2024.10.28

【回転計算尺の正しい使い方】基本機能おさらい解説vol.7「動画で魅せる時計図鑑」

ベゼルの計算尺で掛け算、割り算ができる!!

【回転計算尺】

ブライトリング ナビタイマー B01 クロノグラフ46

腕時計に搭載されたコンパクトで便利なフライト・コンピュータ

時計好き、とりわけクロノグラフのファンならば、誰もが一度は憧れるブライトリングの歴史的名作「ナビタイマー」。本作の最大の魅力は、ずばり、誕生から70年以上不変の、航空用回転計算尺を擁した精悍でダイナミックなデザインである。その雄々しい姿は永遠のアイコンと言っても過言ではない。しかし、デザイン的な魅力がフィーチャーされる一方で、回転計算尺本来の使い方を知らないユーザーも多いのでは? そこで今回は、回転計算尺の基本機能と使用法について、初心者にもわかりやすく解説する。

回転計算尺とは、もとは円盤状のアナログ式計算用具で、固定尺・滑尺・カーソルの3パーツからなり、デジタル機器が発達する以前は、フライトプランに必要な計算が行える貴重な道具として、パイロットが太腿などに固定して使用していた。ナビタイマーが画期的だったのは、その大型の道具を小さな腕時計に組み込んだことにある。腕時計で計算に使用するのは、両方向回転式ベゼルに付随する10〜100までの目盛りが入った外周と、その内側に設けられた6〜60の目盛りや指標が記載された固定式スケール。外周と内周の目盛りの数字を組み合わせることで、掛け算や割り算、速度・距離計測といったさまざまな計算が可能になるのだ。

航空用の計算以外にも、例えば、円⇄ドルの換算やキロ・マイル・ノットの単位換算など、日常で役立つ計算も行える回転計算尺。コツさえつかめば意外と簡単に使いこなせるので、下の図解と動画をあわせて参考にし、ぜひチャレンジしてみてほしい。そこにはいにしえのパイロットたちが大空に託した歴史とロマンがつまっている。

【ブライトリング ナビタイマー B01 クロノグラフ 46】1952年に誕生したパイロット・クロノグラフの金字塔モデル。世界初の回転計算尺付きクロノグラフで、AOPA(国際オーナーパイロット協会)の公式時計として登場した。現行モデルは70周年記念の2022年にモデルチェンジが行われ、自社開発のキャリバー01を搭載するほか、反転色の横並び3カウンター文字盤や登場時と同じレトロなAOPA仕様のロゴが採用された。自動巻き。径46mm。SSケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。121万5500円。

ここでは回転計算尺でもっとも基本的な掛け算と割り算の図解を行う。あらかじめ覚えておいてほしいのは、内側の目盛りに赤字で記された「▲10」が重要な鍵となること。そして割り算の場合、割られる数字(分子=外側の目盛り)と、割る数字(分母=内側の目盛り)を重ね合わせ、「▲10」が指し示す数字が答えとなる。一方、掛け算の場合、掛けられるほうの数字(外側の目盛り)を「▲10」に重ね合わせ、掛けるほうの数字(内側の目盛り)が指し示す数字が答えに。いずれも頭の中で桁数の調整が必要となる。

さらに、動画では円⇄ドル換算についても解説しているのでご確認あれ!

割り算のやり方

75÷15の場合

外側の目盛りを分子、内側の目盛りを分母と考え、まずは1〜100の外側の目盛りの中から、分子となる「75」の数字を探し出す。

次に、分母となる「15」の数字を、1〜60の内側の目盛りの中から探す。数字が確認できたら回転式ベゼルを手動で操作して、内側の「15」に外側の「75」を合わせる。

続いて、内側の目盛りに赤字で記された「▲10」を探す。これに重なる外側の目盛り「50(5)」が答えとなる。この場合、「50」→「5」の桁数の調整が求められる。

外側の目盛りを分子、内側の目盛りを分母と考え、まずは1〜100の外側の目盛りの中から、分子となる「75」の数字を探し出す。
次に、分母となる「15」の数字を、1〜60の内側の目盛りの中から探す。数字が確認できたら回転式ベゼルを手動で操作して、内側の「15」に外側の「75」を合わせる。
続いて、内側の目盛りに赤字で記された「▲10」を探す。これに重なる外側の目盛り「50(5)」が答えとなる。この場合、「50」→「5」の桁数の調整が求められる。

 

 

掛け算のやり方

8×14の場合

まず、掛けられるほうの数字である「14」を外側の目盛りの中から探す。

次に、回転式ベゼルの操作を行い、外側の「14」の数字を、内側の目盛りに赤字で記された「▲10」に合わせる。

最後に「8」の数字を内側の目盛りの中から探し出し、これと重なる外側の「112」がこの掛け算の答え。この場合もやはり、11.2→112と、頭の中で桁数の調整が必要だ。

まず、掛けられるほうの数字である「14」を外側の目盛りの中から探す。
次に、回転式ベゼルの操作を行い、外側の「14」の数字を、内側の目盛りに赤字で記された「▲10」に合わせる。
最後に「8」の数字を内側の目盛りの中から探し出し、これと重なる外側の「112」がこの掛け算の答え。この場合もやはり、11.2→112と、頭の中で桁数の調整が必要だ。

 

〈ブランド解説〉

1884年、スイスのサンティミエにてレオン・ブライトリングにより創業。“プロフェッショナルの計器”のコンセプトのもと、「ナビタイマー」「クロノマット」をはじめ、数々の名作を生み出したクロノグラフの名門。2009年には自社製Cal.01の開発に成功し、機械式・クォーツを問わず全製品でCOSC認定クロノメーターを取得する。現在は、陸海空の領域から、ブランドのヘリテージにインスパイアされたモダンレトロな時計を幅広く展開している。

ブライトリング公式サイト

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写真・動画撮影/岸田克法
文/岡崎隆奈
動画編集/中村重樹(時計Begin)