2026.11.04

日本だけの特別仕様! ジン40周年記念モデルの魅力をCCOに聞く

ジンのチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)、シモーネ・リヒター氏が来日。今年、日本上陸40周年と創業65周年を迎えた同ブランドは、その節目を記念した限定モデル「103 クラシック JP 40B/40R」を発表した。さらに近年はブランドの独立性を守るため「財団化」に踏み切るなど、新たな挑戦にも取り組んでいる。記念モデルに込めた思いと、ジンが見据える未来について聞いた。

日本上陸40周年記念モデルに込めた想いと、ジンが見据える未来

Simone Richter シモーネ・リヒター SINN マーケット&カスタマー担当マネージングディレクター(CCO) 20年以上にわたってマーケティング、営業、カスタマーサービス、製品開発、出荷を統括し2025年末からは経営執行委員会のメンバーも務めている。

――SINN(ジン)は日本上陸40周年を迎えるそうですね。

はい、当社は1961年にヘルムート・ジンが創業した時計製造会社で、1994年に現CEOのローター・シュミットがブランドを引き継ぎ、今年で創業65周年、日本上陸40周年を迎えました。シュミットは過去にA.ランゲ&ゾーネやIWCでさまざまなプロジェクトの責任者を務め、機械工学を学んだ経験もあります。ジンでは製造部門を強化するとともに、実際の用途に役立つ技術の開発に力を注ぎ、多くの特許を取得しました。

今回、私はCEOのローター・シュミットの代理で、日本で開催されるこの40周年を記念するイベントのために来日しました。私自身も20年以上この会社に在籍し、取締役としてシュミットと長年一緒に働いてきました。来日できなかったのは健康上の理由によるものですが、本人もさぞ残念だったと思います。ドイツと日本の“ジン愛好家”、私たちを支持して下さるユーザーは、とてもよく似ておられるので、シュミットはぜひ会いたかったと思います。

――日本には昔から、機能や品質、工作精度まで徹底的に追求しているドイツ製品に対して特別な敬意を抱いて愛用している人々がたくさんいます。

ええ、そうした方々に支持されているのだと思っています。とても光栄ですし、うれしいことです。

――改めてお聞きしますが「ジン」はどのような時計ブランドですか?

ジンは65年前の創業以来、「プロが使える時計を提供すること」をモットーにして、ダイバーズウォッチやパイロットウォッチ、ミリタリー用のミッションタイマーなどを、実際の現場で役立つことを重視しながら、プロフェッショナルたちと緊密に連携して開発・発売してきました。また機械式時計ブランドとして、職人の手仕事やクラフトマンシップも大切にしています。

――どのジャンルのどのモデルにも、他にはない独自技術や独自の素材、ジンのこだわりが貫かれていますね。

金属素材へのこだわりは特に強いですね。私たちは冶金工学に関して独自の技術を持っていて、他社にはないゴールドとブロンズの特殊合金など、独自の素材を開発して使っています。その中には特許を取得している素材もあります。過酷な環境で使うプロのための時計にとって、何よりもいちばん重要なのは外装、つまりケースです。そして当社のケースの開発・製造はグラスヒュッテにある子会社の「SUG」で行っているので、他社よりも開発時間を十分にかけることができます。

――今回、日本上陸40周年を記念した限定モデルが発売されましたね。

はい、「103 クラシック JP 40B」と「103 クラシック JP 40R」という2モデルです。103シリーズは40年前、日本で正規販売がスタートしたときから発売しているモデルのひとつで、基本デザインは当時から変えていません。

103 Classic JP 40R。深紅のベゼルが目を引く、ジン流パイロットクロノ。103シリーズは、日本に正式に輸入され、最初に販売された時計のひとつ。

――伝統も歴史もある、いちばんジンらしいモデルのひとつですね。

はい、航空機のコックピットにある計器から着想を得たトリコンパックス(3インダイヤル)のスタイルのクロノグラフです。私たちが誇りとする“妥協のない機能性”がいちばんの特長で、湿気によるムーブメントや潤滑油の劣化を防ぐ、ケース内に除湿剤とアルゴンガス(Ar)を封入してある当社独自の「Ar ドライテクノロジー」を採用。風防は耐傷性のある両面無反射コーティングを施したハイドーム型のサファイアクリスタルで、文字盤はサンバースト仕上げのブラック。時間経過を読み取るために使うアルミインサートベゼルは「B」はブラック、「R」はレッドを採用しました。

――「これぞパイロット・クロノグラフ」というデザインですね。

私たちは同じモデルでも、常に最新の素材や技術を使うことで、機能や品質を進化させています。この「103」も現代にふさわしい製品に進化しています。また限定モデルなので裏蓋には限定モデルであることを示す限定ナンバーと「日本上陸40周年」という文字を英語とドイツ語で刻印してあります。

――ところでジンは先日、会社の体制を「株式会社」ではなく「財団」に変えられたそうですね。その目的をぜひお聞かせください。

シュミットCEOが会社を財団という形態にしたのには、主にふたつの理由、目的があります。ひとつは、企業としての独立性を守り、「真のプロのための特別な時計」という企業理念、時計ブランドとしてのアイデンティティを未来にわたって守り続けるためです。そしてもうひとつが社会貢献。具体的には時計製造における手仕事の保全と育成や、ドイツの文化や自然保護などを続けるためです。

――ラグジュアリーグループに買収されたことで、本来の理念を失ってしまう時計ブランドは少なくありませんね。

シュミットや私たちは絶対にそのようなことはしたくない。従業員の仕事と雇用を守り、ジンらしい妥協のない時計作りを続けたい。そのための大きな決断でした。

――時計業界の中ではとても珍しい選択ですね。

お手本にしたのは、やはり財団という形態で運営されている「ロレックス」や、高級車メーカーの「ロールス・ロイス」です。財団にしたことで、会社の価値観や哲学を次の世代へ確実に受け継いでいける体制が整いました。私たちはこれからもずっと、ブレることなく「ジンの時計作り」を続けていきます。


103 Classic JP 40B(左)/103 Classic JP 40R

SSケース、ケース径 41mm、ケース厚17mm、アルミ製インサートベゼル、ムーブメント:SW510(自動巻/27 石/2万8800 振動)、パワーリザーブ:約 56 時間、耐磁性能:4,800A/m(DIN ISO764 準拠)、Ar ドライテクノロジー、 両面無反射サファイアクリスタル、ねじ込み式リューズ、ねじ込み式シースルーバック、防水性:DIN8310、20 気圧防水、減圧耐性あり、ブラックのテキスタイルストラップ。ブラックベゼル:103 CLASSIC JP。40 B  93万5000円 、レッドベゼル:103 CLASSIC JP 40 R。93万5000円。 日本限定各 50 本

問い合せ:ホッタ TEL 03-5148-2174
https://www.sinn-japan.jp

文/渋谷ヤスヒト