レベルソ・トリビュート・クロノグラフに顔まで「金」のフルゴールド！

品薄状態が続く人気のクロノグラフに、新作登場

ジャガー・ルクルトの公式HPで、その全貌は明かさないまでも、ある新作発表のカウントダウンが始まっていた。見えていたのはダイアルのみ。しかし、その「四角い」形状から、それがレベルソであること、そしてインデックスの形状から「トリビュート」の新作であることは、ある程度推測できただろう。果たして、その全貌とはいかに。

その答えが「レベルソ・トリビュート・クロノグラフ」のゴールドケースモデルに加わったダイアルまでゴールドのフルゴールドモデルである。先に発売された「レベルソ・トリビュート・クロノグラフ」は、2023年に誕生。レベルソにとっては、実に27年ぶりのクロノグラフとあって、大きな注目を集めた。

「レベルソ・トリビュート・クロノグラフ」。Q3892561。手巻き。ケースサイズ49.4㎜×29.9㎜。18KPGケース。カーフレザー製ファリアーノ・コレクションストラップ&ブラックアリゲーターストラップ付属。1082万4000円（時価・参考価格）。

反転するケースの表面は、シンプルな２針。正面から見れば、それはクロノグラフとは分からない。しかしケースサイドをよく見ると、リューズの他にプッシュボタンが２つある。そう、この時計はケースを反転させると、裏側からクロノグラフが顔を表すのだ。30分積算計はレトログラード式、さらに通常の表面と同じ時刻を表示する時分針も備わっている。つまり、このレベルソはクロノグラフを搭載するうえに、裏面では反対方向に動く針で表面と同じ時刻を正確に表示している。

2023年に発表されたのは、SSケースにサンレイ仕上げのブルーダイアルを組み合わせたモデルと、18KPGケースにやはりサンレイ仕上げのブラックダイアルを組み合わせた２モデル。発表されるや問い合わせが殺到。販売店などでも、いち早く「ウェイティング」のリスト入りするなど、レベルソ・クロノグラフの人気の高さを見せつけた。

日本の高級時計マーケット、時計愛好家が非常に「成熟」していると感じるのは、こうしたレベルソ・クロノグラフのような時計に対して、しっかりとした反響があることだ。一見するとシンプルではあるが実は超難易度の高いメカニズムへの理解、そして前作から27年という時間が経過しているにもかかわらず、「待ってました！」と言わんばかりの素早い反応。日本の時計市場は、やはりレベルが高いのだと感じる。

そんなファンの声が届いたのだろうか、この人気の「レベルソ・トリビュート・クロノグラフ」に新作が加わることになった。それが写真のフルゴールドモデルである。18Kピンクゴールドのケースに18Kピンクグールド製のダイアルが組み合わされ、「フルピンクゴールド」のゴージャスなモデルが誕生した。

前作の２モデルが、ともにサンレイ仕上げであったのに対し、こちらのモデルでは、ダイヤルの幅に渡って繊細な水平線をレーザー彫刻。これは、レベルソのケースの直線的な幾何学模様を強調し、ダイヤルの上下に配された 3つの水平ゴドロンの美しさを際立たせる効果もあるという。

台形インデックス、ドーフィン針、レールウェイミニッツトラックといった、レベルソ・トリビュートのお約束ディテールは、もちろん健在。ただ新しいダイヤルでは、ミニッツトラックがブラックで強調され、ピンクゴールドとの印象的なコントラストを生み出している。

裏側のクロノグラフは、これまでと同様のオープンワークが楽しめる内容に。18Kピンクゴールド製ブリッジは、手作業で面取りされたエッジと垂直のコート・ド・ジュネーブ装飾が特徴。ポリッシュ仕上げの 18K ピンクゴールド製インデックスは、ミニッツトラックに取り付けられており、まるでムーブメントの上に浮かんでいるように見える。

搭載するムーブメントは、完全一体型の手巻きクロノグラフの伝統を受け継ぐキャリバー860。腕時計に搭載される角形時計のムーブメントの多くは、実は「角型」ではなかったりするのだが、このキャリバーは、ケースにしっかりと成形された角形ムーブメントである。またムーブメントの厚みを減らすために、一般的な垂直クラッチではなく水平クラッチを採用。キャリバー860は、300個以上のパーツが使われているにもかかわらず、ケースの厚さは11.14㎜に抑えられている。

レベルソ本来の「スポーツ性能」を際立たせるストラップにも注目。アルゼンチンの有名なポロ・ブーツメーカー、カーサ・ファリアーノ社製のタンカーフレザーストラップは、レベルソをそのルーツであるポロの世界と結びつけるだけでなく、スポーティで洗練された雰囲気をさらに格上げ。また追加のブラックアリゲーターストラップによって、よりクラシカルな雰囲気も味わうことが可能だ。

今回の新作の限定本数は、世界限定250本。ジャガー・ルクルトにとっても、レベルソにとっても、極めて「特別」なこのモデル。購入するには、早めの決断が必要になりそうだ。

お問い合わせ:ジャガー・ルクルト公式サイト

文・構成／市塚忠義