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2023.09.19
着けて納得インプレッション! 生まれ変わったフランク ミュラーの新生トウノ カーベックス
美しき三次元曲線がさらに進化
WPHH2023で発表されたフランク ミュラーの最新作。新たなトノウ型ケース「グランド カーベックス」を採用した渾身作の完成度は、いかに。実機を着ける機会があったので、その様子をレポートしたい(言い訳するつもりはありませんが、フランク ミュラーの時計は他とは比較にならないほどカーブしているので撮影した写真のガラスの映り込みが激しいですが、そこは逆にフランク ミュラーの時計がスゴすぎるということで……)。
こちらはグランド カーベックスの基軸となる「CX36」ケースを採用した3針モデル。ケースサイズは縦53.1㎜、横36㎜で、これはトノウ カーベックスケース「8880」と「7850」の中間に位置する。ケース上下のベゼルをなくし、風防ガラスをケースのキワぎりぎりまで伸ばしているため、文字盤がより大きく見える。そして文字盤の装飾にも初めての試みが。伝統のクルー・ド・パリに渦巻き模様を組み合わせている。文字盤の四隅がカーブしているため、この渦巻き模様の間隔も大きくなり、まるで回転しているような躍動感が生まれている。
ダイヤルを陣取る巨大なトゥールビヨン。2012年に誕生した「ギガ トゥールビヨン」の最新作は、その名に相応しい存在感を放っている。トゥールビヨンのキャリッジの直径はなんと約20㎜。文字盤の半分を占めている。この巨大なトゥールビヨンは毎秒5振動というロービートでゆったりと時を刻み、耳を近づけると「チッチッチッ」と力強いビート音が心地よく聞こえる。従来のトゥールビヨンと比較しても慣性モーメントは4倍もあるという。トゥールビヨンのデザインにバランスよく配置した香箱も巨大。2つのセットで100時間駆動を実現し、その残量を12時位置のインジケーターで表示する。
ダイヤルのど真ん中にトゥールビヨンを配置した2021年発表の「グランド セントラル トゥールビヨン」に、バーインデックスの新作が登場。バーインデックスといっても、単なる仕様違いではない。中央のトゥールビヨンを支えるかのように広がるイエローのバーインデックスと秒針にはポリマーコンポジットがセッティングされており、「トゥールビヨン主役」をさらに際立たせることに成功している。ちなみにラウンド型ではない時計でセンタートゥールビヨンを実現したのは、フランク ミュラーが世界初(しかも同社では珍しいマイクロローター式の自動巻き!)。
ここまで紹介してきた新作のダイヤルと比べると、このモデルのダイヤルは至ってシンプルだ。インデックスすら存在せず、ブラック一色。だが単なるブラックダイヤルで片付けることは、できない。“ピアノ”というモデル名からもわかるように、このブラックダイヤルにはグランドピアノのような美しい光沢が与えられている。この見事な光沢感がブラックエナメルの仕事であることは間違いないのだが、なんとそのエナメルを20回も塗り重ねているという。贅沢な空間にゴールドカラーのロゴと針が映える、グランド カーベックスの特徴を最大限に活かしたモデルが誕生した。
お問い合わせ:フランク ミュラー ウォッチランド東京 TEL 03-3549-1949
文・構成/市塚忠義