2024.03.29

新たな「AP ハウス」がミラノにオープン

19の大都市で展開するオーデマ ピゲのコンセプチュアルな空間

オーデマ ピゲは、世界19都市にオーナー同士が第2の家のように寛いでコミュニケーションできる「AP ハウス」を展開している。その発祥の地ミラノで、「APハウス ミラノ」が、移転・グランドオープン。さらにミラノでは、新作モデルも披露された。

壁面の設えは、「ロイヤル オーク」のグランドタペストリーそのもの。天井も格子状のタペストリーになっている。

オーデマ ピゲのアイコン「ロイヤル オーク」は、イタリア市場向けとしてまず誕生した。そして2017年、ゆかりの深いイタリアで最も洗練された都市ミラノに、最初の「APハウス」は誕生した。コンセプトは「ブランドの創業者であるジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲがもしも21世紀の現在を生きていたら、顧客とどう関わるだろうかと想像し、第二の我が家のような存在の家の居心地の良さと人々の絆を最も大切にした空間」。東京にも六本木ミッドタウンにあり、「APハウス」でしか買えない限定モデルが登場することもある。

ステンレススティールや黒檀を多用した空間構成は、重厚にしてモダン。リッソーニらしい、端正な空間構成である。

その第一号店である「APハウス ミラノ」が、3月に移転。3月4日には、世界中からメディア関係者が招待され、生まれ変わった姿が、披露された。移転先は、高級ショッピング街モンテナポレオーネからわずか数メートルに位置するバグッタ通りに、1939年にミラノ初の複数階式駐車場として建てられた旧ガレージ・トラヴェルシ。

ブラック×ホワイトの明確なコントラストで空間を構成したラウンジ。ガラスの花瓶は、まるでオブジェのようだ。

歴史的建造物の5つのフロアをぜいたくに使った空間は、1600平米以上と「APハウス」最大を誇っている。各フロアはヒゲゼンマイを模したステンレススティール製の螺旋階段がつなぎ、内装には八角形やタペストリーなど、「ロイヤル オーク」にちなんだディテールが散見できる。その空間デザインを手掛けたのは、イタリア建築界の巨匠にして家具やグラフィックの作品も持つピエロ・リッソーニが率いる「リッソーニ&パートナーズ」。

バーカウンターも併設。左側に写るエスプレッソマシンは、オーデマ ピゲのロゴが入った特注品だ。

リッソーニは、ジュウ渓谷の自然からインスパイアされた木や石、そして時計に使われるガラスやステンレススティールなど、実に多彩な素材を操り、広大な空間を個性豊かに区分けてみせた。

テラスからの風景。正面奥にはドォーモの尖塔が、左側にサンカルロ・アル・コルソ教会の緑のドームが見える。

大きなダイニングテーブルが置かれ、レコードコレクションとピアノが音楽を奏で、アートギャラリーまで併設。フォーシーズンズ ホテルと提携したドリンクや軽食も提供される。さらに上階部のテラスからは、ミラノを象徴するドォーモの尖塔が眼前の高さに望め、ロケーションも最高である。

ヒストリカルピースも展示。これは1889年に作られた、クロノグラフとミニッツリピーターを搭載するダブルコンプリカシオン。

2024年の新作モデル、続々と発表!

「APハウス ミラノ」のお披露目に先立ち、メディア関係者たちは、市内中心部にあるコンベンション施設に集められた。2021年から始まった独自の新作発表会「APソーシャルクラブ」が、ここで開催されたのだ。披露された新作は、20モデル。その中で、発表と同時に会場が沸いたのは、「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー“ジョン・メイヤー”」であった。

その名の通り、ギタリスト/シンガーのジョン・メイヤーとのコラボモデル。プレゼンテーションでメイヤー自身が登壇すると、会場からは大きな拍車が巻き起こった。最大の特徴は、時計コレクターとしても名高いメイヤーのアイデアから生まれた、ランダムな形状の無数の突起が光を乱反射する「クリスタルスカイ」と名付けた新ダイヤル。これは当初、自分だけのユニークピースとしてデザインを提案したという。それを見た前CEOのフランソワ-アンリ・ベナミアスが、「ぜひ限定モデルとしてロイヤル オークのファンと共有したい」と願い出て、コラボモデルとなることが決まった。

ニューヨークの時計店、マテリアル・グッドのヨニ・ベン-イェフダ(右)との対談形式で、ジョン・メイヤー自身がコラボモデルのプレゼンテーションを行った。

スカイブルーダイヤルの無数の突起は、精密に成型された金型をスタピングすることで生まれる。そしてブルーPVDを施すことで光輝く質感をかなえている。見る角度によって輝き方は次々と変化し、見飽きない。メイヤーが望んだ「いつまでも見ていられるダイヤル」が、まさに完成した。

「ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー“ジョン・メイヤー”」
微細な突起が無数に居並ぶダイヤルの金型は、厚いメッキで精密成型する電鋳によって作られている。日付表示と週表示のインデックスも、メイヤーのアイデアで一部変更された。ムーンフェイズの月は、レザー加工でリアルに表現。搭載するCal.5134は、このモデルをもって生産終了となる。そのベースは薄型自動巻きの傑作Cal.2120。消え去るのは、なんとも残念。世界限定200本。自動巻き。径41mm。18KWGケース&ブレスレット。2気圧防水。価格要問い合わせ。4月発売予定。

“ジョン・メイヤー”モデルに継いで注目されたのは、「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク」の新作だった。このモデルのケースとブレスレットを形作るのは、オーデマ ピゲ独自の合金(金・銅・パラジウムで構成)であるサンドゴールドである。これはピンクゴールドに含まれる銀をパラジウムに置き換えることで、より白さを強めた合金で、温和な印象のサンドベージュカラーを浮かべる。しかもその色味は、光の当たり具合によってシルバーカラーにも見えるのだ。既存の18Kよりもサンドゴールドははるかに表情豊かで、これまた見飽きない。

「ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン オープンワーク」
ロイヤル オーク誕生50周年の2022年に登場したオープンワークのフライング トゥールビヨン ムーブメントを、独自のサンドゴールド製ケースに搭載。左右対称で奥行き感たっぷりのフレーム状の地板も、ケースと同色に整えられている。開発者によれば「既存の18Kと硬さなどはほぼ同じ」とのこと。強い光が当たると、サンドベージュが白飛びして、シルバカラーとなるのが実にユニークである。自動巻き。径41mm。18Kサンドゴールドケース&ブレスレット。5気圧防水。価格要問い合わせ。6月発売予定。

今年からメゾンを率いることとなったイラリア・レスタ新CEOは、プレゼンテーションの冒頭で、「今年の新作は、シェイプとマテリアルがテーマ」だと語った、マテリアルの新味の1つがサンドゴールド、そしてシェイプの新たな表現は、新作第2弾で登場予定。その出来栄えに期待しながら、心待ちにしたい。

お問い合わせ:オーデマ ピゲ公式サイト

取材・文/髙木教雄

構成/市塚忠義