2023.02.19

国産時計ブランド 春の新作時計祭り Part 1

2023年3月末にスイスで開かれる新作時計見本市、ウォッチズ&ワンダーズを前に我らが国産ブランドの動きも活発化。魅力的な新作が続々と誕生している。4大ブランドの気になる時計をまとめてみたい。

オリエントスターの新作

完売した初代ダイバー復刻の第二弾

オリエントスターの70周年、2021年に誕生した「ダイバー1964 1st エディション」は、1964年のオリエントのファーストダイバー「オリンピアカレンダーダイバー」を現代風にアレンジしたもの。ハイスペックな内容とレトロな外観で世界的な人気となり、すでに完売しているが、その第二弾としてシルバーダイヤル(第一弾はブラックダイヤル)が登場した。

オリエントスター「ダイバー1964 1st エディション」。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレスレット。200m防水。限定900本。15万700円。

実は、原型となった初代にも、ブラックとシルバー2種類のダイヤルが存在しており、今回は現存数も極めて少ないレアなシルバーカラーを再現したものだ。オリジナルモデル同様のステンレススティール無垢の回転ベゼルとの相性も抜群だが、注目して欲しいのは、そのダイヤルのインデックスだ。かなり立体的なため別体バーツを植字したように見えるが、実はダイヤル裏からプレスで盛り上げた完全なる一体成形。つまり衝撃が加わっても、インデックスがポロッと取れてしまうことは、絶対にないのである。

1964年、初代オリジナルダイバー。シルバーダイヤルは特にレア。

衝撃に強いことは、ダイバーズウォッチには必須。またダイバーズウォッチとしては珍しく、12時位置には50時間のパワーリザーブ表示が搭載されているが、残りの駆動時間を把握することもダイバーにとっては極めて重要。このように本格的な200m防水のダイバーズウォッチではあるが、シルバー一色というソリッドで都会的な印象に加え、ケース径41㎜という程よいサイズ感で、ビジネスシーンにおいても活躍が期待できる1本だ。

裏ぶたには、初代ダイバーの誕生年と、シリアルナンバーが刻まれる。

問い合わせ オリエントお客様相談室  042-847-3380    公式オンラインストア

 

クレドールの新作

ダイヤルの細い線の正体は!?

芸術品のようなダイヤル。単なるブラックダイヤルに、カラフルなインデックスをプリントしただけでは、このような美しさは生まれない。漆芸家・田村一舟氏の黒漆ダイヤルに組み合わされたのは、螺鈿(らでん)細工だ。螺鈿とは、輝く貝を使った装飾技法。ダイヤルの細く繊細な「線」の正体は、すべて「貝」なのだ。アワーマーカーも兼ねたインデックスは白蝶貝、その他のミニッツマーカーのカラフルな螺鈿は夜光貝を使用し、その貝の幅は僅か02.㎜だという。無数の星が流れる流星群をイメージし、細く薄くカットしたというが、これだけの長さを割らずに切り出す技術には、ただただ脱帽というほかない。

クレドール「アートピースコレクション 螺鈿ダイヤル 限定モデル」。手巻き。径37㎜。SSケース。クロコダイルストラップ。限定60本。165万円。

この時計の繊細な美しさを、さらに引き立てているのが、ケースの薄さだ。ケースの厚さは6.5㎜、中に収まるムーブメントの厚さは、わずか1.98㎜しかない。極薄の手巻きキャリバー6890を手がけるのは、盛岡セイコー内にある高級機械式時計工房「雫石高級時計工房」だ。アガキ調整に100分の1㎜単位の精度が求められるため、熟練の時計師をもってしても1日に1個から2個しか組み立てられないという。「美」と「技」を極めたクレドールの最新作は、60本のみの限定生産となっている。

 

