2023.11.15

フィリップ・スターン名誉会長 お誕生日おめでとございます!

息子から父へ、パテック フィリップ究極の絆時計

「ミニット・リピーター・アラーム 1938P-001 モデル」。自動巻き。径41㎜。プラチナケース。アリゲーターストラップ。価格未定。

パテック フィリップ名誉会長であるフィリップ・スターン。そして現社長のティエリー・スターン。この親子の仲睦まじい様子は、かつてのバーゼルワールドの会期中、何度も目にしている。我々メディアの公式な前ではもちろん、裏方でも仲良く話し込む姿を、よく見かけた。

そんな2人の結束力の強さが、ひとつの時計で証明された。2023年11月9日は、父フィリップ氏の85歳の誕生日。そんな記念すべきアニバーサリーに、息子ティエリー氏は、ビッグサプライズを用意していたのだ。それが限定30本だけのトリビュートモデルである。このモデルのために開発されたムーブメントは、今後はいっさい、使われることはないという。

ダイヤルには、七宝細密画によって描かれた、フィリップ・スターン名誉会長の肖像。これだけでも、父への熱い思いが伝わってくるが、注目すべきは、やはり中に搭載されたムーブメントである。父が愛するコンプリケーション機構、ミニット・リピーターが選ばれているが、今回新たに4つの技術特許が出願されている。

このモデルが画期的なのは、ミニット・リピーターにアラーム機能を組み込んだことだ。つまり現在時刻を音で知らせるチャイムほかに、任意の時間にもアラームを鳴らすことができるのだ。2つの「音」に関連する機能を同時搭載するために、このモデルでは同一のゴングでミニット・リピーターとアラームのチャイムを鳴らすことができる。

そのためには、チャイム用のゼンマイとチャイムの駆動機構を状況に応じて切り離すことが必要となり、新たな4つの特許は、主にこの難題をクリアするために開発された技術だ。「切り離し」のために必要となるフュゼ装置を含め、227個の構成部品が追加されいる。スライドピースの操作でチャイム用ゼンマイが完全に巻き上げられる機構も搭載され、最長シーケンス(時、クオーター、分)である31音(12時58分に相当)を確実に鳴らすことができるという。

この時別なムーブメントは、プラチナ製のダストカバーを開けると姿を表し、その内側には「À mon père, 85 ans de passion horlogère(我が父と 85 年間の時計製作への情熱に捧げる)」の一文が、手彫金により刻まれている。

お問い合わせ:パテック フィリップ公式サイト

文・構成/市塚忠義