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2024.01.31
モリッツ・グロスマンのトゥールビヨンに世界限定8本の新作!
ハンドエングレービングと大型トゥールビヨンの競演
現在のドイツ高級時計を牽引する中心地、グラスヒュッテの歴史を語る上で欠かせない存在、それがモリッツ・グロスマンのルーツである時計師カール・モリッツ・グロスマンである。ザクセン(現ドイツ)の時計産業の立役者である彼は、A.ランゲ&ゾーネの創始者として知られるフェルディナント・アドルフ・ランゲとは、良き友人関係。11歳年上の彼の勧めもあり、1854年に自身の工房をグラスヒュッテに設立する。
1885年、モリッツ・グロスマンが60歳を目前に急死すると、その突然の死とともに、マニュファクチュール工房も解体することに。しかし、その高貴な時計作りの精神に感銘を受けた時計師クリスティーネ・フッターによって、2008年に伝説のドイツ時計が復活。ブランドの商標を取得し、グロスマン・ウーレン社を設立すると、100年以上の時を経て再びブランドが蘇るとこになった。
今回のニュースは、そのモリッツ・グロスマンから最新作「トゥールビヨン トレンブラージュ」が発表されたこと。文字盤の6時位置に陣取る巨大なトゥールビヨンが、このモデルの最大の特徴であることは間違いないが、それ以外にも見逃せない機構が搭載されている。まずこの時計、通常の3針モデルとは違い、時刻を読み取るのにちょっとしたコツが必要になる。
3時位置のインダイヤルが時針、9時位置のインダイヤルが秒針、センター運針の長い針が分針の、いわゆるレギュレータータイプ。しっかり太く力強い時針に対し、秒針や分針は、正確に時刻を読み取れるよう先端が極細に仕上げられており、慣れてしまえば、その視認性は極めて高い。また面白いのは、ダイヤルセンター付近にある「25〜35」の表示だ。これは分針がダイヤル外周の「25分から35分」を示す時、大きなトゥールビヨンキャリッジの開口部によって遮られてしまうため、分針の反対側(カウンターウェイト)によって、ミニッツスケールを表示するというもの。このユニークな分針の表示方法は、特許を取得している。
モリッツ・グロスマンのトゥールビヨンの魅力は、今さら説明するまでもないが、一般的なトゥールビヨンが1分間で1回転するのに対し、同社のトゥールビヨン(キャリバー103.0)は、3分かけてゆっくりと一回転する。キャリッジも、直径16㎜と巨大。抜群の存在感を放つと同時に、この大型のテンワはブラシによって動きを停止させることが可能で、正確な時刻調整が可能。このブラシを用いた秒針停止機能でも特許を取得している。
機能へのこだわりに加え、この時計を特別なものとしているのが、ダイヤルの仕上げだ。ジャーマンシルバー製のダイヤルには、モデル名にもなっている「トレンブラージュ仕上げ」が施されている。この芸術的な模様は、彫金師がビュランと呼ばれる工具で用いて手作業で入れていくもの。これだけの大きなダイヤル面に、凹凸を均一にするだけでも途方もない作業だが、さらに表面にはガルバニック加工を施し、アンスラサイトカラーにコーティング。光の反射を和らげ、非常に深みのある表情を実現している。
モリッツ・グロスマンの時計は、生産数が極めて少ないとこでも知られているが、このトゥールビヨンも18Kローズゴールドケースモデルが8本、18Kホワイトケースモデルが8本のみの限定生産。発売は2024年の秋以降を予定している。
お問い合わせ:モリッツ・グロスマン公式サイト
文・構成/市塚忠義