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2024.04.11
あまり知られていないけど…「裏ジマン時計」vol.3 ストラップ、その他イロイロ編
ブランド的にはあんまりアピールしていないけど、時計好きにはたまらない通ネタを大発掘!
苦労して手に入れた時計であれば、コトあるごとに誰かに自慢したいもの。ただし昨今は時計メディアも増えて、ほとんどの自慢ポイントが知れ渡っている。とはいえ本格時計の世界は奥が深いもの。「え? こんな自慢ポイント、マジ?」というツウ受けするディテールやエピソードを持つ逸品がまだまだ隠れているのだ。近い将来脚光浴びるに違いない、そんな裏ジマンしたくなる時計を厳選してご紹介。
●ストラップ裏ジマン編
時計は機械が主役であるものの、その本体を支えるストラップもじつに大事なパーツ。しかも昨今は時計もファッションの要素が求められるゆえ、そのストラップがお洒落であればジマンも一層はかどるのだ。
7.ノモス グラスヒュッテの裏ジマン ワード
「この時計のストラップ、靴ブランドの”オールデン”と同じコードバン革なんだよ」
靴とストラップをコーディネートすれば2倍ジマンできる
確かに金無垢ブレスレットの時計はイバりが利く。買ってスグにドヤれるところはさすがゴールドの面目躍如と言えるだろう。しかしどうしたって派手なことは否めない。そんな高飛車なジマンよりも、もっと実直な人間味あるセンスの良さで勝負したい。ノモスのコードバン・ストラップなら、ソレがお洒落に叶うのだ。というのも、コードバンは育てることでエイジングし、美的な艶を放つ革素材。つまり育てまくって仕上がったコードバン・ストラップの時計を着けているということは、モノを選ぶ審美眼があるということだし、しっかり大事に根気よく面倒を見る人間だと言外にアピールできるというワケ。さらに靴と合わせてコードバン・コーディネートを実践すれば、お洒落ツウからも一目置かれること絶対確実!
お問い合わせ:ノモス グラスヒュッテ公式サイト
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8.セイコーの裏ジマン ワード
「この時計のストラップ、日本の伝統技法が活かされているって知ってた?」
【セイコー プロスペックス SBDC143】1965年以来、日本のダイバーズウォッチ・シーンを牽引してきたセイコー。なかでも1970年モデルは当時先進の150m防水を完成させ、冒険家である植村直己氏が使用したことも伝説のひとつ。本作はそんな意義あるアーカイブの現代アレンジ版。最新技術を込めており防水性もアップし、パワーリザーブは約70時間とハイスペック。和の技術を採り入れた布製ストラップも特徴だ。42.7×46.6mm。SSケース。自動巻き。200m潜水用防水。16万5000円。
セイコーダイバーズ史上初となるナイロン製ストラップ。「製紐(せいちゅう)」と呼ばれる日本の伝統技法にて袋状に編まれており、エッジが滑らかで柔らかな肌触り。でありながら、耐光性と引っ張り強度を兼備。
ブレスレットやレザーベルトとは一線を画す、ファブリックならではの寛ぎ感が非常に今風。ジーンズやチノパンといったデイリーなカジュアルスタイルとも抜群にマッチする。
タッチが素晴らしい上に耐久性も備える
流行りに乗って、時計ベルトをNATOバンドに換えてみたけど、なんかコスれて痛〜い! なんて人がチラホラ。そう、とくにダイバーズは本体に重量があるので、薄手で軽量なNATOバンドではピタッと支えきれず、グラグラ動いて肌が擦れてしまいがち。しかもチープなNATOバンドは布端のエッジが立っている場合も多く、肌思いとは言えないのだ。そこへいくとSBDC143に付属するナイロンベルトは、非常に滑らかかつ機能的。キモノの帯紐などに用いる「製紐(せいちゅう)」技法にて袋状に編み上げており、エッジが丸くソフトなタッチ。それでいて引っ張り強度が高く、紫外線にも耐えるタフさ。また、糸を斜めに編み上げるため、独特の光沢と陰影美を持つのもポイントだ。まさに使って良し見せて良しのジマンできる逸品なのである。
お問い合わせ:セイコー公式サイト
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密かに人気急上昇中のストラップ裏ジマン!?!?
