2024.09.17

ワクワクするような遊び心こそH. モーザーの真骨頂

いま、時計作りに足りないのは“パッション”なのだよ!

左/H. モーザー「エンデバー・パーペチュアルカレンダー パッションフルーツ」。手巻き。径42㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。右/スタジオ・アンダードッグ「03 シリーズ パッションフルーツ」。手巻き。径38.5㎜。SSケース。カーフスキンストラップ。2本セットで限定100セット。予価1056万円。

H. モーザーといえばブランドの代名詞ともなっている美しいグラデーションの「フュメダイアル」を手がける一方で、誰もが思いつかないような腕時計を製作することでも有名。チーズでできた腕時計を作ったり、植物(本物!)が育っている腕時計を製作したり(もちろんコンセプトウォッチではあるが…)。

このところは洗練された腕時計が多く、奇抜なアイデアにはちょっと距離を置いている感じがあったが、ここに紹介する最新作を見る限り、H. モーザーのぶっ飛んだ遊び心は、まだまだ健在のようだ。

それがスタジオ・アンダードッグ(Studio Underd0g)とのコラボレーションで実現した、なんとも情熱的な限定モデル。スタジオ・アンダードッグとは、2021年に誕生した新鋭時計ブランド。アンダードッグ(負け犬)というネーミングからも分かるように、伝統的な時計作りに対してユニークさと遊び心で立ち向かう、今話題の英国ブランドである。

H. モーザーとスタジオ・アンダードッグに共通するのは、ある種の反骨精神。歴史ばかりを重んじ、今まで通り淡々と時計を作っているだけでいいのか。今回のコラボモデルでは、「パッションフルーツ」を共通のテーマとし、両者から1本ずつ腕時計が発表された。

H. モーザーからは「エンデバー・パーペチュアルカレンダー パッションフルーツ」。そしてスタジオ・アンダードッグからは「03 シリーズ パッションフルーツ」。興味深いのは、どちらのモデルも、時計にロゴがいっさい入らないこと。2本セットとなる限定モデルは、共通するアシッドカラーのデザインによって本質的にリンクしているのだ。

「エンデバー・パーペチュアルカレンダー パッションフルーツ」のダイアル中央は、18Kイエローゴールドをベースに槌目(つちめ)仕上げを施したマラクージャ フュメ「グラン・フー」エナメル。その周りをパープルラッカー仕上げのダイアルとスモールセコンドのインダイアルが組み合わされている。

「03 シリーズ パッションフルーツ」のダイアル上部は、グラデーションアンバー。下に重なるダイアルは、放射状のブラシ仕上げが施されたパープルダイアルだ。こういったカラーリングのダイアルは、これまでの腕時計では決して見ることができなかった組み合わせ。

時計作りに対する“情熱”をダイレクトに表現したコラボレーションモデル。今回のプロジェクトに関して、両者の代表は次のように語っている。

「私たちのコラボレーションは、機能的であるだけでなく真に芸術的な時計を創り出したいという共通の情熱によって突き動かされています。スタジオ・アンダードッグとともに、私たちは時計作りの美しさと喜びを称える旅に乗り出し、コレクターの方々にとって楽しく忘れられない体験を創造します(H. モーザー CEOのエドゥアルド・メイラン氏)。」

「今回の画期的なコラボレーションで、H. モーザーと協力できることを大変嬉しく思っています。共通の価値観を追求することによって、本当に素晴らしいものを創り出すことができました(スタジオ・アンダードッグ創設者兼 CEO のリチャード・ベンク氏)。」

 

お問い合わせ:H. モーザー公式サイト

文・構成/市塚忠義