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2024.09.30
オーデマ ピゲが新カーボン時代に突入!
カーボンのパイオニアによる次なる1歩
軽く、耐久性と剛性にも優れる「カーボン」は、時計業界では定着した素材と言えるだろう。スポーツウォッチなどの特別な位置付けとして、時計ブランド各社から様々なモデルがリリースされている。
F1などで使われていたハイテク素材を、「フォージドカーボン(鍛造されたカーボン)」として時計業界に初めて導入したのが、名門オーデマ ピゲである。2007年の限定モデル「ロイヤル オーク オフショア アリンギチーム ク ロノグラフ(26062FS)」が、搭載モデルの第1号(ベゼル表面にカーボンを使用したモデルとしては2004年の「ロイヤル オーク オフショア ファン・パブロ・モン トーヤ(26030RO」が初)。
そんなカーボンのパイオニアから、新たなるカーボン素材の腕時計が発表された。オーデ ピゲのR&Dラボが、クロマフォージドテクノロジー(CFT/Chroma Forged Technology)を駆使して開発した最新作「ロイヤル オーク コンセプト スプリットセコンド クロノグラフ GMT ラージデイト」である。
Chroma(彩度)という言葉からも分かるように、この新しいカーボンは色付けの工程がこれまでのカーボンとは異なる。これまでのフォージドカーボンは、カーボンファイバーとカーボンファイバーの間に加えられるレジンに着色をしていたが、CFTカーボンではカーボンファイバーそのものに着色が施されている。レジンの比率を抑えたことで耐傷性も向上。カラーの選択権が豊富になるなど、デザインの幅も大きく広がるという。
実際、新しいカーボンモデルの最大の特徴はミドルケースに採用されているブルーファイバーだ(ベゼル、リューズ、ケースバック、プッシュボタンはブラックセラミック製、プッシュボタンガードはチタン製)。このブルーファイバーには蓄光加工も施されており、暗闇でなんとも神秘的なブルーの光を放つのだ。青いマグマのようなケースと、同じく青く光るアワーインデックスや時分針によって暗闇の中でも抜群の個性を発揮する。
こうしたフォージドカーボンを実現するには、膨大な手間と時間が必要となる。カーボンファイバーはまず、小さなピースにカットされ顔料で着色。それを手作業で鋳型に並べ、レジンを加えてミルフィーユ状になるように何度もこの作業を繰り返し、圧縮して気泡の入らない無孔質のブロックに。さらにこのブロックを加圧器に約10時間かけることで滅菌。この後、6〜8時間かけて切削し、最終的な部品が完成する。
ケースだけでも存分に楽しめるモデルだが、搭載されているムーブメント「キャリバー4407」にも注目してほしい。これは2019年「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」に搭載された自社製の一体型クロノグラフ・キャリバー4401がベースになっている。
2023年に発表されたこのキャリバーは、フライバック・クロノグラフに加え、スプリットセコンド・クロノグラフ、GMT、ラージデイトを備えている極めて実用性の高いコンプリケーション。オーデマ ピゲの開発チームが5年を費やして自社開発した新素材カーボンに、まさに相応しいムーブメントと言えるだろう。
商品の問い合わせ/オーデマ ピゲ公式サイト
文・構成/市塚忠義