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2024.11.13
ハンハルトからコブラ針の3針ウォッチ
小ぶりな39㎜ケースに新素材スチールを採用
定期的にドイツ時計特集を行ってきた時計Beginにとって、ハンハルトはお馴染みの存在。説明するまでもないと思うが、念の為ブランドの解説をしておきたい。1882年にスイス北東部の町、ディースゼンホーフェンで懐中時計メーカーとして創業したハンハルトは、1902年にドイツ南部のシュヴェニンゲンに移転(現在はブラックフォレストのギューテンバッハで製造)。
本国ドイツやヨーロッパ各国では、腕時計はもちろん機械式ストップウォッチを作っているブランドとして有名で、スポーツ競技において世界中のアスリートを支えてきた実績でも高い評価を獲得している。腕時計の世界でハンハルトの名が轟いたのは、1938年に開発したシングルプッシュクロノグラフから。「プリムス」をはじめ、パイロットクロノグラフの「レプリカ」や「タキテレ」を完成させ、クロノグラフ・ブランドとしての地位を確立した。
ブランドロゴの中には、「CHRONOGRAPHEN 1882」と入っているものもあり、このことからも、クロノグラフに対する思いが特別であることがわかるだろう。ここまでの話から、これから紹介する最新作も、当然クロノグラフだと思う人がいるかもしれない。
ちょっと意外かもしれないが、今回の新作はシンプルな3針。特筆すべきは、そのケースに使われている「素材」なのである。腕時計のケース素材で最もスタンダードなのは、ステンレススティール(SS)。写真の新作「ハンハルト プリヴェンターHD12™️」のケースもステンレススティールであることは間違いないのだが、通常使用される「316L」に対しハンハルトが採用したSSは「HD12™️スティール」と呼ばれるもの。
この「HD12™️スティール」に透明なPVDコーティングを施すことで、最大1200H V(ビッカーズ硬度)を実現している。ビッカーズ硬度とは、金属の表面硬度を数値化したものだが、通常の「316L」のビッカーズ硬度が約220H Vであることから、「HD12™️スティール」が、いかに優れているかがわかるだろう。
金属ケースは、使っているうちにどうしても細かいスクラッチ傷がついてしまう。こうした小傷から完全に逃れることは難しいが、「HD12™️スティール」のケースなら、その極めて高い耐傷性によって、時計の美しい外観を長く維持することが可能。ハンハルトは、この時計の開発に2年以上を費やしたという。
元々、ハンハルトの時計は大きい方ではないが「プリヴェンターHD12™️」のケース直径は、39㎜。大きすぎず、小さすぎず、サイズ感も絶妙である。他にも、ミリタリーウォッチの意匠を受け継ぐハンハルトの代名詞「コブラ針」や、先端の赤い秒針は健在。クロノグラフのパイオニアブランドが、3針モデルにおいても傑作モデルを作り上げた。
お問い合わせ:ムラキ公式サイト
文・構成/市塚忠義