「高級メゾンブランドが鞄にこぞって使用する、あのリモンタナイロン製のストラップなんだよ!」
彼女からの評価もあがるかも!?なNATOバンド
リーズナブルに一発でドレスアップが叶うストラップを発見。なんとフランスやイタリアの高級ブランドがこぞって使うリモンタ社の逸品ナイロンによるNATO風ストラップが、密かに話題となっているのだ。昨今は時計をファッションの一部ととらえるお洒落さんも増加し、装いと時計とのマッチングが重視されているのだ。近年は大人の装いもカジュアル化が深化しており、高級時計をNATOバンドに換装するテクも一般化。一歩先を行く意味で、高級ナイロンバンドの存在は渡りに船なのである。
お問い合わせ:コンティニュエ公式サイト〈CES〉
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●その他イロイロ裏ジマン編
本当に素晴らしい時計を作ろうと追求するなら、こだわりは隅々にまで及ぶもの。ちょっと見ただけではワカラナイ、言われて初めて感動するジマンポイントを鋭くピックアップ。
9.ブライトリングの裏ジマンワード
「じつはクォーツ時計のエアロスペースのクロノメーター取得って大変なんだよ! だって秒針がないんだもん(笑)」
〈クロノメーターを取得した当時のエアロスペース〉1985年に登場した液晶デジタル式のクロノグラフ機能を持つエアロスペース。なんとCOSC認定にマストとされてきた秒針を持たず、デジタル式にて正確な時刻表示を実現。
COSCとはスイスのラ・ショー・ド・フォンに本部を置くクロノメーター検定協会の略称。クォーツ認定テストは、まず3つの異なる温度下での11日間の経過観察を実施。7日目と9日目を除いて、ムーブメントは水平ポジションを取る。また別途、6姿勢にて一連の機械的衝撃を与え、さらに3D回転を加えてテスト。クロノグラフのような追加的機能は、2日目に作動させる。日差に関しては、±0.07秒以下の精度が求められる。
現行モデル【ブライトリング エアロスペース B70 オービター】ブライトリングが熱気球「オービター3」にて世界初の無着陸世界一周飛行を成功させたのが1999年。その25周年を祝って今季打ち出されたのが本モデル。軽量かつ堅牢なチタンケース内部には、ブライトリングが誇るスーパークォーツ、COSC認定のキャリバーB70をセット。なんと標準クォーツ機の10倍もの精度を備えている。1/100秒単位で計れるフライバッククロノグラフ機能付き。64万3500円。
秒針に代わる計測表示があればテストは受けられる
「クォーツは精度がいいのが当たり前で、クロノメーター認定なんて必要ないでしょ……!?」てな時計好きも多いだろう。だいたい秒針やテンプのないクォーツの時計って、精度テスト自体受けられないのでは??? それを実際にトライしたモデルのひとつがブライトリングのエアロスペースだ。じつはクォーツ・クロノメーターに関するCOSCの認定基準は非常に厳格。大袈裟に言うとブライトリング製のスーパークォーツしかパスできないほどの難関と言われている。デジタル秒表示や、温度修正機能システムを備えた高度なスーパークォーツは、一般的なソレよりも3倍の部品点数で、精度に関しては10倍の正確さを備えている。
〈エアロスペース クロノメーター認定のQ&A〉
Q1.なぜクォーツなのにクロノメーターを取得しようとしたのですか?
A1.あらゆるタイプのクロノメーターウォッチをリリースするのは、ブライトリングの世界戦略にマストなもの。伝統的な機械式に限らず、最先端のエレクトロニクスムーブメントにおいても、ブライトリングが最高峰の作り手であることをアピールするため必要なのです。
Q2.機械式よりもクォーツ式ムーブメントのCOSC認定取得は大変なものなのでしょうか?
A2.クォーツ式におけるCOSCの認定基準は非常にハイレベル。そのため機械式ムーブメントと比べ、はるかに大きな投資とノウハウの蓄積が必要となります。とくに温度変化による誤差の修正は重要なポイント。ブライトリングのスーパークォーツ・ムーブメントは、標準的クォーツと比較すると3倍の部品を備えています。
Q3.秒針のないエアロスペースが、どうしてクロノメーターの認定を受けることができたのですか?
A3.秒針表示よりもさらに精度の高い、デジタル秒表示を搭載したから。COSCの認定協会ではこの種のデュアルタイム表示用ムーブメントのため、特別なデジタル・スキャナーを開発してテストを行っているのです。
お問い合わせ:ブラントリング公式サイト
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10.A.ランゲ&ゾーネの裏ジマンワード
「ムーブメントは二度組みがアタリマエなんだよ!」
【A.ランゲ&ゾーネ ランゲ1】1994年のデビュー以来、メゾンのアイコンとして不動の地位を得ているランゲ1。アシンメトリーながら美しい「黄金比」を駆使した盤面は唯一無二のもの。外観はオリジナルを踏襲しつつ、本作では熟成の新ムーブメントL121.1を搭載。自社製のフリースプラング式に加え、深夜零時を境に日付が進む瞬転式アウトサイズデイトがポイント。径38.5mm。18KPGケース。手動巻き。パワーリザーブ72時間。610万5000円。
初回のムーブメント組み立ては主に動作確認のため。そして一度解体し個々のパーツを清掃し、作業用ビスを新品に交換。面取りなどの仕上げを施し、再度組み上げて製品として完成する。
その完璧なムーブメントはシースルーバックから確認可能。グラスヒュッテの伝統であるストライプ仕上げを加えた3/4プレート、彫金を施したテンプ受けなど見どころ満載である。
通常の倍の手間ひまをかけてカスタマーに届けられる
二重チェック……そう、信用をセールスポイントとしている企業は必ずやっていること。人間はふとしたはずみでミスを見逃してしまうことがあるので、それを回避するには二重のチェックは不可欠だ。とくに高級時計となると組み上げの正確性は当然のこと。ムーブメントの美観までパーフェクトが求められるドイツの巨匠、A.ランゲ&ゾーネでは不安回避というレベルを超えて、完全完璧を求めてムーブメントの二度組みが徹底されているとか。一回目となる動作確認時において、あれこれ機械に複数回触れるわけで、そこで微細な汚れが付く恐れもあるし、ネジ頭にはドライバーが入ることになる。そういった痕跡を残さぬため、一旦解体し、クリーニングを施すだけでなくパーツの面や角を仕上げて、さらに新品のネジ交換等を経てから最終組み立てとなるのである。一度組み勢にジマンしたくなるのも当然!?
お問い合わせ:A.ランゲ&ゾーネ公式サイト
文/長谷川 剛(TRS)