2022.02.18

時計ライター髙木教雄が解説！　『ＬＶＭＨウォッチウィーク2022 新作時計レポート：ゼニス編』

髙木教雄（たかぎ・のりお）
1962年生まれ。1990年代半ばから時計を取材対象の1つとし、『時計Begin』をはじめとする時計専門誌やライフスタイル誌で執筆。

1月24日～28日に開催された「LVMHウォッチウィーク2022」。今年で3回目となるこちらのイベントは、世界の時計業界が注目する場であり、歴史ある時計見本市と並ぶ重要なイベントだ。期間中、タグ・ホイヤー、ゼニス、ウブロ、ブルガリの4社が新作を発表。春に開催される「ウォッチズ＆ワンダーズ」に先駆けて開催された、2022年初の時計見本市。各ブランドの傾向と髙木氏が注目する、おススメの3本をご紹介。

ゼニス：デファイ・コレクションに新たな魅力を注ぎ込む

なんと1969年の名作時計がリバイバル！

ゼニスによる2022年の新作は、まず「デファイ」コレクションに注力された。時計ファンであれば、2017年に発表された1/100秒計時を可能とする革新的クロノグラフに始まるコレクションであることはご存じであろう。さらに熱心なゼニスファンなら、その名のルーツが1969年に誕生した高防水時計にあることを知っているはず。

1969年誕生のオリジナルモデルの当時の広告。独特のフォルムのケースやラダーブレスレットなどが新作で忠実に再現されていることがわかる。

リファレンスは、A3642。エル・プリメロと同じ年に生まれた、八角形のケースに14面ベゼルを組み合わせた力強いフォルムは、今あるデファイの外装デザインが手本とする。その初代デファイをゼニスは、限定モデルとして完全復刻した。モデル名は「デファイリバイバル A3642」。特徴的なフォルムはもちろんのこと、ブラウンのグラデーションダイヤルや縦に４つのバーが並ぶ植字インデックス、そしてラダーブレスレットといった当時の姿を忠実に再現。さらに当時のモデルが備えていた現行のゼニスの時計にはない300ｍの高防水も、与えられている。リバイバル系は、近年のゼニスのヒット作。この３針のリバイバルも、即完売の予感だ。

新シリーズは9時位置のスモセコの動きに注目！

さらにこの初代を再解釈した新シリーズ「デファイスカイライン」も新たに誕生した。八角形のケースはよりシャープに改められ、ベゼルは12角形とすることでモダンな印象に。ダイヤル全体に散りばめた星に似た型打ち模様は、初代の裏蓋に刻まれていた２つのＺを組み合わせたマークからの引用である。

さらに実機を見れば、９時位置のスモールセコンドの動きに目を奪われるはず。10秒で１周という、高速運針をしているのだから。搭載するムーブメントは、Cal.エル・プリメロ3620。そう、昨年「クロノマスタースポーツ」にレギュラー搭載されたクロノグラフ秒針が1/10秒刻みでステップ運針し、10秒で１周するCal.エル・プリメロ 3600をベースとした、新キャリバーである。名機エリートと並ぶ３針ムーブメントとして今後の展開に期待大。

カーボン＆チタンの軽量ブラックモデルも！

また現行デファイを象徴する1/100秒クロノグラフには、カーボンとチタンとで超軽量に仕立てた「デファイエクストリームカーボン」が新登場。フルオープンのダイヤルと裏蓋から覗くムーブメントも黒に染めた特別仕様となっている。ストラップはインターチェンジャブル式で、ブラック・レッドの各ラバーストラップとベルクロストラップの３本が付属。