手巻きキャリバー、6890。テンパー仕上げ(鉄を焼くことで酸化膜の色付けをする技術)のネジが美しい。毎時2万1600振動。日差+25秒〜−15秒。

問い合わせ クレドール

セイコーウオッチお客様相談室 0120-061-012

 

シチズンの新作

一周回って、最旬レトロ

この時計を初めて見た人の感想は、さまざまだろう。「ああ、懐かしい〜」なら40歳オーバー。「昭和レトロっぽさ、逆にアリ」なら20代。「シチズンコレクション レコードレーベル」は、かつて時計ブームを起こした人気モデルのデザイン復刻を数多く扱うシリーズだ。そのプロジェクト2周年を記念して誕生したのが、このゴールドカラーの「サーモセンサー」である。

シチズン「シチズンコレクション レコードレーベル サーモセンサー特定店限定モデル」。クォーツ。ケース幅33.4㎜。SSケース&ブレスレット。5気圧防水。限定500本。3万7400円。

シチズンのサーモセンサーは、世界初の温度計測機能を搭載する腕時計として1982年に誕生。温度表示の他にも、アラーム機能やデュアルタイム表示機能が備わり、時分針のインダイヤルとシンメトリーにデザインされたクロノグラフの12時間計も特徴。モリモリ感満載のダイヤルをビス止めの別体ベゼルがさらに際立たせていた。昨年、すでにメタルカラーのサーモセンサーが復刻されたが、こちらは初代サーモセンサーのゴールドカラーを現代風にアップデートした限定版。裏ぶたのオリジナルロゴのフォントが、なんともレトロ。

限定モデルだけの特別仕様として、デビュー当時のフォントを再現したオリジナルロゴを裏ぶたに刻印。

問い合わせ シチズン時計

 

カシオの新作

40周年を記念した特別限定モデル軍団

今年2023年は、カシオのGショックが誕生してからちょうど40年。ということで、カシオさん、気合十分です! アドベンチャラーズ ストーンと名付けられたこちらのGショック軍団は、40周年を記念した、どれもが特別な限定モデル。中世より冒険者の道しるべとして利用されてきた鉱石をモチーフに、さまざまな色、形、輝きを表現した。

Gショック40周年を記念したアドベンチャラーズ ストーンは、全6モデルで展開。

「GM-5640GEM-1JR(サンストーン)」。覗き込む角度によって色を変える輝きを、レインボーカラーを施した鍛造ベゼルで実現。クォーツ。ケース幅43.2㎜。樹脂&SSケース。樹脂バンド。4万1800円。

「GM-2140GEM-2AJR(コーディエライト)」。クールなブルーの表情は、IP処理を施した鍛造ベゼルと混色樹脂成形のバンドで表現。クォーツ。ケース幅44.4㎜。樹脂&SSケース。樹脂バンド。3万8500円。

「GM-114GEM-1A9JR(カルサイト)」。メタルベゼルをカルサイトの原石に見立て、鍛造成形とゴールド&ブラックIP処理で仕上げている。クォーツ。ケース幅48.8㎜。樹脂&SSケース。樹脂バンド。4万700円。

「GM-S114GEM-1A2JR(カルサイト)」。鍛造成形のベゼルにパープルとグレーのIP処理を施している。クォーツ。ケース幅42㎜。樹脂&SSケース。樹脂バンド。3万6300円。

「GM-S5640GEM-7JR(カルサイト)」。メタルベゼルにレーザー刻印とレインボーIPを重ねて、カルサイトの結晶模様と光の屈折が見せる美しい輝きを実現。クォーツ。ケース幅38.4㎜。樹脂&SSケース。樹脂バンド。3万5200円。

「GM-S2140GEM-9AJR(カルサイト)」。透き通った黄金色のカルサイトを、鍛造成形とゴールドI Pを施したメタルベゼルで表現。クォーツ。ケース幅40.5㎜。樹脂&SSケース。樹脂バンド。3万3000円。

問い合わせ カシオ計算機

(文・構成/市塚忠義)