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2024.09.28
時計業界の川上から川下まで網羅!【香港ウォッチフェア2024最新レポート】
世界最大級の香港ウォッチ&クロックフェアへ!
2024年9月3日から9月7日まで、香港で2つの時計見本市が同時開催された。リテーラー向けの高級時計見本市の側面が強い「サロン・ド・タイム」と、時計事業に従事する全員がターゲットの「香港ウオッチ&クロックフェア」。もともとはBtoBの小規模な展示会だったが、年々規模を拡大。主催者の香港貿易発展局によると、2024年度は106の国と地域からバイヤー約17,000人を動員。15の国と地域から約700社が集まり、出展者数だけを言えばウォッチズ&ワンダーズを抜いて世界最大の時計見本市となった。内容は見本市としての性格がいっそう強いが、一部エリアは一般入場も可能。業界者に加えて時計好きも参加できる、国際色豊かな来場者で賑わった4日間をレポートする。
時計貿易の街から、時計職人の街へ
フェアが開催された香港コンベンション&エキシビションセンター内の広大な敷地の中、出店数の多さでいえば中国、そして香港のメーカーが大多数を占める。「サロン・ド・タイム」のフロアは、会場内が5つのテーマゾーンが設けられ、各ゾーンにはテーマに沿ったブランド、企画展のブースが置かれた。
1、職人技にスポットを当てた「クラフト トレジャーゾーン」
2、世界中のファッションウォッチが集まる「シック&トレンディゾーン」
3、中国の独立時計師が集う「国潮ゾーン」
4、欧州時計が集る「ルネッサンス モーメントゾーン」
5、独自路線を突っ走る「ウェアラブル テックゾーン」
テーマ毎の出展内容は、2023年開催のイベントと大きくは変わらないので、今回は特に注目を集めたブランドを紹介しよう。
機械式時計や宝飾時計といった、職人技にスポットを当てたブースを集めたのがクラフトトレジャーゾーン。香港を代表するブランド、メモリジンや中国のピーコックウォッチなど、中華圏の高級時計ブランドが並ぶ。メモリジンは、いち早くワイヤ放電加工機等を用いることで、安価なトゥールビヨンを量産したパイオニアだ。今秋販売の最新モデルは、文字盤にサファイヤを詰め込んだ「サファイヤスカイ」38万8000香港ドル。
気鋭の新興ブランド、現地で親しまれる中国ブランドなど多彩な時計であふれてるが、カラフルでモダンな香港ブランド「ANPASSA(アンパサ)の存在感は、ひときわ目立つ存在。“時計でストーリーを”をコンセプトにしたブランドで、今期発売予定のこちらは、AR技術を使った最新モデル。文字盤にスマートフォンのカメラをかざすと、1970年代の九龍城を描いた動画が映し出される。この技術を応用したOEMも視野に入れ、例えば家族のヒストリー動画を文字盤に投影し、“時”を描くことができる。2980香港ドルで販売予定。
今年、ザ・香港!な時計ブランドが誕生した。TIMEXPOSE(タイメクスポーズ)。まだ公式ホームページすら完成していないような、まさに駆け出し中のメーカーだが、機械式からスマートウォッチを中心としたハイコンプリケーションに、香港を象徴する映画俳優、ブルース・リーをはめこんだ 時計はインパクト十分だ。生産は中国のOEMメーカーが手掛け、ブランドデザイナーがブルース・リーの親戚の知人だったことからライセンス契約をし、ブランドをスタートした。香港人や中国人はもとより、近隣アジアや中東から訪れたバイヤーたちが熱心に見入っていくのが印象的だ。自動巻き、スマートウォッチいずれも200~300米ドルで販売予定。
中国の独立時計師の時計が展示されている「国潮ゾーン」。中国伝統文化と現代のトレンドの融合をテーマに製作された時計が複数並んでいた。ムーブメントの仕上げなど、まだまだブラッシュアップできるところも残っているが、華美な見た目を持ちつつ、ミドルレンジのプライスの競争力は非常に高いだろう。
