2023.07.19

着けて納得インプレッション! 気合い入りまくりのクロノスイス40周年記念モデル

膨らんだドームダイヤルにファイヤーエナメルの妙

奥行きのあるブルーエナメルとギョーシェ彫りが三日月型のミニッツレトログラードを、よりいっそう際立たせている。

クロノスイスといえば、レギュレーター。時・分・秒針を、同軸ではなくそれぞれ独立させて表示を行う古典的スタイルで有名だ。「デルフィス」はそのレギュレーターに、ジャンピングアワー(デジタル表示のアワーディスクが瞬時に回転する機構)を組み合わせた傑作。クロノスイスは今年、ブランドの40周年を、1996年に誕生した「デルフィス」のスペシャル仕様で祝う。

「デルフィス オラクル」。自動巻き。径42㎜。18KRGケース。ラバーストラップ。625万9000円。世界限定50本。

新作「デルフィス オラクル」は、世界限定50本のみという希少モデル。デジタルジャンンピングアワーに180度のレトログラード式分表示という、ユニークなメカニズムだけでも十分に楽しめるモデルだが、見どころはこれだけではない。手彫りのギョーシェが施されたダイヤルは、ドーム形に中央が大きく膨らむ。曲面へのギョーシェ彫は、一筋縄ではいかないが、このモデルでは、さらにブルーのファイヤーエナメル(グランフー)によって美しい艶を手に入れている。

ハンドメイドによる昔ながらのギョーシェ彫り。伝統の職人技がクロノスイスを支える。

ギョーシェ装飾の豊かな表情を、エナメルで「封じ込めた」かのような立体感は、ブルーエナメルを7層にわたって薄く塗り重ねた賜物。ギョーシェ彫り同様、釉薬をカーブダイヤルに均等に塗布することは極めて難しく、熟練技術に加え、時間と根気も必要である。クロノスイスが掲げるブランド哲学「モダン・メカニカル」を、見事に伝えるスペシャルな記念モデルが誕生した。

 

エネルギーに満ち溢れた「スペースタイマー ジュピター」のダイヤルとストラップ。

もう一本、ダイヤルカラーの美しい新作を紹介したい。2022年に誕生した「スペースタイマー ジュピター」に続く新作「スペースタイマー ソラリス」だ。このモデルの特徴は、モデル名にあるようにソラリス(太陽)のようなダイヤルである。その表現方法は、非常に手の込んだ内容だ。

「スペースタイマー ソラリス」。自動巻き。径44㎜。SSケース。コーデュラナイロンストラップ。247万5000円。世界限定50本。

ダイヤル6時位置の半球面ムーンフェイズはチタン製で、月と星にはスーパールミノバを塗布している。スーパールミノバは、時、分、カレンダー表示の針先端部分に加え、2つの透明なリンングのインデックスにも使用されており、オレンジの鮮やかなダイヤルは、暗闇では一変して宇宙空間を思わせるダイヤルに変貌する。

暗闇で光る様子は、まさに宇宙空間そのもの。

お問い合わせ:クロノスイス公式サイト

文・構成/市塚忠義