2024.11.21

【テレメーターの正しい使い方】基本機能おさらい解説vol.11「動画で魅せる時計図鑑」

光と音の速度差を利用して距離を計測

【テレメーター(クロノグラフ編)】

ハンハルト パイオニア タキテレ

見ためもレトロなミリタリールーツのクロノ装備

クロノグラフに備わるスケールでは、タキメーターに次いで多く見かける「テレメーター」。光と音の速度差を利用して距離を割り出す機能であり、もとは第1次世界大戦の頃、大砲の着弾地点からの距離を測るなど軍事目的で考案された。今回は1939年の自社モデルを復刻したハンハルト「パイオニア タキテレ」を使ってその使用法を解説する。

【ハンハルト パイオニア タキテレ】1930年代の自社製パイロットウォッチを再現したシリーズの1本。2カウンター仕様の文字盤外周にテレメーター、センターに螺旋状のタキメーターを、それぞれ赤色で強調して配置。コインエッジ装飾を刻んだ回転ベゼルやコブラ針、シリンダー型プッシュボタンなど、すべてが古典的テイストにあふれる。ETA7753ベースのCal.HAN3703搭載。自動巻き。径40mm。SSケース。カーフストラップ。10気圧防水。53万9000円。

“光”(約30万km/秒)と“音”(約340m/秒)の速度差をもとに距離を算出するテレメーターの対象物としては、現代なら「雷」や「花火」が考えられるだろう。例えば雷の場合、ピカッと光った瞬間に2時位置のスタートボタンを押す。続いてゴロゴロという音が聞こえてきたら、同じ2時位置のボタンを押してクロノグラフ秒針をストップ。その際、文字盤外周などのスケールに示された数値が、現在自分がいる位置から雷発生地までのおおよその距離となるわけだ。

テレメータ―の使い方

まずはテレメータースケールの位置を確認。このモデルでは文字盤外周のミニッツインジケーターの内側にレッドカラーで表記されている。

雷の光が見えた瞬間に、ケースサイド2時位置のスタートボタンをプッシュ。文字盤センターのクロノグラフ秒針が始動する。

続いて雷の音が聞こえたら、2時位置のボタンを再度プッシュしてクロノグラフ秒針をストップ。このタイムラグは、光と音の圧倒的な速度差により発生するもの。

文字盤を確認すると針は11秒位置で停止。これをテレメーターの数値に照らし合わせると「3.6〜7」。すなわち計測地点から雷までの距離はおよそ「3.6〜7km」となる。

まずはテレメータースケールの位置を確認。このモデルでは文字盤外周のミニッツインジケーターの内側にレッドカラーで表記されている。
雷の光が見えた瞬間に、ケースサイド2時位置のスタートボタンをプッシュ。文字盤センターのクロノグラフ秒針が始動する。
続いて雷の音が聞こえたら、2時位置のボタンを再度プッシュしてクロノグラフ秒針をストップ。このタイムラグは、光と音の圧倒的な速度差により発生するもの。
文字盤を確認すると針は11秒位置で停止。これをテレメーターの数値に照らし合わせると「3.6〜7」。すなわち計測地点から雷までの距離はおよそ「3.6〜7km」となる。

 

テレメーターは単独で搭載されることもあるが、タキメーターを兼ね備えた“タキテレ”と呼ばれるモデルも。それらは今回のハンハルトのように、古典的なミリタリーウォッチを再現したデザインであることが多い。そうしたタイプでは、タキ・テレの各スケールで赤・青を使い分けたり、一方を文字盤中央に螺旋状に配したりといったレトロな意匠とともに味わえるのも、この機能の魅力といえよう。

〈ブランド解説〉

1882年、スイス人時計師ヨハン・アドルフ・ハンハルトがドイツのディースゼンホーヘンで創業。初期より高品質なストップウォッチを手がけ、このジャンルにおけるリーディングカンパニーへ成長する。1990年代以降は自社の名作を復刻した古典的なパイロットクロノで脚光を浴び、現在もフラッグシップモデルとして人気を博す。

ハンハルト公式サイト

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写真・動画撮影/岸田克法
文/岡田隆奈
動画編集/中村重樹(時計Begin編集部)