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2024.12.28
普通のようで普通じゃない時計、それがローマン・ゴティエ
スポーツライン「C by ローマン・ゴティエ」から2種の新作
スイス高級時計製造の聖地として知られるジュウ渓谷で生まれ育った生粋の時計人、ローマン・ゴティエ氏によって2005年に創業されたブランド「ローマン・ゴティエ」。まだあまり馴染みのない名前かもしれないが、時計好きの間では、その評価は極めて高い。
あのシャネルが自社ムーブメントを開発する際、白羽の矢を立てたのがローマン・ゴティエだと聞けば、その実力の高さも納得できるだろう。しかし彼の本当の実力を知るには、実際の時計を見れば、一目瞭然である。
今回紹介するのは、ローマン・ゴティエのスポーツラインとして2021年に誕生した新たなコレクション「C by ローマン・ゴティエ」の新作。「C by ローマン・ゴティエ チタン エディション ブレスレット」に新たな2つのダイアルが加わった。
では簡単に“チタン エディション”のおさらいから。コレクションがスタートしたのは 2021年の「C by ローマン・ゴティエ チタン エディション ワン」。最初の「ワン」は28本の限定で、その後の「ツー」「スリー」「フォー」「ファイブ」は38本限定、「シックス」は88本限定と続く。これら全てが瞬時に完売していることからも、注目度の高さがわかるだろう。
その後、ブレスレット仕様として誕生したのが「C by ローマン・ゴティエ チタン エディション ブレスレット」だ。このモデルは“限定”ではなかったが、2024年4月に、すでにオーダー受付が終了。そこで新たに加わったのが、下に紹介するブラックダイアルと一部オープンワークになったダイアルを持つモデルだ。
ブラックダイアルと言っても、もちろん「ただのブラック」ではない。そこにはローマン・ゴティエならではのこだわりが満載だ。ケース同様チタン製のダイアルには水平方向に美しいラインが入る。これはストレートグレイン仕上げといわれる、柾目(まさめ)調の模様で、細かく彫られた筋目によって、その立体感がさらに強調されている。
さらにこの時計をよくみていけば、数々の発見が待っているだろう。リューズの位置が上にずらされているのもそうだが、そもそもこの時計の時分針は、ダイアルの「中央」に取り付けられていない。やや上にオフセットされているのだ。そのため、バーインデックスの長さも微妙に変えられており、12時位置に近くなるにつれ短くなり、さらにほんのわずかだが細くもなっている。
7時位置にオフセットされたスモールセコンドにも注目して欲しい。5秒間隔のインデックスはやはり長さが変えられており、さらに目を凝らして見ると、中心部に向かってその線が細くなっていくのがわかる。
このデザインに対し「時計製造の中でよく見る『囲まれて閉じた円』より、オープンで風通しのよさを感じるダイアルにしたいと思っていました。ダイアル上のインデックスの先に伸びるラインは中心軸に向かって徐々に細くなり、やがてほとんど見えないくらいの点になるというイメージです。これこそがブランドが重視する『連続性』という考えを強調しています」と、ゴティエ氏は語っている。
こうしたローマン・ゴティエ独自の“バランス感覚”は保ちつつ、ダイアルの一部を大胆にオープンワークしたのが、もう一本の新作だ。ガンギ車やアンクルといった時計の心臓部に加え、秒針(4番車)のメカニズムが露わに。この歯車は、開口部がローマン・ゴティエ特有のデザインになっており、ブランドの美的なシンボルである。
開口部を下から支えるようにレイアウトされたブリッジには、工房のスペシャリストの手作業による特別なエングレービング技術によって、「槌目(つちめ)」模様が施されている。これまでケースバックからしか楽しむことを許されなかったローマン・ゴティエの美しいムーブメントの一部が、ダイアル側からも堪能することが可能になったのである。
前作同様、ここに紹介した2本のブレスレットモデルも、“限定”ではない。しかし、いつオーダー受付終了となってもおかしくはないので、これまでタイミングを逃していた人は、早めの決断が必要かもしれない。
商品の問い合わせ/ローマン・ゴティエ公式サイト
文・構成/市塚忠義