2024.01.30

ロンジン「コンクエスト」の70周年を記念した特別モデル

ダイヤルの「真ん中」にパワーリザーブ!?

「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」。自動巻き。径38㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。ダイヤルはシャンパン(写真上)、アンスラサイト、ブラックの3種類。すべて59万5100円。

今でこそ、時計に「名前」がついているのは当たり前。しかし1950年代以前は、時計にモデル名を与えるという概念自体が、なかった。腕時計のモデル名は、ブランド側がコンセプトを明確にしたシリーズ(コレクション)を展開することで、定着したもの。

そういった意味で、ロンジンにとって最も重要なコレクションが「コンクエスト」である。190年以上の歴史を誇る老舗ロンジンが、初めて正式に登録したコレクションが1954年に誕生した「コンクエスト(征服)」なのである。

当時ではまだ少数派だった「自動巻き」を早くも取り入れ、高い防水性を実現していたケース径35㎜の3針モデルは、その高いスポーツ性能が認められ、瞬く間に世界的な人気を獲得した。今年2024年は、その記念すべきファーストコレクションの70周年。その節目の年を祝うべく、ロンジンならではの機能を搭載した特別なモデルが発表された。

新作「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」は、約72時間のパワーリザーブを搭載するのが特徴。実用的な「パワーリザーブ表示」という機能自体は、決して珍しいものではない。週末外しておいても月曜日に止まっていない、約72時間という数字も、現在は標準的なものだ。では、何が画期的かというと、その表示が文字盤の「センター」にあること。

パワーリザーブ表示は、文字盤のセンターではなく、空いているスペースに扇形で表示することが多い。文字盤のセンターには、時・分針があるため、パワーリザーブ表示を同軸で行わなければならず、難易度が高いのだ。技術的な問題に加え、針がセンターに集中することにおける視認性のケアもしなければならない。

そんな中でロンジンが生み出したのが、、2つの回転ディスクを駆使したパワーリザーブ表示だ。文字盤は、一番内側の巻き戻しディスク、その外周の巻き上げディスク、そして固定されたアウターダイアルの3パートで構成されている。

リューズを巻くと(もしくは腕の動きによって回転ローターが回転すると)、「0」から「64」までの数字が刻まれた回転ディスクが、時計周りに回転。真ん中にある針の太いバトンの先にある数字で、残量時間を指し示す。時計動かさずに放置すると、今度はその内側の回転ディスクが時計回りに回転。真ん中の短い針は、実はこの内側のディスクにプリントされており、回転することで残量が減っていくという仕組みだ。

またゼンマイをフルに巻き上げ、バトン型の先の数字が「64」に揃うと、今度は、一番内側の回転ディスクと、その外周の回転ディスクが、「64」を指し示したまま、同時に時計回りに回転を始める。つまりこの時計は、センターのパワーリザーブ表示が、あらゆるポジションで回転しており、実用性を兼ね備えながらも、何度でも文字盤を見たくなる時計ファンには堪らないメカニズムになっているのだ。

実にユニークなセンターパワーリザーブ表示だが、実は1959年に発表されたコンクエストが、すでに実現していたというから驚き。このモデルのルーツになっている、キャリバー292を搭載した当時のモデル「Ref.9028」を見ると、確かにセンターパワーリザーブ表示になっている。さらに12時位置の日付表示も、オリジナルモデルから継承だと分かる。

思い起こせば、かつてチャールズ・リンドバーグの偉業を支えたロンジンのアワーアングルウォッチにも、セコンドセッティングをするための回転ディスクが搭載されていた。いわばロンジンは、回転ディスクにおけるパイオニア。コンクエスト70周年を記念したこの特別モデルに、回転ディスクの技術力を結集させたのは、当然の流れなのかもしれない。

ロンジン「コンクエスト」フェア開催

新作「コンクエスト ヘリテージ セントラル パワーリザーブ」はもちろん、コンクエストの初代モデル(1955年製)や、パワーリザーブモデル(1959年製)など、貴重なアーカイブピースも展示される特別なフェアが、「銀座三越」と「阪急うめだ」で開催される(下の写真はイメージ)。

フェア詳細

銀座三越 新館 4階 ウォッチ

ロンジン フェア

期間:2024 年 1 月 31 日(水)~2 月 20 日(火)

※アーカイブモデル展示は 2 月 12 日(月・祝)まで

場所:銀座三越 新館 4 階 ウォッチ

問い合わせ先:03-3562-1111(大代表)

 

阪急うめだ本店 6 階 ウォッチプロモーション

ロンジン ヘリテージウォッチ フェア

期間:2024 年2月 15 日(木)~2 月 27 日(火)

場所:阪急うめだ本店 6 階 インターナショナルブティックス ウォッチギャラリー

問い合わせ先:06-6361-1381(代表)

 

お問い合わせ:ロンジン公式サイト

文・構成/市塚忠義