スイス、イタリア、フランスなど欧州ブランドも出展数増
フランスのLIP。アイコニックな「マッハ2000」の復刻モデルをはじめ、ダイバーズウォッチや角形クォーツを展示。日本の代理店、ビヨンクールのバイヤーも新作のバイイング中だった。
10年ぶりに出展したフランスのYEMA(イエマ)。近年、アジアのマーケット進出が顕著で、特に日本、シンガポールでの売上が伸びているという。
気になる日本は?トゥールビヨンブランドの新作
“ゼロから時計を再定義する”をテーマに、ZEROO(ゼロ)は、2017年に設立した日本ブランド。手の届く価格帯ながらクオリティの追求やコンプリケーションを搭載し、とりわけ人気に火をつけたこちらの「T-04」(33万円)。日本国内及び海外の工房で、パーツの製造から組み立てまでを行っている。
ゼロは、2020年10月にクラウドファンディング「MAKUAKE」に出品し、1週間で100本が完売。以降、クラウドファンディングで総額2億円を超える支援金を集め、話題となった。このフラッグシップシリーズは世界三大複雑機構のひとつ、トゥールビヨンを搭載。プレステージを保ちつつ時計界の常識を“再定義”する。
世界進出の鍵は、キャラクターコラボ?
今回のフェアで目立ったのが、時計ブランドとキャラクターのコラボウォッチだ。例えばスイス発のブランド「SOLVIL ET TITUS」(タイタス)は、その商標を中国系企業が獲得後、アジア市場拡充を狙った戦略のひとつに、キャラクター(IP)の積極的活用を図っている。今年は日本が誇る『鬼滅の刃』やディズニーキャラクターとコラボ。それぞれのキャラクターの特徴的なカラーリングやモチーフを随所にあしらい表現。大人の普段使いに耐えられるクオリティとデザインに仕上がっている。クオーツで300米ドル前後。
キャラクター(IP)と自社商品のコラボレーションは、ブランドに新たな価値を付加し、新たなターゲットに興味を持ってもらうきっかけを作る有効な手段となっているようだ。
BtoB向けならクロックフェア
高級時計や個性的な各国の時計を集めたサロン・ド・タイムとは対照的に、時計店やメーカーに向けて販売されるメンテナンス機器、他にもウィッチの歩度測定器や防水検査機など、時計従事者向けの機材が多く展示されていた「香港ウオッチ&クロックフェア」。
出展する企業のジャンルもバリエーション豊かだ。新興時計メーカーはもちろん、ピーコックやエプソン、ミヨタといったエボーシュメーカー、各パーツのサプライヤー、CNCマシンに代表される時計製造用の設備から時計用工具、さらにはウォッチケースやワインダーに至るまで、全ての時計産業従事者が対象となるような充実具合だ。
出展ブランドは700社からさらに増える
香港の時計産業は、カスタマイズとユニークさにフォーカスしつつある。そのため、フェアの出展社やバイヤーもカスタムメイドに取り組もうとしている傾向が強い。メモリジンCEO、ウィリアム・サム氏によると、「元来、香港の時計見本市はOEMやパーツを販売するためのイベントでした。今は過渡期にありますが、包括的なイベントという個性は守りたいですね。それが香港のカルチャーですから」。
メモリジンのような香港を代表するブランドから、個人事業のパーツメーカーまで、出展社にとって間口の広さが、本フェアの最大の魅力だ。川上から川下まで、時計に関連する製品の全てを網羅。ブースの出展料もかなり安いため、海外進出を図りたい中小メーカーにもぜひ出展をお勧めしたい。
こんな方にお勧め!
☑ 世界的ブランドの最新コレクションを見たい
☑ 日本にはない面白いブランド・製品を発掘したい
☑ アジア・世界のトレンドを把握したい
☑ オリジナル企画の製造を請け負うメーカーを探したい
☑ 完成品だけでなくパーツやムーブメントなども見たい
問い合わせ/香港貿易発展局
東京事務所 ☎03-5210-5850
✉tokyo.office@hktdc.org
大阪事務所☎06-4705-7030
✉osaka.office@hktdc.org