2023.10.13

着けて納得インプレッション! ティソ PRXに大本命の35㎜「パワーマティック 80」搭載モデル登場

このサイズ感、パーフェクト!

「ティソ PRX 35㎜ パワーマティック 80」。アイスブルーダイアル。自動巻き。径35㎜。SSケース&ブレスレット。10万7800円。

1970年代のレトロチックなデザインで大ヒット中のティソ「PRX」。男女を問わないサイズ感で多くのファンを獲得している。これまで3針モデルの主力は、自動巻きの「パワーマティック 80」を搭載した40㎜モデルと、クォーツムーブメントを搭載した35㎜モデルだったが、35㎜モデルにも待望の「パワーマティック 80」搭載モデルが誕生した。

1965年製の「シースター スペシャル PR 516」。大きく肉抜きされたレーシングブレスレットも特徴。

まずは「PRX」について、簡単におさらい。このモデルを語るには、歴史上の2つのモデルを知っておきたい。まず一つは、モデル名の由来にもなっている1965年のモデル「シースター スペシャル PR516」だ。PRには「Particularly Robust(=特に頑丈)」、もしくは「Precision Resistance(精度と耐久性)」という意味が含まれている。では現行モデルのPRの後についている「X」は何かというと、10気圧(=X)防水を実現したモデルを意味する。

1978年、オリジナルPRX。ケースやブレスレットなど忠実に復刻されていることがわかる。

2つ目のモデルは、デザイン上の直接的なインスピレーションの元になっている1978年のアイコニックなモデルだ。エッジの効いたクッションケースと一体型のブレスレット、シンプルな時分針とバーインデックスなど、PRXのオリジナルがこの1978年のモデルであると言っていいだろう。

味わい深いグリーンダイアル。立定的なチェッカーパターンが多彩な表情を見せる。10万7800円。

今回、新たにリリースされた新作は、1965年モデルのケースサイズ「35㎜」に、1978年のオリジナルデザイン、そしてティソの傑作ムーブメント「パワーマティック 80」を組み合わせている。このバランス感覚が実に絶妙。PRXの購入を考えていた人にとっては、なんとも悩ましい「大本命」の登場だ。

透明感のあるホワイトカラーのダイアル素材は、マザーオブパール。11万3300円。

ティソのPRXは、世界的に見ても20代の若い世代からも人気を集め大セールスを記録している。そして、男女を問わず幅広い年齢層にも支持されているという。こうしたマーケットで成功しているスイスの高級時計は非常に少ない。時計離れ、機械式離れ、メンズ中心の商品展開などを克服すべき課題としている時計ブランドが多い中、PRXの成功は、大きな指針となっている。

3日間動き続ける最長80時間パワーリザーブの「パワーマティック 80」を搭載。

実際、35㎜のPRXを腕につけてみると、今までの腕時計にはない感覚を受ける。クラシックな丸型の35㎜ケースは珍しくはないが、直線ラインを強調したクッション型、そしてそのケース一体型のフラットなブレスレット、1970年代を思わせるレトロデザインで小ぶりな「35㎜」というサイズ感が、なんとも新鮮なのである。組み合わされる個性的なダイアルカラーにも、ティソのセンスの高さが発揮されている。時計ファンにとっても非常に満足度の高い新作だが、ペアウォッチやシェアウォッチとしての活躍にも期待できそうだ。

お問い合わせ:ティソ公式サイト

文・構成/市塚忠義