」

香箱の各穴車や比較的大きな歯車の表面に施される螺旋状の装飾仕上げ。施盤とパーツとをそれぞれ逆方向にゆっくり回転させることで生まれる。見た目が太陽に似ていることが、名前の由来だ。
③「ペルラージュ仕上げ」

欧文だと「Perlage」。Perl(真珠)のage(集合)との意味で、回転する硬質ゴムを主に地板の表面に押し当て、円形模様を敷き詰める。各模様が丁度中心位置になるよう重ねるのが職人技。
④「ヘアライン仕上げ」

クロノグラフのレバーやハンマー、スプリングなどに入れる筋目仕上げ。髪の毛のように細いラインは、専用のサンドペーパーに対象となるパーツを押し当て、一直線にズラすことで生まれる。
⑤「円模様仕上げ」

比較的小さな歯車の表面は、前述したサンバースト仕上げではなく、同心円の筋目模様を入れる。パーツを回転するチャック(治具)に固定し、専用のサンドペーパーに押し当てて加工する。
⑥「グレイン仕上げ」

後述する面取りとポリッシュ仕上げしたブリッジの側面の下の部分は、回転する研磨棒を手で押しあてながらグレイン仕上げを施す。マットな面を形成することで、ポリッシュ部の輝きが引き立つ。
⑦「鏡面仕上げ」

別名、ポリッシュ仕上げ。木製の角棒にパーツを留め、ダイヤモンドパウダーを付けた研磨紙の上で8の字状にこすり、磨く。これを研磨紙の粗さを変えながら繰り返し、文字通り鏡状とする。
⑧「ブラックポリッシュ仕上げ」

最上級の鏡面仕上げ。部品を亜鉛や錫のプレートに載せて特殊な研磨材料を用いて磨き上げ、光を全反射して黒光りするまで仕上げる。作業時間は数日間にも及ぶため、特別なパーツにだけ施す。
⑨「面取りのポリッシュ仕上げ」

各種プレートや受け、レバーの角には必ず手作業で一定の角度と幅で面取りを施す。その後、削り取った斜面は、ゴムヘラや回転する木盤などで磨き上げ、最終的に研磨ブラシで鏡面状に仕上げる。
⑩「内側の角の艶出し」

フレーム状のパーツの内側で角と角とが接する面を内角と呼ぶ。この接面をシャープに、接線を極細の一直線状にするには高度な手作業が必要。鉛筆に似た超硬工具で内角を慎重に削り、仕上げる。
⑪「受けへのエングレービング」

テンプの受け(ブリッジ)へのハンドエングレービングは、創業者から受け継ぐザクセン様式の伝統。A.ランゲ&ゾーネでは主に受けを留めるビスを花芯に見立てた花模様が用いられる。
問い合わせ:A.ランゲ&ゾーネ
A.ランゲ&ゾーネ公式サイト
[時計Begin 2026 AUTUMNの記事を再構成]
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