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2025.02.14
【クロワゾネ】文字盤おさらい解説vol.14「動画で魅せる時計図鑑」
クロワゾネ文字盤とは?
パテック フィリップ
5231
上品な金線とエナメルでつくる芸術的ダイヤル
高級時計ブランドの文字盤のほか、ジュエリーや装飾品に古来より用いられてきたエナメル技法。ガラス質のエナメル粉末を含んだ釉薬を塗り、800~900℃近くの高温で焼き上げることによって陶器のような透明感あるツヤと質感を生み出す。また、高温焼成を繰り返すことで美しい発色となり、傷つきにくく変色しにくいという特色も。作業が複雑でコストもかかることから一部のメーカーにしか許されないエナメル技法だが、なかでも最上位の技術と芸術性を兼ね備えるのが「クロワゾネ」だ。日本では「有線七宝」とも呼ばれるクロワゾネは、金線でデザインの輪郭を形成し、そこに何層ものエナメルを重ねていくのが特徴である。

【パテック フィリップ 5231】2022年にモデルチェンジした名門のワールドタイマー。文字盤外周に回転式の世界24都市名リングを配し、デイ/ナイトの24時間表示リングで各都市の時刻を同時に示す。文字盤中央にはクロワゾネ本七宝による東南アジアとオセアニア中心の世界地図を取り入れた。パテック フィリップ・シール。自社製Cal.240 HU搭載。自動巻き。径38.5mm。18KWGケース。アリゲーターストラップ。3気圧防水。1504万円。
例えばパテック フィリップの「5231」では、文字盤の中央にクロワゾネによる世界地図を採用。まず、職人が髪の毛ほどの繊細な金線を使って手作業で大陸と島々の輪郭をつくり、続いて輪郭で仕切られた中にさまざまな色の釉薬を施して陸地と海を再現していく。この一連の作業は、専用の炉内にて高温で加熱しながら行われる。これにより、陸地の平地部分はグリーン、山岳地帯はブラウン&イエロー、海はブルー&ライトブルーと、カラーグラデーションも見事な東南アジアおよびオセアニアの地図が完成する。ゴールドラインでメリハリをつけたその気品ある仕上がりはクロワゾネならでは。まさに最高峰ブランドが手間ひまかけて作り上げた芸術的な一品なのだ。

ハンドメイドによるクロワゾネ文字盤。前作ではアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ大陸だったが、本作では東南アジアとオセアニアがメインに。多彩な色合いで大陸や島々、海を表現した七宝が美しい。

搭載するのは自社製のCal.240 HU。22金偏心マイクロローターを備えた自動巻きキャリバーで、10時位置ボタンの操作により都市名や時刻の変更がスムーズに行える特許機構を内蔵する。

ワールドタイム表示機能搭載の自動巻きながらケース厚はわずか10.23㎜。フィット感のよい快適な着け心地が味わえる。象徴的なカラトラバ十字を刻印したリューズも威厳にあふれる。
〈ブランド解説〉
1839年、アントワーヌ・ノルベール・ド・パテックによりスイスのジュネーブで創業。創業当初からずば抜けた技術力を誇り、「カラトラバ」「ノーチラス」「グランド・コンプリケーション」といった代表的なコレクションをもつ時計界の最高峰ブランド。近年も自社製クロノグラフのほか、シリコンベースの先進ムーブメントパーツの開発などを次々に手がけ、2009年以降はきわめて厳格な自社規格「パテック フィリップ・シール」を機械式の全製品が取得する。
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写真・動画撮影/岸田克法
文/岡崎隆奈
動画編集/中村重樹(時計Begin編集部)