2023.09.21

着けて納得インプレッション! チューダー「ペラゴス FXD」に待望のブラックダイヤル登場

回転ベゼルは、逆回転防止式に変更

チューダーにとって最も関わりが長く、それゆえに最も得意としているジャンルが、ダイバーズウォッチである。1950年代半ばにはアメリカ海軍によって高い評価を受けており、1958年には制式に採用されている。近々では2021年にフランス海軍と再びパートナシップを結び、共同開発によるダイバーズウォッチを発表した。そんなチューダーのダイバーズウォッチにおいて、ハイスペックな上位コレクションに位置づけられているのが「ペラゴス」である。ペラゴスとはギリシャ語で「海」という意味だ。

「ペラゴス FXD」。自動巻き。径42㎜。チタンケース。ファブリックストラップ(ラバーストラップ付属)。54万100円。

今回紹介するのは「ペラゴス FXD」から新たに発表されたモデル。FXDとは「Fixed=固定」を意味しており、この時計の特徴であるケース形状を示している。通常、時計はラグの間に「バネ棒」と呼ばれる伸縮するパーツが挟まっており、ここにストラップやブレスレットを通すことで、ケースとベルトを繋いでいる。外れることは考えにくいが「バネ式」である以上、強い衝撃が加われば曲がったり外れたりする事もありえる。しかし、「ペラゴス FXD」には、この「バネ棒」が、ない。2本のラグは固定されたバーで一体化されているのだ。

通常のバネ棒は存在せず、ケース&ラグと一体化することで強度を高めている。

これは、かつての海軍からのリクエストを継承するもの。昔の仕様は、このモデルのように一体型ではなかったが、バネ棒を固定させることで水中落下のリスクを回避していた。この「FXD」採用のペラゴスは、2021年に発表されたブルーダイヤルが初。では、今回のモデルは何が新しいのかというと、ブラックダイヤル&ベゼルになったこと。それからそのベゼルが、両方向回転式から逆回転防止式になったことである。

よく「滑り落ちないのか」という声があるが、ご覧のようにグリップ力はかなり高い。

ブルーダイヤルの「ペラゴスFXD」の両方向回転ベゼルには120ノッチ(歯)が刻まれており、「0」から「60」までの目盛りが時計回りに数値が小さくなるカウントダウン式が採用されている。これは戦闘ダイバー達の重要な任務“水中ナビゲーション”を最優先した結果である。一方、新作ブラックダイヤルの「ペラゴスFXD」はノッチが60となり、逆回転防止式に。本格的な軍用ミッションというより、現在のダイバーズウォッチのニーズ(潜水時間の経過を確実に読み取る)を優先した仕様となった。

付属のブラックラバーストラップの装着イメージ。

チューダーが各国の海軍に納品したダイバーズウォッチは、時計単体(ストラップなし)のことが多かったが、このモデルには2本のストラップがつく。初期設定はグリーンのファブリックストラップで、もう一本テキスタイルモチーフがエンボス加工されたラバーストラップが付属する。かつての海軍のダイバーたちが、時計のストラップを自分たちでアレンジしたように、スタイリングや使用環境によって簡単にストラップ交換することができるのも、「ペラゴス FXD」の魅力である。

お問い合わせ:チューダー公式サイト

文・構成/市塚忠義