2023.04.20

ウォッチズ&ワンダーズの主役たち W&W2023 速報 Part6 パルミジャーニ・フルリエ/パテック フィリップ/ピアジェ

W&W2023 速報 Part6

パルミジャーニ・フルリエ/パテック フィリップ/ピアジェ

3月27日からスイスのジュネーブで開催された「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」。3回目となる今年は、48のブランドが参加した。新作の詳しい情報は、2023年6月8日発売の『時計BeginVol.110』でも紹介する予定だが、ここでは華やかな時計展示会の主役となった、人気ブランドの注目モデルだけを厳選。全8回にわたり、約50本を紹介する。

 

パルミジャーニ・フルリエの新作

世界初の「分針」のラトラパンテ

昨年、GMT機能をラトラパンテにするという離れ技で注目を集めたパルミジャーニ・フルリエは、その第二弾として「ラトラパンテ繋がり」の新作をリリースした。今度、ラトラパンテするのは「分針」。ロジウム加工の通常の分針の下には、18KRG製のもう1本の分針が隠れている。この新機構は、ダイバーズウォッチの回転ベゼルの役割を、もう1本の分針が担うというもの。8時位置のプッシャーを押すと18KRG製の2本目の針が5分ジャンプ。10時位置のプッシャーを押すと1分ジャンプする。計測したい時間だけ(例えば7分を計測したいなら8時プッシャーを一回、10時プッシャーを2回)、オンデマンドで2本目の分針を進ませることが可能で、2本の針が完全に重なり合った時に、その時間が経過したことになる。また進ませた2本目の分針は、リューズトップのプッシャーを押せば、元の位置に戻される(ラトラパンテ)。またしても世界初の機構が誕生した。

「トンダ PF ミニッツ ラトラパンテ」。自動巻き。径40㎜。SSケース&Ptベゼル。SSブレスレット。438万9000円。

上の「ミニッツ ラトラパンテ」を開発するきっかけとなった「トンダ PF GMT ラトラパンテ」に新バリエーションの18KRG製モデルが誕生。ミラノブルーのダイヤルには、繊細なバーリーコーン(大麦の穂)パターンが刻まれている。このモデル最大の特徴は、ローカルタイムを示すGMT針を、必要のないときは通常の分針の下に重ねて完全に「隠せる」こと。ダイヤルをスッキリと見せられるうえ、視認性という点でも大変優れている。7時位置のプッシャーを押すと、このGMT針が、1時間ジャンプ。また元に戻したいときは、リューズ一体型のプッシュボタンを押せば、再び「2針」の時計に姿を変えるのだ。

「トンダ PF GMT ラトラパンテ」。自動巻き。径40㎜。18KRGケース&ブレスレット。939万4000円。

お問い合わせ:パルミジャーニ・フルリエ公式サイト

 

パテック フィリップの新作

24時間表示のユニークなトラベルタイム

トラベルタイムの表示方法に、パテック フィリップらしさが際立つ新作が登場。こちらのモデルのダイヤルは24時間表示。つまり時針は、12時間で一周するのではなく、24時間で一周する。その理由は、時差のある渡航先で、ホームタイムが昼なのか夜なのか、分かりやすくするため。このタイプ(24時間表示モデル)は、12時位置が「24」からスタートするのが通例だが、パテック フィリップは視認性を高めるため12時位置に正午(12)をセットした。また美しいケースサイドのデザインを損なわないよう、通常はケース左サイドにある現地時刻調整ボタンを、排除。リューズを中間位置に引き出して、1時間単位で時刻を前後できる特許取得のシステムを考案した。

「5224」。自動巻き。径42㎜。18KRGケース。カーフレザーストラップ。771万1000円。

パテック フィリップが新たなスタイルを模索し、2015年に誕生させたパイロットスタイルのコレクションは、年々ファミリーを拡大。2018年にはアラーム機能搭載モデルも開発された。今回、新たに加わったのは、ファミリー初のクロノグラフだ。6時位置に計測用の60分計を配置したクロノグラフは、トラベルタイム機能も装備。センター運針する2本の時針が備わっており、スケルトン針が出発地時刻を表示する。また現地時刻の調整は、付属のファンクションペンシルを用いて、ケースサイドの8時位置と10時位置にセットされたボタンで行う。なお、12時位置のサブダイヤルで表示される日付は、現地の日付。こうした実用性を追求するのも、パテック フィリップならではと言えるだろう。

「5924」。自動巻き。径42㎜。18K WGケース。カーフレザーストラップ。1017万5000円。

お問い合わせ:パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター

 

ピアジェの新作

ピアジェ ポロ初の永久カレンダー搭載機

薄型ムーブメントの開発で、常に時計業界をリードしてきたピアジェ。1960年に発表した自動巻きの薄型ムーブメント「12P」は、マイクロローターを搭載することで当時の世界最薄を記録した。そのちょうど50年後に誕生したのが「1200P」。今回の新作は、その「1200P」をベースに永久カレンダー機能を加えたキャリバー「1255P」を搭載。ピアジェ ポロで、この薄型の永久カレンダーキャリバーを搭載するのは、初となる。ムーブメントの厚さはわずか4㎜、ケースの厚さも8.65㎜しかない。ダークエメラルドグリーンの文字盤には、ピアジェ伝統のゴドロン装飾を施し、永久カレンダーのサブダイヤルと共に、非常に表情豊かな時計に仕上げている。

「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン」。自動巻き。径42㎜。SSケース&ブレスレット(ラバーストラップ付属)。予価770万円。

 

「ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン」。自動巻き。径42㎜。18K P Gケース。ラバーストラップ(アリゲーターストラップ付属)。予価1003万2000円。

お問い合わせ:ピアジェ コンタクトセンター

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(文・構成/市塚忠義)