2023.11.27

映画監督コッポラ氏の何気ないひと言から始まった!? F.P.ジュルヌのFFC「動画で魅せる時計図鑑」

ムチャ振りにも時計師魂を発揮し、なんと9年かけて実現

F.P.ジュルヌ 「FFC」

瞬き厳禁! 一瞬で切り替わる

「五本の指のみを使って時間を表現できないか?」とムチャ振りともいえる疑問を投げ掛けたのは、世界的映画監督のフランシス・フォード・コッポラ。そしてそれに見事に応えたのが希代の時計師、F.P.ジュルヌである。真摯で負けず嫌いの天才時計師は、それから9年の歳月を掛けその方法を編み出し、ブランド初となるオートマタを駆使した時計を完成させたのである。
ポイントは16世紀に発明された義手を模したオートマタにある。指を折るかのように動いて時を知らせる表示方式なのだが、通常オートマタといえばゆっくり動作するもの。しかしジュルヌのそれは、瞬きをも許さぬ瞬間芸。ただしジャンピングアワーの構造などとは異なり、バネの復元力を生かした特殊機構を組み込んでいるという。加えて時計精度を疎かにしないジュルヌは、指の動きにトルクが割かれすぎぬよう、「義手」を軽量なチタン製にするなど随所に工夫を凝らしている。
ムーブメントと風防の間に超複雑な「義手」を挟み込みつつ、ドレスウォッチ然とした薄仕立てのまま成立させているところも本当に驚異的。しかもその「指」は一切滞ることなく見事にシュッと現われ、さらにサッと姿を消してみせる。まさに手品のごとき緻密なカラクリ時計といえる仕上りだ。

 

2021年に開催されたオンリーウォッチのために1点製作されたFFC BLUEを、今季新たにプラチナケースでリリース。ムーブメントの上に配したオートマタ(からくり機構)の指の本数にて「時」を表示。「分」はリング状の文字盤自体が回転し示す。PTケース。径42mm。自動巻きcal.1300-3(パワーリザーブ120時間)。82万CHF(参考価格1億5249万2120円)。※2023年11月20日現在のレートは1CHF=169.06円。日本円に換算し、消費税を加えると参考価格1億5249万2120円となる。

 

表情豊かに見える「義手」も実際は極薄仕立て。ベースとなる甲パーツの内部に指パーツが出入りする構造だが、目視ではほぼ隙間は確認できないほど。非常に繊細に作り込まれている。

 

巨匠映画監督からお題を授かり9年を掛け製作したFFC BLUE。今回、顧客の要望に応えて新規にFFCをリリース。より高効率な機械を搭載する。

 

指による時刻表示を解説

義手パーツから出入りする指の本数で時を示すという、今までにない表示方がユニーク。ポイントは親指の開き方。これにより5以上のカウントを可能にしている。まさに発想力の勝利だ。

表示されている時刻は1時

2時

3時

4時

親指が開くと5時

6時

7時

8時

9時

10時。6時との違いは親指が閉じている

11時

親指が開くと12時

表示されている時刻は1時
2時
3時
4時
親指が開くと5時
6時
7時
8時
9時
10時。6時との違いは親指が閉じている
11時
親指が開くと12時

 

<ブランド解説>

パリの時計学校を卒業し、1999年にスイスのジュネーブにて自身の名を冠し創業した独立時計ブランド。18KRGでの壮麗な機械製作や、ソヌリとミニッツリピーターを合わせた超複雑時計を作るなど、ブランド黎明期から独創的なセンスと技術力にて注目を集めている。

お問い合わせ:F.P.ジュルヌ公式サイト

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動画撮影/岸田克法 文/長谷川 剛(TRS)